
汐留の『ロイヤルパークホテル・ザ・汐留』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
の、はずだったが・・・。
シャワーを浴び服を着替えると、ルームサービスでアイスバケットと前菜用にサラダを頼むことにする。
ところがいくら探しても、ルームサービス・メニューが見当たらない。
ゲスト・サーヴィスに問い合わせると、三週間前にルーム・サーヴィスを廃止したとのこと。
フロントの責任者を呼び出し、「五つ星ホテルでルーム・サーヴィスが無いなんて言語道断。これでは三菱の名が泣きますよ。もっとも、既に自動車で名が泣ているが・・・」と激しくクレーム。

平身低頭で謝られても、無いものはどうしようもない。
丁度彼女が到着したので、一緒にテイクアウトの料理を求めて外に出る。
隣のシティセンタービルに行けばレストランが幾つもあるので、どこかテイクアウトできる店があるはず。

最初に目に入ったのは、アメリカン・スタイルのお店、『バビーズ』。
入り口でテイク・アウトしたいと交渉。
すると奥から支配人が出てきて、「あれ、高原さん、お久しぶりです」とのこと。
何と、私が大好きな『ジ・オレゴン・バー&グリル』に居た太田さんではないか。

聞いてみると、今では『バビーズ汐留』の支配人になっているとのこと。
事情を話すと、テイクアウトはパイ以外やっていないが、高原さんがお困りなら何でも用意しますとのこと。
幾つかの料理をお願いし、ほっとしてホテルの部屋に戻る。

ルーム・サーヴィスが無いと知って機嫌が悪くなっていた彼女は、この展開に大喜び。
「こんな出会いがあるなんて、素敵な夜ね」
「オレゴンでお世話になった太田さんにいきなり会うなんて、驚きだね。君も彼を覚えているでしょ」
「全然覚えていないけど、貴方はあの『バビーズ』に吸い寄せられるように入って行ったわね。初めてのお店なんでしょ」
「そう。最初はあそこに行く気はなかったんだけど、不思議と足が向いてしまったんだ」
ということで、上機嫌でシャンパーニュを抜栓。
今夜持参したシャンパーニュは、ピエール・ルブッフ、アイ、ブリュット、グラン・クリュ。

ゴッセやアンリ・ジローが本拠地を置くアイ村のメゾン。
アイ村に2.7haのグラン・クリュ畑と、他に2haのプルミエ・クリュ畑を保有。
ぶどうの大半をヴーヴ・クリコに販売し、ルブッフの名前で販売されるのは5,000本/年のみ。

この5,000本はフランスの酒販店1軒とレストラン2軒に卸される以外は、全て個人客向けに販売。
ましてやフランス外では入手困難なレア物なのだ。

ピエール・ルブッフは、1930年創業。
現在の当主は4代目。
ぶどうはリュット・レゾネで栽培。
細かな泡立ち。
香りは柑橘系。
オレンジ、グレープフルーツ、そしてリンゴ。
口に含むとすっきりとした辛口の中に、ハチミツのニュアンス。
セパージュはピノ・ノワール50%とシャルドネ50%。

シャンパーニュと一緒に食べるため、チーズとプロシュートを持参していた。
デンマークのアペティーナ。
オリーブとフェタチーズのハーブ入りオリーブオイル漬け。

もうひとつは、ブリー。
もう少し熟成が進んでいるものが欲しかったが、これでも充分に美味しい。

チーズ用には、今日はクラッカーではなく素焼きのフランスパン。
これがなかなか美味いのだ。

そして、プロシュートの切り落とし。
これが薄塩で美味いのだ。
それに、切り落としなのでお買い得。

『バビーズ』に頼んだ料理が出来上がるまでの間、チーズとプロシュートでシャンパーニュを飲むことにしよう。
彼女と過ごす、『ロイヤルパークホテル・ザ・汐留』の楽しい夜の続きは、また明日。