千葉中央にあるイタリアン、『アクア・エ・スオロ』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
白ワインを三種類、赤ワインを二種類飲んだあとは、ディジェスティフ。
今夜のディジェスティフはフランスのマール。
それも普通のマールではない。
DRC、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティのマール・ド・ブルゴーニュ、1990年。
ロマネ・コンティやラ・ターシュ、リシュブール等、ロマネ・コンティを代表するワインたちの生産過程で生まれる搾り滓を蒸留して造られたブランデーなのだ。
マールにしては珍しく、熟成期間も長い。
アルコール度数は、45.1%。
私がディジェスティフを飲もうと言うと、彼女は「ちょっと飲み過ぎじゃないかしら」とあまり気が進まない様子。
でも、ピノ・ノワールの世界最高峰に君臨するロマネ・コンティのマールと知って、彼女も飲みたいと言う。
シンプルで威厳に満ちたエチケットは、ロマネ・コンティのワインたちと同じデザイン。
グラスに注ぐだけで、芳香が私達を包み込む。
グラスを傾け、琥珀色の液体を口に含む。
テーブルにしばし静寂が訪れる。
まさに至福の時間である。
オーナーの淺野さんも今夜は厨房に入り、次々と入る料理のオーダーに対応していた。
多くの客が引き揚げ、厨房をシェフに任せる余裕ができたようだ。
今夜のワインとマールのお礼を言うと、「ちょっと日本酒も飲みませんか」と思わぬ提案。
前回訪問した時に、獺祭の名前の由来等をお話したのを覚えてくれていた。
そこで「獺祭三種を飲み比べてみましょう」との提案となったのだ。
三種類の獺祭のボトルの封が切られ、ワイン・グラスに注がれる。
大吟醸の基本とも言える酒で、酒造好適米、山田錦を50%まで磨き込んで醸された酒である。
私が獺祭を飲み始めたのはもう随分以前の事。
その頃は東京では獺祭を置く店は山口県人が経営する店くらいで、友人たちにこの酒を紹介してもほとんどの人が名前を読めなかった。
口に含むと、米の甘味、旨味が芳香と共に口に広がる。
まろやかで、すっきりとした仕上がり。
これだけ飲めば、もう充分に美味い。
山田錦を39%まで磨き込んで醸した吟醸酒。
グラスに注ぐと、芳香が立ち上がる。
口に含むと、すっきりとした味わいの中に綺麗な甘味を感じる。
余韻を味わうと、これぞ純米吟醸酒と思ってしまう。
文句なく、美味しい。
純米大吟醸50には悪いが、やはり磨き三割九分の方が旨い。
山田錦を23%まで磨き込んだ、獺祭の最高峰に君臨する酒である。
23%まで磨き込むために、精米時間は実に168時間前後に及ぶとのことだ。
香りが素晴らしい。
口に含んで舌の上を転がすと、極限にまで昇華した米の旨味を感じる。
確かに芸術作品だ。
でも、貧乏人の僻みかもしれないが価格を考えると三割九分で充分な気もする。
おっと、彼女が手持無沙汰のようだ。
帰りの距離を考えると、もうそろそろ店を後にした方が良さそうだ。
今夜も淺野さんにすっかりお世話になってしまった。
千葉中央の『アクア・エ・スオロ』で彼女と過ごす、楽しく美味しい夜でした。





