今夜はワイン通の友人一組を招いて、ワインの試飲会。
彼女と僕がホストを務める。
本当は彼女と二人だけで試飲をしたかったけど、二人では三本のワインはとても飲みきれない。
そこで残念ながら一組の友人を招いて、六本木のグランド・ハイアット東京の部屋で試飲会を行うことにした。
二人のゲストが、ペックのロースト・ビーフや、海老のサラダ、ペンネのサラダ、ドライ・トマトのエクストラ・ヴァージン・オリーヴ・オイル漬け、そしてプロシュートやサーモンのサンドウィッチを大量に持ってきてくれた。
ドサージュ(加糖)を行わず、糖度の高い良質のぶどうのみを用いて造られる、切れの良い辛口シャンパーニュである。
喉を潤した後は、食事をしながら今夜の目的のワイン、三本を抜栓する。
一本目のワインは、アルトロヴィーノ、2005年。
直訳すると、”他のワイン”。
”格別のワイン”とでも訳せば良いのだろうか。
二本目は、ドゥエマーニ、2004年。
つまり”両手”という名前。
そして三本目は、スイサッシ、2004年。
”小石の上”というおかしな名前。
なんとも奇妙な名前の三兄弟。
これらのワインは、イタリアのスーパー・エノロゴ=天才醸造家であるルカ・ダットーマの作品なのだ。
ルカ・ダットーマはトスカーナの素晴らしいワインを次々と生み出してきた巨匠であり、その彼が自らワイナリーを開設したのは2000年のこと。
カベルネ・フラン、メルロー、シラーの三種のぶどうを植え付け、バイオダイナミック・ワイナリーの資格を取得し、有機栽培によるワイン造りに注力してきた。
そして2003年に世界に最初に送り出したワインが、このアルトロヴィーノなのだ。
アルトロヴィーノのセパージュは、メルローとカベルネ・フランが50%ずつ。
次に世界を驚かせたのが2004年にリリースされた、ワイナリーの名前を冠するドゥエマーニと、ダットーマの最高峰のワイン、スイサッシである。
ドゥエマーニはカベルネ・フラン、スイサッシはシラーから造られている。
アルトロヴィーノについて言えば、2004年はカベルネ・フランを全てドゥエマーニの生産に回してしまったので、アルトロヴィーノは生産されていない。
またアルトロヴィーノは、2005年がダットーマの求める本来のワインと言われている。
そこで、今夜のワインは、ドゥエマーニとスイサッシのヴィンテージが2004年であるのに対し、アルトロヴィーノは2005年を選んだのだ。
どれも生産量が少なく、入手困難なヴィンテージである。
でも、僕の彼女は少々のことでは感心してくれない。
友人たちはさておき、彼女の尊敬を勝ち取ることは大変なのだ。
その彼女も、今夜は驚いたようだ。
僕の素敵な彼女。 君が居るから僕は努力し、常により上を目指して頑張ることができる。
今夜は彼女の暖かさに包まれた、特別な夜となりました。