ディワリは10月末から11月初めの新月の日に定められ、女神ラクシュミーをお祝いする、いわばお正月なのだ。
今夜はその前夜ということで、街中が大騒ぎ。
西ベンガル州のコルカタではカーリー神の像が街々に飾られ、ここジャルカンド州ではガネーシャの像が飾られている。
私が宿泊する『ジ・アルコル』でも、ロビーに花びらで綺麗な飾りが造られ、お祭りの準備が進んでいる。
ロビーで写真を撮っていると、二階に上がって撮れば真上からとれますよ、フロントの女性がアドヴァイスをくれた。
二階に上がり、身を乗り出して撮影しようとすると、彼女がちゃっかりと飾りの隣に立ち、カメラ目線で撮るように合図する。
日が暮れると、ホテルの従業員と宿泊客が一緒に飾りに点灯する。
私も支配人に続き、点灯の儀式に参加。
それだけで参加者の一体感が高まってくる。
支配人、宿泊客代表、コック、フロア・マネジャーが次々と点灯し、飾りが明るく輝き始める。
さて、これから何が行われるのかと待っていると、皆さん前庭に出て下さいとのこと。
外に出てみると、明るいうちには気が付かなかったが、ホテルにもイルミネーションが施され、美しく輝いている。
昼間に見ると、単なる地方都市のホテルにしか見えないが、こうして観ると、綺麗なホテルに思える。
芝生の庭に立ち、何をするのだろうかと待っていると、コックさん達が庭に置かれた箱にマッチで火を点け始めた。
2mほどの高さの火柱が次々と上がる。
手造りのお祝いという感じに、親近感が湧く。
真っ直ぐ上がればよいのだが、時々斜めに飛んでいくので、火の粉が観客の間近にも降り注ぐ。
わぁっと言って火の粉を避けるのも面白い。
一番大変なのは、花火に火を点けに走るコックさん。
何故これがコックさんの役割なのかわからないが、太ったコックさんが火を点けて急いで逃げてくる姿に笑いが湧く。
上空で炸裂する花火を観ていると、子供の頃の夏休みを思い出す。
花火が上がっているのはここだけではない。
そこかしこから爆竹の音が聞こえ、小さな打ち上げ花火が夜空を飾る。
花火が終わり、ロビーに戻るとお祝いのお菓子が用意されていた。
フロア・マネジャーが菓子を皿に乗せ、手渡してくれる。
今夜は彼もバシッと正装を決めている。
顔も締まっていてなかなか良い。
小さな三つの菓子なのだが、とても甘いので完食に苦労する。
でも、お祝いなので全て食べるよう努力する。
インドでの初めてのディワリ、ホテルのホスピタリティのお蔭で、とても貴重な経験となりました。