今夜は彼女を誘って、自由ヶ丘にあるフレンチ、『ル・ジュ・ジュ』を久し振りに訪れた。
ここは言わずと知れた、あの鈴木琢也シェフのお店。
羽田空港から、急いで自由ヶ丘に向かう。
彼女とはお店で待ち合わせということにしていたが、飛行機を降りてスマートフォーンの電源を入れると、彼女からのメールが入っていた。
「ル・ジュ・ジュにどう行けば良いか教えて!」
それなら、お店待ち合わせで大丈夫かと聞いた時に、質問してくれれば良いじゃないか、と心では思いながらも急いで返信を送る。
「自由ヶ丘駅北口改札を出て右に進み、すぐの交差点を左折。最初の交差点の手前左側のビルの3階だよ」
先に着くと、ワインを選ぶ。
待ち合わせ時間を過ぎ、ワインを選び終えても彼女は現れない。
迷っているといけないと思い、「駅まで迎えに行くよ」とメールすると同時に、ドアが開いて彼女が現れた。
「ここ、わかりやすいから真っ直ぐ迷わずに来れたわよ」
真っ直ぐに来たのにだいぶ遅れたね、と言いたい気持ちが、彼女の素敵な笑顔によって消えてしまう。
今夜のシャンパーニュは、ピオロ・ペール・エ・フィスが造る、キュヴェ・ド・レゼルヴ。
ビオロジックで造られるシャンパーニュで、セパージュはピノ・ノワール50%、シャルドネ40%、ピノ・ムニエ10%。
蜂蜜の香りを持つ、クリーミーでフルーティーな辛口。
前菜は、フォアグラ。
フォアグラの濃厚な旨味が、空いたお腹に染み渡る。
外はパリパリなので、中のしっとりした部分でソースを掬って食べる。
煮詰めたスープに、エスプーマが良く合う。
秋を感じる一品。
濃厚なソースとの絡みが抜群に良い。
彼の創作フレンチには定評があり、料理長を務めていた『hAru』にはよく通ったものだ。
今は彼の店で、こうして料理を楽しむことができる。
彼女と過ごす自由ヶ丘の素敵な夜の続きは、また明日。