ようやく日も暮れ、ホテルの中庭にも照明が美しく灯る。
夜になってもコルカタはあまりに暑いので、外に出るのは止め、『ハイアット・リージェンシー』の中で食事を済ませることにした。
コルカタに来ると、一度は訪れる店である。
最初はビールで乾いた喉を潤す。
日本ではビールで食事を始めることはほとんど無いのだが、コルカタではビールが美味い。
これは、インドの代表的ビール、キング・フィッシャーのプレミアム。
キング・フィッシャーとは、カワセミのこと。
エチケットにも、綺麗な色彩のカワセミが描かれている。
これだけでお腹がいっぱいになってしまいそうだが、他のテーブルを見ていると、皆さん結構平らげてしまっている。
インドではアスパラガスは取れないので、輸入品なのだそうだ。
烏賊、海老、魚のフリットはかなりのヴォリューム。
インドは酒類の関税が高く、輸入ワインはかなり高価。
リストを見ると、インド産のグローヴァー・ヴィンヤーズも掲載されており、価格は輸入品の半額。
グローヴァーは、バンガロールの北方にある、ミッシェル・ローランが指導するワイナリーで、インドでは最も良いワインを生産している。
でも今夜はイタリアン。
好きなトスカーナの造り手、バンフィのワインがあったので、それを注文する。
コル・ディ・サッソ、2008年。
コル・ディ・サッソとは、石の丘という意味。
バンフィが居を構える、モンタルチーノの土壌を現した名前だ。
バンフィは、トスカーナのモンタルチーノを代表する造り手。
その素晴らしいコスパ・ワインが、このコル・ディ・サッソなのだ。
ぶどうは、カベルネ・ソーヴィニヨン70%、サンジョヴェーゼ30%。
海老肉とフレッシュトマト・ソースのフェトチーネ。
それと鶏肉を詰めたリガトーニを注文したが、鶏肉のグリルが一緒に出てくるとは思っていなかった。
何時もは静かなお店も、日曜の夜は若い家族連れやカップルで満席となっている。
ここはインドでは極めて高価なお店だが、富裕層が増えていることが良くわかる。
食後は、バガーディ・ラムをダブル・オン・ザ・ロックスで飲む。
今朝の新聞で、インドではラムがジンよりも多く消費されていることを知り、試してみたくなったのだ。
まろやかで強い上質のラムは、カリブの女性を想わせる。
コルカタのイタリアンで過ごす、楽しい夜でした。