白金高輪のフレンチの名店、『アルヴィナール』で「幻ワイン・エステート」のワインメーカーズ・ディナーが開かれた。
幻と言えば、カリフォルニアを代表するカルト・ワインのひとつ。
そして、私市友宏(きさいちともひろ)氏が奥様のレベッカさんと共に運営するワイナリーなのだ。
私市さんが来日される時には、極力お会いするようにしているが、私自身日本に居ないことが多いので、スケジュールがなかなか合わない。
ところが、今回は丁度時間が取れたので、彼女を誘って参加することにした。
思いのほか路が空いていて、予定よりも随分早く店に着いてしまった。
そのため、店には私達が一番乗り。
今回は、私市さんのワイン会は一晩限り。
幻ファンは多く、店いっぱいに席が広がる。
厨房では島田哲也シェフの指揮の元、今夜の料理の準備が忙しく進んでいる。
二列に並んだテーブルの全体を見渡せる、絶好の位置。
座席表によると、私の右隣が彼女で、左隣は私市さんご本人。
これは楽しい夜となりそうだ。
美しく着飾った女性が多く目立つ。
島田シェフの挨拶で、会が始まる。
島田シェフと私市さんのお付き合いは長く、幻ワイナリーのもう一つのブランド、”レベッカ・ピノ・ノワール”は、島田シェフが「幻のピノはフレンチには強過ぎる」と言ったため、よりエレガントなピノとして造られたものなのだ。
最初のワインは、サイモン・レヴィ・セラーズの、ポー・ラ・ヴィ・スパークリング、”グラン・キュヴェ”。
幻ワイナリーではスパークリングは生産していない。
サイモン・レヴィ・セラーズは、レベッカさんがワイン・メーカーをしていたワイナリー。
レベッカさんは、あのヘレン・ターナー女史のアシスタントも長年務めた方なのだ。
昨年はレベッカさんも来日されたが、今年は来られず、残念。
グラスに注ぐと、かなり濃い黄金色。
鼻を近付けると、果実の香りがふわっと立ち昇る。
フルーティで、カリフォルニアの大地の恵みを体現したような、楽しいスパークリング。
シャルドネ100%で、シャルマ製法で造られている。
目を引くアールヌーボー調のエチケットは、レベッカさんが選んだものだそうだ。
前菜は、フランス産ホワイトアスパラガスのポッシェ、山椒風味のサバイヨンソース。
さあ、素敵な幻ワインエステートの、ワインメーカーズ・ディナーの始まりです。