あの大震災から早くも5年。
まだまだ進まぬ被災地の復興と行方不明者の探索に、改めて心が痛み、自分に出来ることは何なのだろうと考える。
5年前の今日は、インドから帰る飛行機の中に居た。
成田空港に16時過ぎに着陸するために車輪を出し高度を下げた。
ところが急に機首を上げ、成田空港が閉鎖になったとの機内放送。
訳がわからないまま関西空港に降り立った。
5年前の今日は、今日と同じくとても寒かった。
インド帰りと言うことで、麻の背広を着ただけで、二個の大きなスーツケースを抱え、新大阪で動かぬ新幹線を振るえながら待った。
阪神淡路大震災の時は、東京駅始発ののぞみに乗車し、名古屋付近で立ち往生して閉じ込められた。
トルコ大地震の時は、イスタンブールに居た。
災害の記憶は風化しやすい。
今日は危機意識を新たにし、災害が人災とならぬように努めることを心に刻まなければならない。
今夜は一昨年の春にバルセロナで購入したワインを抜栓した。
バルセロナでは地元カタルーニャ産を中心にワインを数本購入したが、既にほとんど飲んでしまい、これが最後の1本。
スペイン・ワインと言えば今まではリオハばかり飲んでいたが、バルセロナでカタルーニャ・ワインに出会い、すっかりファンになってしまった。
イ・タン、ガルナチャ・ネグラ、2012年。
DOはモンサン。
モンサンは、カタルーニャ州タラゴナ県にあるDO。
モンサンでは多くのぶどう品種がDOで認可されており、ガルナチャ・ネグラはその中の赤用品種のひとつ。
ガルナチャはフランス語ではグルナッシュで、サルデーニャではカンノナウ。
一説ではサルデーニャが原産地で、スペインが統治した14世紀にスペインにもたらされたと言われている。
イ・タン自身については初めて出会うワインであり、また日本にも輸入されていないようなので情報を持っていない。
ネットで調べても、欧州のワイン案内サイトで簡単に紹介されている程度。
その紹介によると、モンサンのワインは欧州では知名度が低く、イ・タンも稀にしか売られていないとのこと。
イ・タンの紹介ページには生産者であるイ・タンの説明は無く、ぶどう品種のガルナチャに関する記述が大部分を占めている。
総じて言えば、低い価格帯にしては旨いコスパ・ワインとの評価だ。
ぶどうの果実香を持つが、口に含むと果実味はそれほど感じない。
タンニンは円やかで、酸は少ない。
適度の熟成感を持ち、余韻は中程度。
確かにバランスの良いワインであり、€10ちょっとという価格を考えれば、コストパフォーマンスはとても高い。
スペイン・ワインをもっと飲まなければと再認識した、今夜も楽しいお家ワインでした。