北九州の友人が、小倉にある鮨の名店、『俵』に案内してくれた。
店に入ると、ご主人の山本さんが笑顔で出迎えてくれる。
予約しておいたカウンターに腰を下ろすと、目の前に並ぶ今夜の海の幸をひと渡り眺める。
ご主人の奥に置かれたビニールの袋の中では、何か怪しげな影がごそごそ。
これは、と期待に胸膨らむ。
今夜は友人が、ご主人のお任せコースを頼んでくれているので、何が出されるか楽しみだ。
十四代槽垂れ(ふなたれ)純米吟醸原酒本生酒。
これはいきなり凄い酒が出てきた。
超人気の十四代の中でも、二ヶ月以内に飲んで下さいと書かれた生の原酒である。
醸造米は、龍の落とし子でもなく、山田錦でも美山錦でも五百万石でもなく、佐賀酒12号。
いきなりこんな酒を飲んでしまうと、次の選択に困ってしまう。
目の前でご主人が赤紫のメカブを火で炙ると、見る見るうちに綺麗なグリーンに変わっていくのが面白い。
生と、軽い炙りの二種の食べ方。
脂が乗り、とろりと甘味があって美味い。
身だけではなく、胃袋、皮も食感が良く美味。
福井県の黒龍酒造が醸す、黒龍純米吟醸。
黒龍は、1803年創業の伝統ある酒蔵。
上品で洗練され、深みのある素晴らしい純米吟醸である。
使用米は五百万石、精米歩合は55%。
でも、見ただけでは違いはわからない。
さて、小倉の鮨の名店、『俵』での楽しい夜の続きはまた明日。