のんびり疲れを癒したい時に良く使うホテルなので、彼女もここなら迷わずに来ることができる。
ホテルの周りを散策してみると、今まで気が付かなかったものを見付けた。
ドッグ・バーと書かれた可愛い水飲み場。
MIYAKO HOTELと書かれているところを見ると、都ホテルがスターウッド・グループのシェラトン傘下に入る前からあったようだ。
ホテルの敷地内ではあっても、表の大通りから数歩入った場所にある。
犬の散歩で表通りを通る人は誰でも利用できるように考えたのだろう。
ロビーの外には、木々が鬱蒼と茂り、都会の騒音を消し去ってくれる。
本当に緑が濃くなった。
ロビー・ラウンジからは、大きな窓越しにこの緑を眺めることができる。
緑の中には、池と小さな滝、そして水が湧き出る泉がある。
彼女が先に到着し、アイスバケットやワイングラスを取り寄せておいてくれた。
手早くシャワーを浴び、さっぱりとした服に着替える。
今夜のシャンパーニュは、二人が大好きな銘柄。
アンドレ・クルエ、ミレジム、2003年。
アンドレ・クルエは、ナポレオンから譲り受けた領地でぶどう栽培とワイン造りを始めた歴史を持つ。
このミレジムのエチケットの色は、ナポレオンの軍隊の制服の色を再現したものなのだ。
蜂蜜の香り。
柑橘系の果物の香りや、香ばしいブリオッシュの香りも感じる。
文句なく素晴らしいシャンパーニュである。
彼女が好きなので三本購入しセラーに入れていたが、これが最後の1本となってしまった。
セパージュは、ピノ・ノワール50%、シャルドネ50%。
ぷりぷりの海老が載ったサラダが美味しそう。
二回に分けて皿に取り、二種類のドレッシングを試してみる。
そこで地下鉄の駅近くのスーパーに飛び込み、普通のチーズを購入。
ひとつは、ジェラールのクリーミー・ウォッシュ。
どちらも家では日常用のチーズとしてよく食べている銘柄。
ダナ・ブルーは元々はダニッシュ・ブルーだったが、縮めて呼ばれるようになった名前。
でも切ってみると、結構熟成が進んでいてとても美味しそう。
事実、口に含むと臭い香りが旨味に変わり、シャンパーニュにも良く合う。
こんな良質で手頃なブルーチーズはありがたい。
余計な添加物は一切入っていないので、何の心配も無く食べることができる。
このプレーンな味が、個性の強いチーズに最適なのだ。
アンドレ・クルエのミュズレは既に何個かコレクションに入っている。
それでもこのシンプルな図柄が好きで、これも持ち帰ることにする。
彼女と過ごす、白金の『シェラトン都ホテル』での楽しい夜の続きは、また明日。