広い空港ターミナル内に、美しい弦楽四重奏の調べが響いている。
ラウンジとは反対方向になるが、思わず美しい音色に誘われてしまう。
多くの人が脚を止め、演奏に聞き入っている。
韓国ではクラシック音楽が盛んで、世界的にも著名な多くの演奏者や歌手を生み出している。
何かと思って良く見ると、携帯電話の無料充電器だった。
色々な機種に合わせて、端子が複数設置されていて、6台ほどのスマホが充電中だ。
機械が大きい割にスマホを置けるスペースが限られているので、10台ほどでいっぱいになってしまう。
それでもこんな配慮があるのは、IT先進国の韓国だけのことはある。
韓国では遠距離バスだけでなく、近距離や街の限られた範囲だけを巡回するバス(マウル・バス=村のバス)にもGTSが搭載されていて、バス停には何番のバスが何分後に到着するか電子掲示板で示されている。
掲示板が無いバス停では、スマホを翳せば到着時間がわかるのだ。
行政サービスも電子化が進み、駅に設置された機械で行政書類を簡単に入手することができる。
もっとも、セキュリティーの問題がどうなっているのかは気になるところだ。
なんて思いながら先に進むと、ゲート前の椅子の横にも充電スポットが設置されていた。
こちらは、自分で充電端子を持ち歩いている人用だが、旅行者は大抵携行しているので、これは便利だ。
ラウンジはとても広く、真ん中のレセプションを挟んで左右に同じ造りのラウンジが二つある。
私は何時も、スマホやPCの充電が出来る窓際の席に座ることにしている。
目の前には、アシアナ航空の機体が何機も駐機している。
機内で食べてきたし、次の搭乗便でも食事が出るのだが、何となく料理を少し皿に取ってしまう。
サラダに少量のパスタ。
それに干しブドウを刻んだオリーブを載せ、バルサミコ・ドレッシングを掛ける。
チリのワイン造りの聖地、マイポ・ヴァレーにあるワイナリーで、オーガニック栽培でぶどうを育てている。
イタリア系移民の家族が三代にわたって経営し、良質のワインを生み出している。
このラウンジでは他にドイツのダインハルド、グリーン・ラベル、リースリング、2012年も置かれている。
良質のワインだがちょっと甘味が強いので、私は何時もサンタ・イネスの方を飲んでいる。
肉団子のトマトソース煮といったところか。
それにフレンチフライを盛り合わせる。
温かいご飯ものもあったので、小皿に取って味見することにする。
最初はポックンパブ(韓国の焼き飯)かと思ったが、炊き込んで作っていた。
チリのテラプラ、カベルネ・ソーヴィニヨン、2013年。
セントラル・ヴァレーにある新しいワイナリーの製品だ。
テラプラとは、ピュアー・テロワールという意味なのだそうだ。
それほどボディは強くはないが、カベルネの果実味が充分に味わえる、綺麗な出来栄えのワインだ。
席の前には、色々なプラグに適応したこんなコンセントが設置されている。
そう言えば日本のラウンジのコンセントは日本仕様になっているので、海外の旅行者には不便だろうと思う。
コンセントは二個あるので、スマホとPCを同時に充電しながら使えるので便利だ。
ラウンジを出て搭乗ゲートに向かっていると、何やら鐘や太鼓の音が聞えてきた。
何かと思って観に行ってみると、李朝時代の衣装に身を包んだ人たちが行列していた。
この季節は、韓国も旅行者へのサービスが中々良い。
右半分には厳めしい男性達が並ぶが、左半分には女官達が並んでいる。
観光客が次々と列に加わり、記念写真を撮っている。
とても楽しい催し豊富な、仁川国際空港でした。