
今夜は彼女と六本木で待ち合わせ。
車を拾い、西麻布に向かう。
目的のお店は、『キャーヴ・ド・ひらまつ』。
このお店とのお付き合いは長い。
西麻布の白亜の一軒家レストランであり、彼女はここの雰囲気が大好きなのだ。
今夜は、お店のガラ・ディナー。
何時もよりちょっとお洒落した彼女が美しい。
支配人の迎えを受け、テーブルに案内される。
テーブルには、『ひらまつ』を示す”H”のマークが入った今夜のメニュー・リストが置かれている。
今夜のアペリティフは、ブルゴーニュのヴーヴ・アンバルが造る、クレマン・ド・ブルゴーニュ、ロゼ・ブリュット。
シャンパーニュ方式で造られたクレマンの泡立ちが素晴らしい。
ヴーヴ・アンバルのロゼを飲むのは久し振り。
甘いベリー系の香りを持ちながら、きりりと引き締まった辛口。
ぶどうはピノ・ノワールとガメイ。
契約農家からの調達に加え、シャブリ、コート・ド・ニュイ、コート・ド・ボーヌに合わせて240haに及ぶ自社畑を持ち、多様なテロワールの組み合わせによる複雑でリッチなクレマンを生み出している。
ヴーヴ・アンバルは、1898年にマリー・アンバル(アンバル未亡人=ヴーヴ・アンバル)が設立したクレマン専業のドメーヌ。
クレマン・ド・ブルゴーニュの40%のシェアーを持つ最大手。
『ひらまつ』のハウス・スパークリング的存在で、現在はミレジム、2013年が使われている。
キュウリの千切りが上に乗っているので見えないが、この下にはアナゴが置かれている。
フランス料理にはウナギが使われるが、アナゴもありかと妙に納得。
とろける様なアナゴがクレマンに良く合って美味い。
白ワインは、アルフォンス・メロのレ・ペニタン、シャルドネ、2008年。
これは二人が大好きなシャルドネ。
アルフォンス・メロはサンセールの造り手なので、本来はソーヴィニヨン・ブランが専門。
そのアルフォンス・メロがブルゴーニュのドメーヌ・ジャンテ・パンショとコラボで造るのがレ・ペニタン。
畑は、ブルゴーニュ・シャブリ地区と、ロワール・サンセール地区の中間の、コトー・シャリトワ。
ピノ・ノワールをジャンテ・パンショが、シャルドネをアルフォンス・メロが担当し、出来上がったワインを半分ずつそれぞれが販売している。
初めて飲んだ時は、ブルゴーニュ、コート・ド・ボーヌのシャルドネだと思ってしまった。
エレガントでリッチなボディを持ち、しっかりとした酸とミネラルのバランスが絶妙。
レ・ペニタン、シャルドネが出されたことで、彼女は大喜び。
「ね、このシャルドネ大好き。買っておかない?」
「うん、2008年が良いから、『ひらまつ』に分けてもらうようにするよ」
白ワインに合わせた前菜は、白アスパラのロースト、モリーユ茸のフリカッセ。
白アスパラガスは好きな食材。
モリーユ茸も美味い。
西麻布の『キャーヴ・ド・ひらまつ』で彼女と過ごす素敵な夜は、続きます。