アメリカのワインと言えば、カリフォルニアと相場は決まっていた。
ところが今では、オレゴンやワシントン州に良いワインの生産者がどんどん現れている。
東海岸でも、ニューヨーク州に新しいワイナリーが設立されている。
これも地球温暖化のせいかもしれない。
そして、ワインの醸造技術の進歩もあるのであろう。
私にとっては、カリフォルニアの温暖で日照時間の長い地域で造られる豊饒なワインよりも、気温が低く寒暖の差の大きな北部地方で造られるワインの方が好みなので、この流れは嬉しいことである。
と言うことで、今夜は東京のオレゴン・ワインの殿堂、『ジ・オレゴン・バー&グリル』(汐留)に行くこととした。
と言っても、残念ながら今夜は彼女と一緒ではない。
古い友人に、シティセンターの42階からの東京の眺望を紹介するために、ここを選んだのだ。
更に言うと、私の本の表紙の写真は、『オレゴン』から東京タワー方面を望む夜景を使っているため、実際の眺めを見せたかったのだ。
そして手前に写っているテーブルは私の何時もの指定席。
最初の白は、オレゴン産のピノ・グリを選ぶ。
オルソン・ファミリー・ヴィンヤーズ、ヴァリディアン、オレゴン・ピノ・グリ、2006年。
香りは華やかで、思ったよりふくよかなピノ・グリ。
でも、美味い。
最初の皿は、マグロ中トロの炙り焼き、アヴォカド添え。
バルサミコ・ソースとの絡みが好い。
次に選んだ料理は、グリーンアスパラガスと鴨のソテー。
やはりオレゴンのワインを選ぶ。
オレゴンといえば、ピノ・ノワール。
ドメーヌ・セリーヌの、ピノ・ノワール、ヤムヒル・キュヴェ、2005年。
オレゴン州を代表するピノ・ノワールである。
澄んだ綺麗なルビー色をしており、ピノ・ノワールの凝縮された香りが素晴らしい。
ぶどうの品質を上げるため、一枝にひと房しか実を付けさせず、収穫は手摘み、醸造時もポンプは一切使わず、重力による移動に頼ると言う徹底ぶり。
正直に言って、ブルゴーニュのピノに較べ、オレゴンのピノは同じカテゴリーで評価は出来ない。
品評会でオレゴンのピノがブルゴーニュのピノに勝ったといっても、オレゴンのピノがブルゴーニュのピノを超えたということではない。
やはりブルゴーニュのピノは特別だ。
しかしオレゴンのピノを別のワインと考えると、素晴らしいワインであることは間違いない。
ここで、コブ・サラダがテーブルに届く。
そしていよいよメイン料理の、ビッグ・プレート。
スカンピ、真鯛、ステーキが大きな皿にてんこ盛りになっている。
もうここまで食べるとお腹は一杯。
でも、デザートは別腹。
ワゴン一杯に盛られたデザートの見本から、好きなものを選ぶ。
友人も、42階からの眺望と、オレゴンの豪快な料理、そしてオレゴンの素晴らしいワインに感激。
久しぶりの再会を祝う、楽しい夜となりました。