文京学院大学横の路地裏にずっと気になっていた天ぷら屋さんがある。
その名前は、『天清』。
間口一間半の小さな木造の建屋。
今時珍しいお店なので是非行ってみたいと思っていたが、何時も満席で、しかも閉店時間が早く、今まで行けないでいた。
今夜はすぐ近くのワイン・ショップ、『NZ BAR』で早い時間から彼女と一緒に飲んでいたので、帰り道に寄ることができたのだ。
カウンターに8席のみで、目の前でご主人が天ぷらを揚げてくれる。
壁にはメニューの木札が掛けられているが、ご主人にお任せで揚げてもらうことにする。
『NZ BAR』で彼女と一緒にワインを二本ほど飲み、おつまみもそこそこ食べていたので量は控えてもらった。
ドレッシングはみそだれ。
天ぷらの前にサラダとは、嬉しい心遣い。
ワインを十分飲んできているが、やはり天ぷらには日本酒が必要。
キンシ正宗の京仕込、生貯蔵。
京都伏見の蔵で、創業は天明元年、1781年の老舗。
彼女は生牡蠣が好きなので、どこに行ってもメニューに見つけると注文してしまう。
私は生牡蠣に4回あたっているが、それでも生牡蠣も彼女も両方好きなので、付き合って食べてしまう。
たっぷりの大根おろしが美味しそう。
浅漬けも美味い。
ごま油を使っているので、香りが香ばしく、揚げ色も黄金色。
紋甲烏賊がとても柔らかい。
彼女も「美味しい」と、思わず声に出す。
野菜の天ぷらは旨味が中に閉じ込められているので、噛んだ時に口中に美味さが広がる。
ほくほくに揚がったサツマイモが美味い。
自宅で揚げると、この厚みでは芯まで柔らかく揚げるのは難しい。
ちょっとひと手間掛けているので、一層美味しく食べることができる。
中身は本当に海老だけ。
お任せはここまで。
彼女はもうお腹いっぱいだと言うが、私は好きなものをもう一つ揚げてもらうことにする。
穴子の天ぷらは私の好物なのだ。
ぱりっとした衣に、ほかほかの柔らかな身がたまらなく美味い。
彼女は茶そばを選択。
とても懐かしい感じの美味しいお店に、彼女も満足。
「ね、また来ようね」と彼女。
「うん、ワインを飲んだ後の〆はここにしよう」と私。
美味しいお店を発見した、彼女と過ごす楽しい夜でした。