友人に食事に招待された。
そこで、手土産を買いに日本橋高島屋に立ち寄った。
どうせ持っていくならシャンパーニュが好いかな、と思い、ワイン売り場のシャンパーニュ・コーナーへ。
ポメリー、モエ・エ・シャンドン、ヴーヴ・クリコ、これでは当たり前すぎる。
テタンジェ、ペリエ・ジュエ、ゴッセ、ローラン・ペリエ、アヤラ、ボランジェ、ポル・ロジェ・・・う~ん、どれにしよう。
その時、一本のシャンパーニュの上に目が止まった。
そして、熱い想い出が突然胸に湧き上がった。
もうだぶ以前のこと。
あるところで素敵な女性と出会った。
その女性は、友人たちからNINAと呼ばれていた。
才気、容姿共に優れ、一度会っただけですっかり虜に。
日・英・独・仏語を話す、マルチリンガルな女性。
好奇心、向上心が強く、話も幅が広く、相手を飽きさせない。
でも、NINAは何時も超多忙。
私も暇ではなかったが、可能な限り時間を合わせ、夕食を共にした。
渋谷桜ケ丘にあった名店、『ネプシス』に食事に誘った時のこと。
「何時もお食事に誘っていただいて、ありがとう」と言って、私にくれたのが、リッツ・ブリュット・ロゼ。
NINAの父親はパリに行くことが多く、常宿がホテル・リッツ・パリなのだそうだ。
そこで家にもリッツのシャンパーニュが何本かあるとのことで、その中から一本を持ってきてくれたのだ。
1898年、パリのヴァンドーム広場にオープンした最高級ホテル、リッツ・パリ。
そのホテル・リッツ・パリのために特別に造られたのが、このシャンパーニュ、リッツ・ブリュット・ロゼである。
出会って僅か三ヶ月。
ソルボンヌ大学に留学するため、パリに飛び立ってしまった。
NINAの想い出がっぱい詰まったシャンパーニュ。
思わず買ってしまいました。