【Vol.3】時間短縮の特効薬(択一式は40分で) | 合格への道のり("3つの道"編)

合格への道のり("3つの道"編)

これまで宅地建物取引士試験、行政書士試験、司法書士試験、海事代理士試験及びマンション管理士試験に一発合格しました。2022年からは受験生、実務家(士業)及び講師の3つの道を歩みますので、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m。

私の行政書士試験及び司法書士試験での受験経験を踏まえ、これまで・・・、

第一弾として、短期合格の極意

第二弾として、直前期は"記憶"重視で!


をまとめましたが、第3弾は、試験現場で求められるスキルの1つ、"(解答)時間短縮"についてまとめていきたいと思います。


受験生の皆さんは、本試験において想定以上に解答時間を要してしまい、最後の問題まで解けなかった、あるいは見直し時間が十分に取れなかったなどの経験はないでしょうか?


かくいう私も、行政書士試験を受験した際は、模擬試験も答練も何の戦略もなく受験し、成績に一喜一憂していました。その結果、本試験では想定以上に解答時間を要してしまい、見直し時間は十分に取れませんでした。


その時の反省から、司法書士試験を受験するにあたっては、行政書士試験に合格後の2021年にリーダーズゼミを受講し、勉強法の師匠・山田斉明先生から時間短縮のための手法を学びました。そして、司法書士試験の直前期に答練や模擬試験を通じて本試験を見据えた戦略を模索しました。



戦略の1つは"解答順序の確立"です。

毎回決まった順序で問題を解くことによって、時間配分を決めておくことができます。


司法書士試験において、私は模擬試験を通じて以下の順で解く"型"を身につけました。

①不動産登記法(択一式問題)全16問

②同(記述式問題)全1問

③商業登記法(択一式問題)全8問

④同(記述式問題)全1問

⑤マイナー科目(択一式問題)全11問

ポイントは、科目を1つに絞って解くことです。


なお、①②を約80分、③④を約70分、⑤を約15分で解いた後、約15分で不安な問題から順に見直します。想定時間内に解けなかった場合は容赦なく次に進みます。

※ただ、実際は現場で混乱し、上記の通り解きませんでしたが、詳細は別途記事に書きます。

_____


ただ、これだけでは画期的に解答時間を短縮することはできません。


ところで、司法書士試験において、午後の部は、

・択一式問題35問

・記述式問題2問(不登法、商登法各1問)

を3時間(180分)で解く必要がありますが、時間配分としては、択一式問題60分、記述式問題120分が一般的ではないかと思います。


特に、私のような受験経験の浅い受験生は記述式問題の検討時間が足らなくなって、全ての解答欄を埋めることができないことも多いです。


そのことは合格者の合格体験記などを通じてキャッチしていましたので、上記対策を立てることができたわけです。


結果、今年の司法書士試験では、午後の部(択一式問題)全35問を約40分で解くことができました。その手法こそ、今回御案内する内容です。

※午前の部(択一式問題)全60問は少しゆっくり解いたので解答時間は約60分でした。


ちなみに、午後の部(択一式問題)の試験結果は正解数30問/全35問であり、伊藤塾の「択一成績診断総合成績表」によると比較的上位に食い込むことができています(80位/全814人くらいでしょうか)。


さて、前置きが長くなりましたが、時間短縮のための秘策とは何か?


それは・・・、

1.キーワード検索

2.ハイブリッド解法の組み合わせです。


1.キーワード検索

前回の記事でも少し書きましたが、試験問題の構造は概ね下図の通りです。


そのため、問題文の検討にあたっては、まずリード文のテーマを見た瞬間、脳の中に収納(記憶)された当該テーマに該当する情報の引き出しを即時検索し、その引き出しの中から当該テーマに関連するキーワード(重要事項)を想起します(この段階では、まだ各肢を検討しません)。


例えば、今年の司法書士試験では、午前の部第13問において"留置権"をテーマとする問題が出題されました。


では、皆さんに御質問しますが、"留置権"というテーマからから想起すべきキーワード(=重要知識)は?


Ans.

それは、留置権の成立要件(内、債権と物との牽連性)であり、牽連性がなく留置権が認められないものとして造作買取請求権(最判昭29.1.14)や損害賠償3兄弟※を挙げることができます。

損害賠償3兄弟とは、

①不動産が二重売買され、第二の買主が先に所有権移転登記を経由したため、第一の買主が所有権を取得できなくなったことにより売主に対して取得した、履行不能による損害賠償請求権(最判昭43.11.21)

②他人の物の売買による買主が、その物の真の所有者から返還請求を受けた場合の、売主の売買契約不履行に基づく損害賠償請求権(最判昭51.6.17)

③譲渡担保権者が約定に反して譲渡担保の目的不動産を第三者に譲渡したため、譲渡担保権設定者が譲渡担保権者に対して担保物返還義務の債務不履行により取得した損害賠償請求権(最判昭34.9.3)

を言います。なお、損害賠償3兄弟とは私が勝手にネーミングしました💦💦



これら想起した重要知識を前提として、肢アから肢オの問題文全体をザッと遠目に俯瞰すると、肢アでは「造作買取請求権」が、肢ウでは「他人物売買」というキーワードが目に飛び込んできますね。


