今夜は家で美味いワインを飲みたくなった、
セラー内をごそごそ探し、一本のワインを選んだ。
セッツァーナ、2001年。
ピエモンテ州を、いや今やイタリアを代表するラ・スピネッタがトスカーナに進出して造るワインである。
ラ・スピネッタとは、ピエモンテ州に連なる丘陵の頂上のこと。
最高のワイン造りにかける熱い想いが、社名からも伝わってくる。
セッツァーナという名前は、畑があるトスカーナ州ピサ県のカッシーナ・テルメという温泉の古い呼び名で、エチケットの絵は約300年前に使われていた保養所の風景。
ボトルの裏を見ると、ラ・スピネッタの象徴ともいえる犀の細密画が描かれている。
この画を使っているのは、ワイン造りに犀のように直進すると言う意志の表れ。
ドイツ・ルネッサンスを代表する画家、アルブレヒト・デューラー
の作品である。
デューラーは本物の犀は見たことがなく、聞き伝えを元にこの銅版画を描いたといわれており、原画は大英博物館に収蔵されている。
グラスに注ぐと、色合いは濃いルビー色で、サンジョヴェーゼの香りに加え、樽香を感じる。
ボディは非常に強く、滑らかなタンニンと適度の酸を持つ。
三年前に同じヴィンテージを飲んだが、その時は硬い印象が強かった。
9年の熟成を経た今、強いボディにまろやかさが加わり、思わずニンマリとするような素晴らしいワインに変身していた。
ぶどうは全てトスカーナのもので、サンジョヴェーゼが90%、残りはブルニョーロ・ジェンテーレとコロリーノ。
新樽のバリック(小樽)で12ヶ月間熟成させ、アルコール度数は14%。
セラーにはもう一本のセッツァーナ、2004年が眠っている。
三年後を楽しみに、寝かせておくことにしよう。