南青山の『ポルトゥス』で彼女と過ごす楽しいロゼ・ワイン会の続き。
いよいよ5種類目のロゼが出される。
ポル・ロジェ、シャンパーニュ・ロゼ、ミレジム、2006年。
ポル・ロジェは、1849年創業の家族経営のメゾン。
イギリス首相を務めた故チャーチルが愛したシャンパーニュで、チャーチルはお気に入りの競走馬を"ポル・ロジェ"と名付けた。
一方ポル・ロジェの最高峰のシャンパーニュは、キュヴェ・サー・ウインストン・チャーチルと命名されている。
「こんな素敵なシャンパーニュを飲むことができるなんて幸せ」とは、彼女の言葉。
ワインは素敵だが、一度会ったことがあるポル・ロジェの社長は、とても堅物だった。
もう8~9年も前のこと、高輪プリンスのフレンチでポル・ロジェの社長との夕食会に彼女と共に参加した。
その時のイメージは、にこりとも笑わない、全く商売気のない職人気質の人だったのだ。
それにしても、実質本位なミュズレ。
社長のイメージと重なり、思わず微笑んでしまった。
泡はとても細かい。
グラスに丸いマークが微かに見えるが、ここにはPとRの頭文字が入っている。
このグラスはポル・ロジェの名前入りなのだ。
ストロベリーの甘い香り。
クリーミーで、強い熟成感を持つ。
骨格のしっかりした、奥行きのあるボディだ。
セパージュは、ピノ・ノワール65%、シャルドネ35%。
20のグラン・クリュ畑とプルミエ・クリュ畑から収穫したぶどうを使用し、ボトリング前にシャンパーニュ産の赤ワインを15%加えて色付けしている。
熟成期間は地下セラーで7年間以上。
まさに上質のシャンパーニュである。
とても魅力的なオーストラリア出身の女性である。
日本語も流暢に話すが、この会は英語縛り。
そのため欧米系のワイン・ラヴァーの参加も多く、何時も楽しい英語での会話が飛び交う。
日本人の参加者も最初は口数が少ないが、ワインが進むにつれどんどん会話が弾む。
誰とでも仲良くなれるのが、ワインの魔力、いや魅力。
ワインは人と人とを繋ぐ架け橋なのだ。
デザートが出たことは写真が証明しているが、食べた記憶はあまり無い。
きっと食べたと思うが、この頃にはもうかなり酔いが回っていたようだ。
彼女も私も帰り道を覚えていないが、翌朝起きた時はちゃんと家にいた。
桜の季節に飲むロゼの数々。
会話も楽しく、料理も美味しく、とても素敵な春の一日でした。