
西麻布の『キャーヴ・ド・ひらまつ』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
このレストランには、『ル・レゼルヴ・ド・ひらまつ』の時代から通っている。
白亜の一軒家レストランで、正統派フレンチと、『ひらまつ』の秘蔵ワインを味わうことができる。
そして何よりも好きなのは、この生花。
何時来ても美しい百合の花が香しい香りと共に迎えてくれる。
三種類目のワインは、ちょっと面白い。
自分では決して選ばないワインだ。
アルザスのドメーヌ・ワインバックが造る、ゲヴュルツトラミネール、キュヴェ・ローランス、2009年。
ドメーヌ・ワインバックは、1612年設立の歴史あるドメーヌで、1898年からファレール家の所有となった。
現在は母と娘姉妹の三人の女性でワイン造りを行っている。
キュヴェ・ローランスは、カトリーヌとローランス姉妹の妹の名前。
甘いフルーツ香。
口に含むと、アウスレーゼのような上品な甘味。
ボトルの形もそうだが、ドイツの上質のプレティカーツヴァインを想起させる。
久し振りに飲む甘口ワインである。
でも、何故ここでこのワインが出されたのだろう。
佐々木ソムリエが何故このワインを選んだかは、出された料理を見て納得。
フォアグラのローストと筍。
そうか、フォアグラだから甘口のワインを選んだということか。
四種類目のワインも、白。
ルイ・ジャドの、シャブリ、プルミエ・クリュ、レ・ヴァイヨン、2006年。
ルイ・ジャドのワインは、テロワールの特徴が美しく表現されており、好きだ。
ルイ・ジャドの白ワインは、オーク樽で発酵、熟成されているが、シャブリには樽が使われていない。
シャブリ特有の酸とミネラルを活き活きと残すため、ステンレスタンクが用いられている。
きりりと引き締まったボディが素晴らしい。
酸とミネラルが活き活きとしながら、熟成による複雑なストラクチャーを持っている。
「ルイ・ジャドのシャブリは美味しいわね。2006年なんて、さすが”ひらまつ”」と、彼女。
「ルイ・ジャドの赤は色んなクリュをいっぱい飲んだけど、シャブリは初めてかもしれない。でも、美味しいね」と、私。
魚料理は、金目鯛のローストと九条ネギのピューレ、ゆずの香る小さな野菜のソース。
上に乗った生姜を齧り、金目鯛を口に運ぶ。
金目鯛自体も美味いが、合わせるソースが素晴らしい。
シャブリにも良く合う。
西麻布の『キャーヴ・ド・ひらまつ』で彼女と過ごす素敵な夜の続きは、また明日。