そこで、17時から食事が出来る、丸の内の『マンゴツリー東京』で彼女と待ち合わせた。
でも、私が遅れてしまい、丸ビルの35階に着いたのは、もう17時15分。
18時ちょっと過ぎには店を出ないと間に合わないのだ。
そこで、ワインと、すぐに食べられる料理を先に選んで置くようにメールで頼んでおいた。
息せき切って店に駆け込むと、一番奥の窓際の席に座った彼女が、ほっとしたように手を振る。
まだ他に客は居ないので、素敵な彼女を見逃すはずが無いよ、と思いながらもちょっと嬉しくなる。
ワインは、私達のために店が取り寄せてくれたル・デュモンがあるというので、それを飲むことにする。
ブルゴーニュの仲田晃司さんのワイナリー、ル・デュモンがネゴシアンとして世に送り出している、レア・コレクション、ソーヴィニヨン・ド・サン・ブリ、1998年。
充分に熟成が進み、熟成感の強い、干した麦藁のようなボディ。
しかし、後味にはソーヴィニヨンの華やかなフルーツ香を感じる。
これを飲みたくて、取り寄せてもらったのだ。
サン・ブリは、シャブリ地区近郊で造られる、ブルゴーニュ唯一のソーヴィニヨン・ブランの産地である。
アラカルト・メニューからは消えてしまったが、彼女の頼みで造ってもらったのだそうだ。
魚から造られた味噌を付けて食べると、オリエンタルで美味い。
ピリ辛で美味。
センスが良いといつも彼女に誉められるのだが、私が片手でフォークとスプーンを使って取り分けるとこんな感じ。
男はおだてられると、喜んで取り分けの仕事を引き受けてしまうのだ。
今夜は塩野七生さんが来られるというので、会場は熱気に包まれている。
お話をされているのは、ペトローネ駐日イタリア大使。
ちょっと忙しい食事だったけど、久し振りに塩野さんの元気な姿を見ることができた、楽しい夜でした。