訪れた店は、『アトル』。
小倉では珍しい、本格的なセラーを備えたお店だ。
一段、また一段と歩を進めるに合わせ、今夜の料理とワインへの期待感が膨らむ。
そして踊り場に達する直前に、「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」と店員が迎えてくれる。
久し振りの訪問である。
あっという間に飲んでしまったので、ボトルの写真を撮り忘れてしまった。
サン・フランチェスコが造る、コスタ・ダマルフィ・トラモンティ・ビアンコ、2009年。
サン・フランチェスコは2004年設立の若いカンティーナ。
カンティーナのあるアマルフィは、ユネスコ世界遺産に指定されている。
その中でも、ソレント半島にあるトラモンティは「陽が沈む」とう意味を持ち、三方を海に囲まれた辺境の地。
そのためフィロキセラ禍を逃れ、今も80種の土着品種が残ると言われている。
セパージュは、ファランギーナ50%、ビアンコレッラ25%、ペペッラ25%で、ビアンコレッラとペペッラはフィロキセラに侵されなかった自根種である。
ステンレス・タンクで発酵、熟成されたボディは、ミネラル感に富み、豊かなぶどうの風味を感じさせる。
コスタ・ダマルフィに良く合う。
添えられた野菜と合わせて食べると美味い。
ソフトシェルクラブのトマトクリームソースのスパゲッティ。
これは私のお気に入り。
このお店でイタリア以外の産地のワインを飲むのは初めてかもしれない。
オー・メドックのグラン・クリュ、シャトー・カマンサック、1999年。
グラン・クリュでありながら、地味な存在だったカマンサック。
しかし、今ではしっかりとしたボディを持つ、ボニューム感のあるワインとなっている。
滑らかな口当たりで、料理との相性も良い。
イタリアンにボルドーを合わせてみるのも、たまには面白い。
セパージュは、カベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロー40%。
バランスの良いボルドーである。
やはりグラン・クリュは、コルクにも名前がきちんと入っている。
シャラン産鴨モモ肉のコンセルバート。
まだカマンサックが残っていたので、フォルマッジオを切ってもらう。
ブルー、シェーブル、ウォッシュド。
小倉で楽しむイタリアンとワイン。
友人との楽しい会話と共に、小倉の夜は更けました。