ワインに慣れていなかった私に、ドイツ人の会社オーナーが、若いうちから良いワインを飲んでワインの良さを身体で感じ取るように、と言って、一本のフランス・ワインを抜いてくれました。
それ以来、ワインの虜になってしまいました。
忘れもしない、そのワインはシャトー・フィジャックです。
ボルドー、サンテミリオン地区にあるシャトー・フィジャックは、その歴史はローマ時代に遡ると言われ、シャトー・オーゾンヌやシャトー・シュバル・ブランと並び、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(第一級特別級A)に格付けされています。
以前ご紹介したシャトー・アンジェリュスも、サンテミリオンのシャトーです。
サンテミリオンでは、セパージュはメルローが中心ですが、フィジャックは畑が砂礫質なのでカベルネ・ソーヴィニヨン比率が高く、35%入っています。
次にカベルネ・フランが35%、メルローが30%です。
最近では、隣接するシャトー・シュバル・ブランの方が有名となり、フィジャクの存在が霞んでしまい悔しく思っています。
シャトー・シュバル・ブランの畑は、元をただせばシャトー・フィジャックの領地だったのですから。
私を素晴らしきワインの世界に引き込んだそのドイツ人実業家は、今では居所をニューヨークに変え、活躍しています。
と言っても、ドイツを捨てたのではなく、今でもニュルンベルクとパリとコルシカに家を持ち、プライヴェートジェットで飛び回っています。
シャトー・フィジャックを飲むには、やはりしっかりとしたフレンチが良いですね。
時にはフォーマルに装い、彼女の腕を取り、レストランのエントランスを抜ける。
そんな時に私が使うのは、『オーベルジュ・ド・リル 東京』(六本木)か、『シェ・マツオ 青山サロン』(北青山)です。
『オーベルジュ・ド・リル 東京』は、元の『ザ・ジョージアン・クラブ』の建物に入っているのですから、豪華で無いはずがありません。
『シェ・マツオ』は松濤が本店ですが、私はむしろ気楽な食事の時に松濤に行き、少し気取った夜には『シェ・マツオ 青山サロン』を利用しています。
ワイン、それは単なるアルコール飲料ではありません。
歴史であり、文化であり、そして人と人をつなぐ、懸け橋なのです。
特に、愛の懸け橋としては重要かつ有効です。
貴方も一緒に、ワインという素敵な懸け橋を渡り、感動を共にしませんか?