銀座の『ブラッセリー・ポール・ボキューズ』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
彼女が着席すると、今夜のアペリティフが届けられる。
アペリティフ・ド・メゾン、スリーズ。
サクランボのスパークリング・カクテル。
甘酸っぱい香りを持つが、口に含むときりりと締まった辛口。
「辛口で美味しい。この前飲んだアペリティフは桜で今夜はサクランボなのね。季節感があって好いわね」と、彼女。
「今夜はワイルド・チェリーのリキュールを使っているそうだよ」と、私。
彼女が到着する前にソムリエと話し、使用しているリキュールを確認しておいたのだ。
使われているスパークリングは『ひらまつ』の定番、ヴーヴ・アンバルのクレマン・ド・ブルゴーニュ、ミレジム、2013年。
ヴーヴ・アンバルは今まで何度も私のブログに登場しているので、詳しい説明は省略。
アンバル未亡人が創設したクレマン・ド・ブルゴーニュ専業のメゾンで、ブルゴーニュのクレマンの始祖と言われている。
高品質の素晴らしいクレマンである。
ベレンツェン、ワイルド・チェリー。
ドイツ北部のハーゼルンネに本社を構える、ドイツ最大級のスピリッツ・リキュールのメーカー。
創業250年の名門である。
ソムリエの大友さんが、小さなリキュール・グラスで味見をさせてくれた。
チェリーの香りをいっぱいに持ちながら、それほど甘くなく、ほろ苦さも持つ。
小麦から造られたスピリッツを用い、アルコール度数は16%。
前菜は、軽く燻製をかけた鱒のマリネ、レフォール風味のじゃがいものムースリーヌ。
レフォールとは西洋わさびのこと。
春らしい素敵な料理だ。
ドメーヌ・クローディ・ジョパールが造る、リュリー・ブラン、モンターニュ・ラ・フォリ、2009年。
ドメーヌ・クローディ・ジョバールは、コート・シャロネーズに本拠を置く、女性がオーナー兼醸造家のドメーヌ。
クローディは代々醸造家の家系に生まれ、彼女で八代目。
母のローレンスは、メゾン・ジョセフ・ドルーアンで20年間醸造長を務めた人物で、退職後、クローディを醸造家として教育した。
クローディは世界各国のワイナリーで研鑽後、父親のぶどう畑の果実と実家のガレージを用いて、自らの小さなドメーヌを立ち上げた。
『ひらまつ』の直輸入品であり、『ひらまつ』のレストランでしか飲むことが出来ないワインである。
柑橘系の花、洋梨、そして蜂蜜の香り。
しっかりとした熟成感を持ち、酸とミネラルのバランスが良い。
ブルゴーニュのシャルドネのストライク・ゾーンが狭い彼女も、これは美味しいという。
このクローディ・ジョパールのリュリーを飲むのは確か二度目だが、以前より熟成が進んで美味しくなっていると思う。
シャルドネに合わせる魚料理は、愛媛県産真鯛のポワレ、彩春野菜と桜海老のブール・ブランソース。
鯛には、白いバターソースが良く合う。
桜鯛と桜海老、春を満喫できる一皿。
熟成の進んだシャルドネとも良く合い、とても美味い。
『ブラッセリー・ポール・ボキューズ』の夜は楽しい。
彼女と過ごす銀座の夜の続きは、また明日。