出雲の国から石見の国へやってきた。温泉津と書いて「ゆのつ」と読む。

 

温泉津温泉にやってきた。元湯と新湯の二つある。新湯の方は明治五年(1872年)に発生した浜田地震で湧き出したという比較的新しい湯で「薬師の湯」と呼ばれる(写真右の建物)。地震で湧き出したということで「震湯」と呼ばれたりもするそうだ。

 

一方、元湯温泉は非常に古い湯で、まさに温泉津の由来ともなった湯である。記録では少なくとも1300年前に知られていた。老狸が入浴し傷を癒しているのを旅の僧が発見して利用され始めたと伝えられている。

 

元湯の裏手には温光寺というのがあってその裏の山の崖上に「狸の池」と呼ばれる穴があるそうだ。(下からは見えないが。)

 

 

「泉薬湯」とある。効能あらたかな薬湯である。ちなみに長命館という湯治・保養宿が併設されている。


そして、聞いていた通りの素晴らしい雰囲気である。まるで映画「テルマエロマエ」の天狗の湯のシーンからそのまま出てきたような常連らしき地元のご老人たちが5~6人ほど、のんびりと湯あみしながら談笑している。

 

泉質はナトリウムー塩化物温泉(低張性中性高温泉)、溶存成分(ガス性のものを除く)は7840mg/kg、成分総計8350mg/kgと相当濃い。源泉温度は48.4度。そして湯殿が源泉から2~3メートルしか離れていないので鮮度抜群である。

 

左がフツー湯で44度、右がアツ湯で46度ある。

 

まずはフツー湯に入ろう。濃い。そして身体にぐっと沁み入る名湯である。こちらも相当に熱い。

 

にいちゃん、どこから来たんだ。東京です。夜行で出雲市に朝着きました。そりゃずいぶんと遠くからえらいもんだ。スゴイ秘湯ですね。向かいにある薬師の湯もすごそうで。ああ、こっちのほうが濃くていいよ。あっちは新湯だから。

 

体を慣らしてから、アツ湯にトライしよう(というより先ほどから繰り返しアツ湯に入っているオジイサンに「入ってみなよ。すごいぞ。」と勧められた)。繰り返しになるが、46度である。

 

アツイ。

 

オジイサンの手前、30秒ぐらいは・・・と我慢して入った。するとだんだん気持ちよくなっていくではないか。繰り返しフツー湯でほてりを冷ましてはアツ湯に入った。細胞レベルから身体が活性化していくのがわかる。凄い湯だ。

 

さすがに1分半がマックスではあるが、極楽極楽。いつもの炭酸水を飲もう。

 

オジイサンはいつの間にかいなくなっていた。

 

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石見の国で湯の神に巡り合った。出会いに感謝しかない。

 

 

 

 

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