カリフォルニアで素晴らしいワインを造る中井章恵(ナカイヨシアキ)さんのワインは、私のセラーの常連。
メルロー、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランが常に数本入っている。
そして新しく加わったのが、このピノ・ノワール。
待望のナカイ・ヴィンヤードのぶどうだけで造られたピノ・ノワールがリリースされたのだ。
その初ヴィンテージ、2012年を中井さんから直接分けていただいた。
まず気が付くことは、ボトルの形状がブルゴーニュ・タイプとなり、そしてエチケットが今までのメルロー、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランよりも大きくなったこと。
今まではぶどうをあしらった一見唐草模様のような絵柄だったが、ピノのエチケットはぶどうの葉に加えて果実も描かれ、さらに薔薇の花まで加えられている。
単色で描かれているところは今までと同じだが、絵柄はより華やかになっている。
中井さんから直接分けていただいたボトルには、全てエチケット上にサインを入れてもらっている。
普通はボトルにサインを入れるのだが、それでは飲み終えた後にサインが残らないので、エチケットと共に収集できるように中井さんに特別に頼んでいるのだ。
他のぶどう品種のエチケットはとても小さく、中井さんもサインがはみ出さないように苦労していた。
この大きさだと安心してサインすることができる。
裏面には、中井さんのぶどう作り、ワイン造りの考え方が書かれている。
エチケットは大きくなっても、書かれている文章は同じだ。
先月抜栓したメルロー、2008年のコルクには刻印が無く、驚いた。
このピノ・ノワール、2012年のコルクには、今までと同じ刻印が入っている。
ナカイ、ロシアン・リヴァー・ヴァレーの名前に加え、中井さんの家紋、”丸に三つ柏紋”が刻印されている。
コルクの長さは普通だが、品質は良い。
コルク下面の着色は、メルローのコルクほどではないが、かなり濃い。
驚いたことに、2012年ヴィンテージでボトリング後2年あまりしか経っていないのに、酒石がかなり付着している。
濡れ具合も良く、保管状態が良かったようだ。
グラスにはナカイの名前が入っている。
名前の横の線は、100mlを示している。
ドイツでは容量を示す線入りのグラスを何度も見掛けたが、アメリカでは見たことが無い。
レストランでグラスで注文しても100mlとは言わず、もっと多量に注いでくれるのが普通だ。
グラスの反対側の面には、中井さんの家紋とロシアン・リヴァー・ヴァレーの名前が入っている。
この家紋の図柄は、アメリカではオリエンタルなデザインに見えるのだろう。
さて、いよいよ飲んでみることにする。
カリフォルニアにありがちのリッチなピノではなく、酸とミネラル感を持ち、ストラクチャーも複雑な、とても綺麗なピノである。
まだまだ若く、もっと熟成させてから飲みたいと思わせる魅力がある。
手にしているボトルはソーヴィニヨン・ブラン。
手前に、メルローとピノ・ノワールがサインを入れてもらうのを待っている。
しかし言葉のひとつひとつにぶどうとワインに対する愛情が溢れている。
大変な苦労の話も淡々と語られ、それが聞く人を惹きつける。
話に夢中になり、テーブル上には手を付けられていない料理が溜まってしまうこともある。
中井さんの新しいヴァラエタル・ワイン、ピノ・ノワールに感激した、今夜も楽しいお家ワインでした。