大切な友人なので、特別なお店にご招待。
店の入り口にあるこの住所表示は、ローマにある本店のもの。
ホテル・アイビスのエレベーターを、最上階の13階で降りると、今夜の魚が迎えてくれる。
早速スプマンテで乾杯。
カルペーネ・マルヴォルティのプロセッコ・ディ・コネリアーノ。
切れ味の良い辛口のスパークリング。
カルペーネ・マルヴォルティは、ヴェネト州を代表するプロセッコの生産者である。
プリフィックス・メニューではあるが、前菜は六種類の中から好きなものを選択できる。
友人は鮮魚のカルパッチョ、サラデ仕立てカラスミ添えを、私は牛肉のカルパッチョ、サラダ仕立てレモンソースを選択。
プロセッコで喉を潤すと、もう白ワインを飲みたくなる。
ラツィオ州でフォンタナ・カンディダが生産する、サンタ・テレーザ、フラスカーティ・スーペリオーレ・セッコ、2008年。
ぶどうは、マルヴァージア、トレッビアーノ、グレコ。
フラスカーティは、爽やかな飲み口の気軽な白。
ところが、サンタ・テレーザはハチミツと白い花の香りを持つ、深い味わい。
サンタ・テレーザは、フォンタナ・カンディダが保有する南向きの斜面にある、最高のぶどう畑なのだ。
スープは、カリフラワーのスープ。
三本目は赤に切り替える。
四本目に重い赤を持ってくるために軽めのものを、しかしぶどうの特徴を良く備えたものを選ぶ。
トレンティーノ・アルト・アディジェ州のラ・ヴィスが造る、トレンティーノ・ピノ・ノワール、2007年。
でも、なにかおかしい。
ピノ・ノワールはフランス語。
イタリア語ではピノ・ネーロだし、トレンティーノ州ではドイツ語が多く使われているため、ブラウブルグンダーと表記されることが多い。
でも、中身はピノ・ネーロの凝縮感に富んだ素晴らしい仕上がりで、満足。
エチケットの画が素敵だが、これはトレンティーノ出身の女流画家、パラオ・デ・マルコーニの作品。
次の料理は、ホタルイカと彩野菜のスパゲッティー。
季節感あふれる一皿である。
そして四本目は、ヴェネト州のモンテ・ゾ-ヴォが造る、ヴィッラ・アンナベルタ、カナヤ、2006年。
中身はアマローネそのものだが、ヴァルポリチェッラの指定地域の外で造っているためアマローネを名乗らず、リーズナブルな価格で販売されている、美味くてお得なワインなのだ。
実に深くて強い、最高のフルボディである。
友人が選んだメインは、鱸とホタテ貝のソテー、サクラエビ風味のトマトソース。
入り口で迎えてくれた、あの鱸だ。
私は、イベリコ豚肩ロース肉のロースト、バルサミコソース。
そして今夜の仕上げは、トスカーナのグラッパ。
一杯になったお腹の消化を一気に促進してくれる。
少し胃に余裕が出来たので、デザート・ワゴンから好きなケーキを選ぶ。
私が選んだのは、イチジクのタルト、カボチャのムース、リキュールたっぷりのティラミス。
サバティーニのお陰で、海外に単身赴任する友人を送る、素晴らしい一夜となりました。