北九州市の小倉での夜。
行きつけのバー、『UEDA』を訪れた。
マスターとはもう長い付き合いになる。
早速、大好きなアイランズ・モルトを楽しむ。
スカイ島のタリスカ-、30年。
タリスカーはアイランズ・モルトの中でもヨード香が強いモルト。
でも、30年ともなると、実に円やか。
それでもアルコ-ル度数は57.3%もあり、飲みすぎは禁物。
この30年はかなり珍しく、私も輸入元の事業部長に頼んで手に入れたもの。
歳と共に円熟味を増し、しかも強さを失わない。
このモルトを飲むと、そんな男になりたいと切に思う。
今夜はストレートで飲んだが、強く香り豊かなモルトはトゥワイスアップで飲んでも美味い。
ここでオンザロックスを頼むと、丸い氷を入れたグラスで供される。
今では丸く削った氷は一般的だが、上田マスターが氷を丸く削る飲み方を考案したのは、37年前とのこと。
溶けた氷の水でモルトを出来るだけ薄めないで、長時間楽しむことができるように考えた。
こうして丸い氷を作るのです、と実演中の上田さん。
まさに丸い氷の草分けである。
野菜の炊き合わせが美味い。
二杯目は、更に熟成を重ね、円熟味を増したモルトを飲むことにする。
アイラ島のモルト、ブルイックラディ、1970年ヴィンテージ、35年物の、125周年記念ボトル。
世界食後酒コンクールで優勝したモルトであり、世界に2502本しか存在しない超レア物アイラ・モルトである。
これは至極の酒というに相応しい、素晴らしいモルトなのだ。
ブルイックラディとはゲール語で”盛り上がった砂”の意味で、1881年に創設された、アイラ島の8つのモルトの中で最も洗練されていると言われている。
アイラ・モルトをゆっくり楽しんだ後は、カクテルで締めくくる。
大好きなプレミアム・ウォッカ、ベルヴェデール。
ダウゴウスキーゴールドライ麦100%で造られる、ポーランドの最高のウォッカなのだ。
瓶の中を覗くと、ベルヴェデール宮殿が美しく浮かび上がる。
ベルヴェデールとは宮殿の名前でもあり、美しいという意味でもある。
何時もはにこやかなマスターが、シェーカーを握ると真剣な顔になる。
こちらはにやにやしながら、マスターの手際の良いシェーカー捌きを楽しむ。
この透き通った、ベルヴェデールで造られたドライ・マティーニがたまらなく美味いのだ。
ここではオリーブの塩分がマティーニに移らないように、別の皿に乗せて供される。
マスターのそんなちょっとした拘りが嬉しい。
マスターとの静かな会話を楽しみながら、『UEDA』での夜は更けていきました。



