中国には何度も行き、随分多くの中国ワインを飲んでいるが、価格に見合って美味いと思ったことは一度も無かった。
安くて不味いのは仕方が無いが、高くて不味いのは許せない。
それでも、何時かは美味いワインに出会えるかもしれないと思い、行く度に中国産のワインを探して購入している。
中国産の、とわざわざ書いたのは、ワイン・ショップにいっぱいある中国のワインの大部分は、海外から原液を輸入して中国でボトルに詰め変えているものなのだ。
中国でぶどうを栽培し、ワインを生産している大手の生産者が何社かある。
グレートウォール(長城)、チャンユウ(張裕)、ドラゴンシール(龍微)、そしてこのダイナスティー(王朝)等が有名どころだ。
各社の高級ワインを探すと、何故かどれもヴィンテージは94年。
もう20年近くも前のヴィンテージである。
本当にそんなに昔から良いワイン造りが行われていたのか疑問に思うが、試しに各社の一番高い94年物を4本購入してみた。
王朝ワインの会社は天津にあるが、上海の販売品と書かれている。
やはりこの価格では上海でしか売れないのだろう。
4本購入した時は店員が数人私を取り囲み、一人1本ずつボトルを大事そうに持ち、キャッシャーまでエスコートしてくれた。
エチケットには、
「世界的に有名なカベルネ・ソーヴィニヨンで造られ、オークの樽で熟成し、ボトリング後はセラーで寝かした。
優雅で調和のとれたアロマと円やかなフル・ボディ。
抑制された飲み方は、健康に良い」
と英語で書かれている。
裏を見ると、同じ記述が中国語で書かれている。
購入した4本の内、2本は既に飲んだが、やたらとタンニンが強いばかりで、果実味も熟成感も無く、はっきり不味かった。
それでも、以前購入したボトルの半分がブショネだったことに較べればましだと思ったものだ。
このボトルも、期待せず抜栓した。
色合いは、濃い赤紫で、退色は見受けられない。
顔を近付けると、香りは控えめだが、バランスの取れた果実香。
おやっと思い口に運ぶと、円やかなタンニンと熟成感のバランスが良い。
酸はあまり無く、余韻も短いが、これはなかなか美味い。
実はこの94年を飲むのは二本目だが、一本目は不味かったし、96年も美味くなかった。
ボトル差が激しいと言うことか、店での保管状態が悪いと言うことかわからないが、いずれにせよこのボトルは当たりであった。
価格を考えるともっと美味くても良いとは思うが、ここ数年に飲んだ中国ワインでは一番良いボトルに当たり、ちょっと幸せになった夜でした。