彼女と共に参加した、西麻布の『キャーヴ・ド・ひらまつ』で開催された桜をテーマとした料理とワインの会の続き。
2階のエントランスから螺旋階段を上ると最初に迎えてくれるのが、この大きな生花。
百合の香りがとても素敵だ。
アペリティフ・メゾン、”桜”の次は、ドゥ・ラドゥセットのプイィ・フュメ、2007年。
ドゥ・ラドゥセットは、パトリック・ドゥ・ラドゥセット男爵が率いるロワール地方最大の造り手で、プイィ・フュメの半分以上を生産している。
ラドゥセットは、二人が好きな造り手。
特に彼女は、バロン・ド・エルが大好きだ。
ラドゥセット男爵の名を冠し、良いぶどうが収穫された年にのみ生産される、まさにプイィ・フュメの最高峰である。
余談になるが、ラドゥセットは日本で唯一のワイナリー直営のショップを開設している。
表参道の『カーヴ・ドゥ・ラドゥセット』がその店である。
ソーヴィニヨン・ブランの自然な果実味を活かす醸造を行っているのだ。
2007年ヴィンテージであり、綺麗に熟成が進んでいる。
色合いは若いプイィ・フュメとは異なり、かなり濃い黄金色。
グレープフルーツのような柑橘系の香りを残しながら、熟成の進んだ白が持つ干し藁の香りを持っている。
口に含むと、重厚な熟成感が嬉しい。
酸とミネラル感のバランスも良い。
彼女も、「素晴らしく熟成しているわね」と満足げ。
前菜は、桜マスのマリネとグリーンアスパラガス、シャンパンのゼリー。
この皿にも、"桜"が使われている。
桜マスとグリーンアスパラガス、春を感じる嬉しい一皿。
魚料理は、桜ダイのポワレ、焦がしバターソース、チンゲンサイと新ジャガイモのムースとスプラウト。
またまた"桜"を用いた料理。
プイィ・フュメとの相性も抜群。
料理が美味いと、ワインがどんどん進んでしまう。
ドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴの、テール・ショード、ソーミュール・シャンピニー、2011年。
ロッシュ・ヌーヴは、ロワールの若き天才醸造家、ティエリ・ジェルマンのドメーヌ。
ボルドーのワイン生産者の家に生まれながら、ロワールに移り、一人で素晴らしいドメーヌを作り上げた。
ぶどうの栽培はビオディナミで行い、収穫は果肉や果汁が果皮で守られている完熟前に実施。
完熟させる方が糖度が上がるが、ぶどう本来の風味が失われるのだそうだ。
発酵は木樽を用い、自然酵母のみで行われている。
ソーミュール・シャンピニーの土壌は、カベルネ・フランに最適なのだそうだ。
彼女はカベルネ・フランのワインは苦手。
飲む前は少し引き気味だったが、一口味わうと、「美味しい」と驚く。
熟成感、酸味、タンニン、全てのバランスが良い。
ストロベリー、フランボワーズ、ブラックベリーのニュアンスとシルキーなタンニンが心地よい。
ロッシュ・ヌーヴを飲むのは初めてだが、天才醸造家と言われる所以がわかった気がする。
赤に合わせる肉料理は、仔牛バラ肉のハンバーグ、木の芽の香るジュソース、クラシカルなマカロニグラタン。
テール・ショードが強いので、しっかりとした質感のあるハンバーグが良く合う。
やはり『キャーヴ・ド・ひらまつ』は食事もワインも素晴らしい。
彼女と過ごす素敵な夜は、まだ続きます。