昨年、クリーヴランドでジャケ買い、いやエチケ買いしたワインである。
フリークショー、カベルネ・ソーヴィニヨン、2011年。
エチケット正面の男性は、ザ・ストロンゲスト・マン・オン・アース、地球最強の男、と書かれている。
何とも派手な図柄で、これを見て上質のカベルネを想像する人は少ないだろう。
私もギョッとして前を通り過ぎそうになったが、"ミッシェル・デイヴィット・ジョイント"の文字を見て、思わず手に取ったのだ。
そして裏側で繋がった、連続の絵になっている。
正面の右側には、ピエロ、チンパンジー、ライオンや多くのサーカスの登場人物達。
歴史的人物の写真も紛れ込んでいる。
真ん中の男性が座っている樽には、ミッシェル・デイヴィット・ワイナリーの名前が書かれている。
そう、このワインは、カリフォルニア、ナパのロダイ地区にあるミッシェル・デイヴィット・ワイナリーの製品なのだ。
怪力男の右側には、カベルネ・ソーヴィニヨン、2011年と書かれている。
ミッシェル・ディヴィット・ワイナリーの創立は1984年。
オーナーは、ミッシェル・フィリップとデイヴィット・フィリップの兄弟。
フィリップ一族は、1850年代からロダイ地区でぶどう栽培、をしていた。
そして1984年からはワイン生産を始め、2011年ヴィンテージからはサステナブル農法の認定を受けている。
エチケットの左側には、魔術師、蛇男、大砲から飛び出す女性、紳士と腕を組んで歩く虎、等々が描かれている。
そしてこちら側にも実際の人物写真がちりばめられている。
ミッシェル・デイヴィットのワインには、一度飲んだら忘れることができないネーミングがされている。
私がこのワインを手に取ったのは、かなり以前に飲んだミッシェル・デイヴィットのワインを覚えていたからだ。
それは、セヴン・デッドリー・ジンズと、アースクエイク。
何ともセンセーショナルな名前だが、どちらも飛び切りに美味しかったのだ。
コルクは上質。
状態も良い。
コルクにH.P.のアドレスが入っているのは、いかにもアメリカ的。
熟した黒い果実の香り。
強いがまろやかなタンニン。
複雑でしっかりとしたストラクチャー。
それでいて過度に重くなく、洗練されたボディ。
カベルネ・ソーヴィニヨンにプティ・シラーが少量ブレンドされているそうだ。
名前とエチケットに騙されるが、やはりミッシェル・デイヴィットのワインは美味いと納得したお家ワインでした。