ブロンプトンで秘湯へ行こうシリーズ。サードステージ第九幕。

 

草刈正雄と堺雅人が熱演中のNHK大河ドラマ『真田丸』。その第八回「調略」の舞台となった松代に来ている。松代には秘湯ファンの間では超有名な例の秘湯がある。

 

[ルート]

松代駅バス停→一陽館

 

松代駅からブロンプトンでスタートする。繰り返しになるが、松代駅とは長野電鉄屋代線にかつて存在した駅だが、同線は2012年4月に廃線となり、松代駅も廃止されてしまった。しかし、元駅舎は今も「松代駅」と呼ばれ、バス停並びに観光案内所として活用されている。

 

松代駅から田舎道を十五分ほど進むと。

 

あった!

 

ここが湯と雰囲気の両方とも超濃い有名秘湯「加賀井温泉一陽館」である。ついに来てしまった。

 

旅館営業は既に止めてしまったらしいが、地元の方々の強い要望で日帰り湯を続けておられる。地元の方々の社交場でもあるのだ。

 

名物館主(社長)の春日功さんが出てきた。東京水産大学(現・東京海洋大学)の教授を務めておられた方だ。「400円。箱に入れて。初めて?」「はい。初めてです。」「初めてね。じゃ~こっち来て。説明するから。」 いよいよ例の説明が聞けるらしい。ワクワクである。「ここは湯治場なの。浴場には洗い場がない。シャンプーや石鹸は使えないからね。」 はい。

 

「はい、ここが源泉ね。ここに立って、顔を入れてみる。どう。」「かなり刺激がありますね。」「そう炭酸なんだ。そして手を中に入れてみる。温度は41度、適温でしょ。泡立ってるけど炭酸なんだ。なめてみて。」「苦いですね。」「そうだ。泉質はナトリウム、カルシウム塩化物泉。温泉成分は1リットルあたり12680mgもある。入浴剤なら80袋分だ。あ、手は拭かないの。乾かすとさらさらになる。」 「湯が新鮮だから透き通ったまま流れていく。」「酸化しないんですね。」

(上の写真は春日館主の許可を得て撮影したもの)

 

すると春日さんに背中をポンと叩かれて、「違う。カルシウム塩化物泉だから酸化はしないんだ。」

 

春日さんの説明はまだまだ続く。そのうち、源泉槽の泡立ちの勢いが驚くほど強くなってきた。「だいたい三十分ごとに吹き上げるんだ。あれ、いつもより凄いな。私はまだちょっと様子を見ていなくてはならないから、あなたはもう風呂に入っていいよ。はい。」 いつもは20分間続くという説明が5分で終了になってしまった。

 

というわけで、内湯へ。

 

こ、この鄙び具合は一体何なのだ。スゴイ。横向温泉中の湯旅館 に匹敵しているかもしれない。素晴らしいではないか。

 

鉄分や炭酸やらカルシウムを驚異的に大量に含有した湯なのだ。他の温泉とは含有量が一桁違うのである。しかし、湧き出したばかりの新鮮な湯を次から次へと大量投入しているので透明なのである。

 

立派な湯気抜きがある。

 

湧き出したばかりの新鮮な湯が泡立ちながら大量に投入されている。これはスゴイ!

 

炭酸水を飲みながら、極楽極楽。

 

露天風呂にも行って見た。こちらは茶色の濃い湯である。松代群発地震の時に新たに湧き出したという別源泉を半分混ぜているのだ。地元のオジサン、オバサンが常時8人以上、ワイワイガヤガヤと大盛り上がりである。ヌル湯なので皆さん、平気で2~3時間浸かっているらしい。写真を撮ることはできないが、帰りにポスターを発見した。これで雰囲気がわかっていただけるだろうか。ちなみに一部の方々は本日もいらっしゃったような・・・?

 

素晴らしい秘湯体験であった。

 

それでは次、行こうか!


(続く)