ヴェネツィアのカナル沿いの素敵なレストラン。
あぁ、彼女と一緒なら楽しいのに、と思いながらワイン・グラスを口に運ぶ。
ミラノでの仕事が早く終わったので、ミラノ在住の友人が車を飛ばしてヴェネツィアに一泊旅行に連れてきてくれたのだ。
その頃の私は、ワインと言えばフランスかドイツ。
まだイタリア・ワインには興味が無かった頃のお話。
そのイタリア人の友人が、二本のイタリア・ワインを注文してくれました。
最初の一本は、ジュゼッペ・クインタレッリのヴァルポリチェッラ・クラッシコ。
若々しい味わいの洗練されたボディ。 この造り手のヴァルポリチェッラは、日本では入手困難な名品。
ヴァルポリチェッラは、気軽に飲める安価なワインとの認識を覆す、素晴らしい一本。
ヴァルポリチェッラは、ヴェネツィアのあるヴェネト州の、ヴェローナのワイン。
ヴェローナと言えば、ロミオとジュリエット。
二人の悲しい恋の物語を連想させる、高貴な味わいのこのワインは、「ヴェローナの王子」と呼ばれている。
そしてもう一本は、トマジのアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ。
ヴァルポリチェッラがヴェローナの王子なら、アマローネは「ヴェローナの王」と呼ばれている。
その味わいは、王と呼ぶに相応しい重厚なもの。
ぶどうを数か月間陰干しにし、糖度を高めてから醸造される、芳醇なワイン。
糖分を残した甘口がレチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラ、糖分を残さない辛口がアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ。
ヴァルポリチェッラのぶどうは、ヴェネト州のぶどうである、コルヴィーナ、ロンディネッラ、モリナーラ。
イタリア・ワインの奥の深さを実感した経験となりました。
それ以来、ピエモンテ、トスカーナ、そしてカンパーニャ、シチリアと知識を深め、今では飲むワインの半分はイタリア・ワイン。
今考えても、ミラノの友人のワインの選択は、気が効いていたと感謝しています。