
西麻布の『キャーヴ・ド・ひらまつ』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
今夜は特別なガラ・ディナー。
私達のテーブルの横には、今夜供されるワインのボトルが並べられている。
五種類目のワインは、赤。
ボルドー、サン・テステフのラ・ダーム・ド・モンローズ、2007年。
メドック格付け第2級、シャトー・モンローズのセカンドである。
モンローズと言えば、濃厚で力強い長期熟成型のワイン。
一方セカンドのラ・ダーム(貴婦人)は、名前の通りモンローズに較べると繊細で女性的。
と言っても、ブラックカラント、プラム、ダークチェリーのニュアンスとシルキーなタンニンを持ち、充分に強い。
セカンドとは言え、素晴らしいボルドーであることに間違いない。
ラ・ダーム・ド・モンローズに合わせる料理は、和牛ロース肉のロースト、赤ワインソース、花山椒のエチュベ。
やはりこのくらい強いソースの料理でないと、ワインi負けてしまいそうだ。
え、これが花山椒のエチュベ?
エチュベは蒸し煮。
肉に絡ませて食べて下さいとのこと。
今夜は何が美味しそうか、吟味する。
溶け落ちそうなウォッシュドが無いのが寂しい。
白カビ、ブルー、ウォッシュド、ハードと満遍なく切り取ってもらう。
ラ・ダーム・ド・モンローズを新たに注いでもらい、フロマージュを楽しむ。
デザートの前に、ディジェステフ。
デザートワインは、シャトー・デュ・モンの、サン・クロワ・デュ・モン、2011年。
ガロンヌ川を挟んでソーテルヌの対岸(右岸)にある地区で生産される、良質の貴腐ワインである。
世界三大貴腐ワインの筆頭格が、ソーテルヌ。
だが価格はとても高い。
それに較べ、品質では同等のサン・クロワ・デュ・モンは、半分近い価格で購入することができる。
シャトー・デュ・モンの貴腐ワインはとても上品で繊細。
『ひらまつ』の定番ディジェステフである。
『ひらまつ』のワインの良いところは、高級ワインも揃っているが、このシャトー・デュ・モンやヴーヴ・アンバルのようなリーズナブルな価格の高品質ワインが多いことだ。
これらのワインは『ひらまつ』の直輸入なので、より安心して飲むことが出来る。
デセールは、バニラ、チョコレート、イチゴ、ピスタチオの協演。
饗宴でも競演でもなく、協演なのだ。
見て楽しく、食べて美味しいフレンチのデセールの醍醐味。
フレンチのフルコースのあとのコーヒーは格別。
「今夜も美味しかったね。ありがとう」
彼女の言葉に、今夜の料理とワインの美味しさと、幸せな夜が凝縮されている。
フレンチのプチフールは大好きだ。
彼女と過ごす西麻布の『キャーヴ・ド・ひらまつ』の夜は、素敵に更けていきました。