ちょっと不気味なボトルだが、名前はオールド・モンク。
年老いた修道僧という名前のラムである。
そう思って良く見ると、頭巾をかぶった老人の僧侶に見えてくる。
昨年秋にインドのコルカタで購入したボトルなのだ。
インドで良く飲まれているスピリッツは、イギリスの影響でジンやウイスキーだとばかり思っていた。
ところが統計を見ると、圧倒的にラムが飲まれている。
何故ならば、インドでは砂糖はサトウキビで造られているので、ラムの原料はいくらでも安く手に入るのだ。
だから国産ラムの価格は非常に安く、所得の少ない人でも買うことができるため、消費量が圧倒的に多くなる。
街では180mlの小瓶で安く売られていて、所得の少ない人でも買いやすいようになっている。
オールド・モンクはインドのラムの中でも最も有名なブランド。
ビールはキングフィッシャー、ラムはオールド・モンクといった具合だ。
熟成させたオールド・モンクは、インドのラムの中では高級品。
シェリー樽で7年以上熟成されているとのことだ。
キャップを外すと、何とも不思議な雰囲気となる。
年老いた僧侶のキャップは、こうしてみると目の鋭い戦士か宇宙人のように見える。
こちらも昨年コルカタで購入したもの。
普通のボトルとは言っても、12年物のゴールド・リザーヴである。
でも箱はペラペラで、スーツケースの中で破れてしまったし、トレードマークのおじさん、いや僧侶の絵も実にチープ。
日本で購入すると1本4~5千円もするようだが、現地では随分安く購入することができる。
ただ安い酒なので、空港の免税店では売っていない。
従って街で買わなければならないが、普通の酒屋は鉄格子で覆われ、欲しいものを告げて値段を聞き、小さな窓からお金を差し入れ、代わりに商品を受け取る方式が多い。
旅行者には購入は難しい。
ではどこで買えば良いかと言うと、コルカタにも最近はショッピングセンターが二か所ほどあり、そこのリカーショップであれば現品を陳列棚から手提げカゴに取り、レジでクレジットカードで支払うことができるのだ。
この二本のボトルもショッピングセンターで購入した。
支払いが終わると、ビニールの手提げ袋に入れ、口をプラスティックの拘束具できつく閉じてから渡される。
手提げ袋の中に他の商品を入れることができないようにするためだ。
そして出口ではガードマンがレシートをチェックし、手提げ袋の口が開いていないかを確認し、それでやっと外に出ることができる。
オールド・モンクは1935年に発売されたロングセラー。
製造・販売元は、モハン・メッケン社。
イギリス統治時代、1855年創業のビール醸造会社に起源を有し、その後合併、買収、改名等を経て現在に至っている。
ラムの他に、ウイスキー、ビールを製造販売している。
大きなオールド・ファッションド・グラスに注ぎ、オンザロックスで味わう。
オールド・モンクの特徴は、滑らかな熟成感にある。
キャラメル、チャコール、カカオの味わいを持ち、75プルーフという強さながら甘みさえも感じる。
食後、音楽を聴きながら、映画を観ながら嗜むのに適したスピリッツである。
今夜も楽しい、お家ナイトキャップでした。