白金高輪のフレンチの名店、『アルヴィナール』で開催された、「幻ワインエステート」、ワインメーカーズ・ディナーの続き。
最初の幻ワインは、シャルドネ、ロス・カーネロス、2007年。
幻ワインのファースト・ヴィンテージは、1999年のメルロー。
そしてシャルドネのファーストヴィンテージは、この2007年。
カリフォルニアのシャルドネの6年物はすでにバックヴィンテージで、今回は特別の出品。
グラスを傾けると、強い凝縮された果実香と、透明だが粘性の強いアルコールを感じる。
口に含むと、カリフォルニアの豊穣な果実味ではなく、ムルソーのような干し草にも似た素晴らしい熟成感。
私市さん自身久し振りに飲む2007年のシャルドネであり、こんなに美味く熟成が進んでいることに驚いたとのこと。
ブルゴーニュ風のシャルドネ造りを目指してきただけに、本当に嬉しそうである。
ワインの紹介も楽しいが、農園で働くメキシコ人達の話も面白い。
とてもシャイな方で、口数は少ないが、ワイン造りに込めた情熱はひしひしと伝わってくる。
島田シェフが、シャルドネに負けないしっかりとした料理に仕上げている。
三本目のワインは、ピノ・ノワール、ロシアン・リヴァー・ヴァレー、2007年。
初ヴィンテージは、2004年。
ピノ・ノワールは、今や幻を代表するワインになっている。
100%フレンチオークの樽で熟成されており、新樽比率は50%、10ヶ月の熟成期間を経て出荷されている。
生産量はわずか3,360本という、入手困難なワインなのだ。
鼻を近付けるとスミレの香りを持ち、口に含むと黒い果実の香りが膨らむ。
湿った広葉樹のくぐもった香りが複雑なニュアンスを形作り、タンニンも充分。
重くて広がりの無いカリフォルニアの従来のピノとは明らかに異なる、素晴らしい余韻。
幻の名前を不動のものとした理由がわかる気がする。
幻ピノ・ノワールに漬けた桜肉、愛媛産伊予牛のサラミ仕立て、フランス産マグレ鴨の燻製。
これは素晴らしく美味い。
『アルヴィナール』で彼女と過ごす、幻の夜はまだまだ続く。
素敵な夜の続きのご紹介は、また明日。