そして、ここから漸く各肢の検討に入るわけですが、上記の通りキーワードを発見した肢ア及び肢ウを詳細検討すると、

・肢ア❌

・肢ウ⭕️

と即時に判断できます。


私は司法書士試験の現場では、肢ウの「他人物売買」が問題文の冒頭にあって最初に目に飛び込んできたので、肢の組み合わせから「選択肢1」or「選択肢5」の2択に絞り込んだ後、選択肢1の肢アを検討し、選択肢5を解答しました。


この段階では肢オをわざわざ検討せず、次の問題の検討に移りましたが、その他の肢(イ・エ・オ)については、時間が余ったので見直しの時に検討しました。


こうしたプロセスで問題を解く訓練をすると、司法書士試験のような組み合わせ問題が大半を占める試験では、私のように概ね1〜2分/問で解けるようになっていきます。


また、行政書士試験では、単純正誤問題も出題されますが、全体を俯瞰してキーワードを検索する解法は有効だと思います(個数問題は全ての肢を詳細検討するしかありませんが・・・)。


昨年の行政書士試験(民法、商法・会社法のみ)を解いてみましたが、解答時間は記述式問題を含めて約30分でした(記述式問題を除く正解率は13問/全14問)。


(令和3年度行政書士試験問題)

https://gyosei-shiken.or.jp/pdf/mondai.pdf


もちろんBランク以下のマイナーテーマも出題されますので、全ての問題に対応した解法とは言えないかもしれませんが、少なくともA及びB+ランクの問題には十分通用しますし、本試験でそれらを全て正解できれば、限りなく合格に近づくことができると思います。


なお、もしキーワード検索に相当の時間を要したり、重要知識を想起できないようであれば、それはアウトプットではなく、圧倒的にインプット(記憶)が足りません。


その意味で、前回の記事の延長線上に、今回御紹介した解法テクニックがあると言って良いのかもしれません。


繰り返しになりますが、直前期に過去問を何度も繰り返すくらいなら、重要知識の"記憶"と解答時間を短縮するための"解法テクニック"を習得する方が遥かに有益です。


この解法テクニックの詳細は山田斉明先生のブログでも紹介されていますので、そちらも参考になさって下さい。


2.ハイブリッド解法

ハイブリッド解法とは、全肢チェックと軸肢チェックを組み合わせて問題を解く手法です。また、全肢チェックとは全ての肢を検討する解法で、軸肢チェックとは軸となる肢を見つけだし、その肢を基軸に選択肢を絞り込んでいく解法です。


当然ながら、軸肢チェックの方が解答時間を短縮しやすいです。


司法書士試験は組み合わせ問題が大半を占めており、特に午後の部(択一式問題)においては時間との勝負になりますので、"軸肢チェック"が有効と言われています(もちろん行政書士試験の組み合わせ問題でも有効)。


私も1.に書いた通り、キーワード検索によって軸肢を発見し、選択肢を絞り込んでいく軸肢チェックが主流です。


ただ、問題によっては軸肢チェックに馴染まないものがあります。それはBランク以下のマイナー問題です。また、軸肢チェックの場合、確実に正誤判断できる軸肢を見つけることを要しますが、確実に正誤判断できる肢が見つからない場合にも使えます。


試験問題には一定数のマイナー問題が含まれますが、当該マイナー問題はテキストに記載がないか、あるいは記載があっても記述が少ない場合がほとんどです。


そのため、基礎知識すら記憶できていない場合があり、私は当該マイナー問題は全肢チェックにより解きました。


例えば、午後の部第1問(訴訟告知)は全肢チェックで解きました。


(参考情報)

これは私が過去問を検討した際の感覚なので読み飛ばしていただいて構いませんが、司法書士試験において肢アは正解肢ではない傾向があるので、全肢チェックをする際は肢イから検討していました(ちなみに、TAC・姫野寛之先生も講義中、同様の御指摘をされていました)

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全肢チェックの場合、各肢を詳細に検討せず、各肢をザッと眺めて正解と思われる肢を抽出するのがポイントです。


あるいは、他の制度趣旨を類推して判断したり、問題文末の「・・・に例外はない」などの引っかけワードを見極めたりすることも重要です。


いずれにしても、各肢の検討に時間をかけ過ぎてはいけません。


経験上、ファーストインプレッションで解答しても、1肢につき10分以上検討した後に解答しても、それ程大きく正誤判断を間違えることはありません。


私は全肢チェックと軸肢チェックを組み合わせて解きましたが、割合的には、模擬試験や答練も含めると、概ね全肢チェック2:軸肢チェック8くらいです。


なお、既述の通り、見直しの際には余った時間に応じ、自信のない問題から順次全肢チェックにより見直していました。


軸肢チェックの後、全肢チェックすることで当該問題の正解率が更に向上します。


(その他の取組)

それ以外にも、私はたまたま書店で見つけた山中恵美子先生の著書を購入し、2021年始に"瞬読"を少しの期間ですがトレーニングしました。


司法書士試験の問題文は長いものが多いので、瞬読によってキーワード検索する能力が身についたと思っています。もう少し瞬読トレーニングを継続していれば、もっと問題文を読むスピードが上がったかもしれませんね。


これは伊藤真塾長が著書の中で紹介されている「試験に関係ない「有効な無駄」」にあたると思います。


受験生の皆さんも、勉強の合間に「有効な無駄」を実践されてみてはどうでしょうか?