関税局は許さない | インド

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インドのことを綴っています。

~前回までのあらすじ~

届かないEMSを
インド人から取り返すべく
ついに立ち上がった私。


インドの郵便事業体、その名もINDIA POST(そのまんま)
インディアポスト

日本郵便の人がメールの中で連絡先を書いておいて下さったので、
最寄りのINDIA POST集配センターに電話してみることにしました。

プルルルルルル ガチャッ
郵「もしもし?」
私「あ、もしもし、EMSについて聞きたいんですk ガチャッ ツーッツーッ

私「」

~Take2~
出ない。

~Take3,4~
繋がらない。

~Take5~
プルルルルルル ガチャッ
郵「もしもし?」
私「もしもし、EMSについてお伺いしたいんですが」
郵「****-****(どこかの電話番号らしき数字の羅列)」

私「は?」

ガチャッ ツーッツーッ

……メモしていた数字の羅列をネットで検索してみると、
どうやらEMS関連の部署の電話番号であるようでした。

いや、それならそうと言ってくださいよと。
単語ひとつでもいいのでEMS云々、ぐらいは言って欲しかった……。


でも一歩前進したのでまあ良し、どこまでも前向きな私です。

引き続いて、そこに電話をかける。

……しかし、またもや繋がらない。

~Take2~
繋がらない。

~Take3-15~
繋がる気配がない。

~Take16~
繋がる。

郵「もしもし」
私「(やっと繋がった……)もしもし、私のEMSの状況を教えて欲しいんですけど」
郵「どこからの?」
私「日本からのです」
郵「追跡番号は?」
私「***************です、追跡サービスを見るとまだ通関手続き中のようです」
郵「……あー、それは郵便局じゃなくて関税局の管轄だわ、関税局に行ってみて」
私「関税局ってどこにあるんですか」
郵「空港の近く。月~土の午後2時から4時の間でしかやってないから気をつけてね」
私「そうですか、ありがとうございます」


関税局。


最初に通関手続き中って追跡サービスに書いてあった段階で
なんとなく郵便局ではなくて関税局に行かなければならないのではないか
という懸念はあったのですが、まさか本当にそうなるとは……。

関税局って、もう名前からしてお堅いので、行く前からだいぶ抵抗があるわけです。

でも、行かなければならない。
自分の荷物のために。


~その週の土曜~

空港近くにあるという関税局にやってきた私。

EMSの看板が出ているオフィスに入って受付をする。
このとき1時50分頃。

あのときの郵便局の人、確か2時~4時って言っていたはず……。

受付「2時半からだから外で待ってて」
私「ん?2時からでしょ?2時~4時でしょ?」
受「いやいや、2時半~4時半だから」
私「」

30分程度だから今回は不問にするけど、それにしても時間、間違えるなよ。

時間間違えるなよ!(白目)

ひとしきり心の中で吠えた後は、ムシムシとべたつく暑さの屋外で待機しておりました。
そして2時半を少し過ぎたあたりで呼ばれた私。
ここはちょっとは時間を守ろうとしてくれているようです。

中に入り、関税局の担当者とテーブルを挟んで対峙することに。
関税局と言っても地方の町役所レベルなのでそんなにお堅いものではありませんでした。
少し安心。

私「自分宛ての荷物を探しているんですけど、ここに無いですか」
税「あなたの荷物ね、内容物の総額が規定を超過してるから停めてあるよ」
私「え?」
税「余計に税金を払う必要があるってこと、あと他の書類も出して」
私「?? どうしたらいいんですか」
税「あなたの荷物の中身チェックしたけどね、これインボイスと全然内容違うじゃない」
私「」


EMSで海外に荷物を送るときには「インボイス(INVOICE)」と呼ばれる書類を
作成して提出しなければなりません。

そこで、送る荷物の内容物の明細(品名、それぞれの個数、評価額、総額など)を
詳細に記載する必要があるのです。

それを元に、名宛国関税局が課税するかしないかを決めるというルール。

私は、怠っていました。

荷物を発送する当日、ものすごーくドタバタしていたので
「仕事のサンプルはいつも通関スルーしてるし、これもどうせ引っ掛かんないでしょ!」
と、軽い気持ちでインボイスを適当に作成していたのです。

わかりやすく説明すると、

「Aが10個、Bが3個、Cが15個、Dが1個、Eが2個、Fが8個」と書くべきところを

「Aが10個、Cが15個、Fが8個」と個数の多いものだけをピックアップして記載していたのです。


税「困るよ、こういうことされちゃ」
私「面目ない」
税「で、内容物も色々課税しなきゃいけないから」
税「罰金支払ってね」

罰金かー……、まあ仕方ない……。
インボイス作成を怠った罰だと考えよう……。
とはいえ、どうせそんなに高くはないでしょう。

私「あ、はい、わかりました。1000ルピーぐらいですかね」
税「(おいおい何言ってんだコイツ、みたいな失笑)」


税「えーと、16000ルピーぐらいだね」


私「16000ね……、いちまんろくせん!?



(※約27000円)



ちょっと何言ってるかわからない。
あまりの衝撃に思考回路が完全に停止する私。

いちまんろくせん、いちまんろくせんって言ったかこのオッサン。

間違いなくシックスティーンサウザンドって言ったな、このオッサン。

待て、今こそ冷静になれ私。
きっとリクシャのドライバーみたくボッタクリの値段をふっかけてきているに違いない。

私「いやいや、それは高すぎでしょ(笑)」
税「いやホント」

私「……証拠は?その額になるっていう証拠を見せてくださいよ」
税「(やれやれといった表情で)一枚の書類を取り出す」

税「この書類読んだら分かると思うんだけど」
税「まずね、内容物の総額が2000ルピーを超えると課税なの。ここに書いてるでしょ?」

2000ルピーって……、日本円で3400円じゃん。
それは安すぎやしませんかね……。

税「それで、法律で定められたこのレートを内容物の総額(プラス発送費?)に掛けると」

税「16000ぐらいになる、ほらね」

私「」


日本で支払った発送費(15000円)より高い……。
荷物受け取るのにまた費用がかさむとはこれ如何に。


ここらへんで頭がいよいよ真っ白になり、終いには半ギレでなんとか抵抗の糸口を探り始める私。

私「ちょ、ちょっと待ちましょう。私はこちらに今回のそれを含めて2個荷物を送りました」

私「そして1個目は何の課税もされずに無事に届きました、そちらも総額は2000ルピーを超過していましたが」

私「どうして1個目は無課税で2個目は課税なんですか、筋が通らないでしょ」

よし、我ながらナイス頭の回転。

税「ランダム」

私「は」

税「通関させる荷物が多いもんだから、ランダムにいくつか選んでそれを課税するかしないかってやってる」

私「……それって、つまり、私は、運が悪かっただけって話なんですか」

税「そうなるんじゃない?」


なんだこの理不尽。

納得がいかない……。

第一、今日この日まで一切何の連絡も来なくて、ようやく自力でここまで辿り着いて
それでも自分が悪いところもあったなあと反省しつつペナルティを支払う準備があったのに、
運ゲーで16000ルピーってなんだそれ……。

なんだそれ!!(爆発)

そのあと色々とオッサンから、後日提出しなければならない必要書類の説明を受けましたが、
ここらへんで私の機嫌が一気にものすごく悪くなったのと、
オッサンの英語の発音(滑舌)が悪かったのか、聞き慣れない専門用語が多かったのか、
私の英語耳が悪いのか、周りの雑音がうるさかったのか、あるいはその全部で、
オッサンが何を喋っているのか全くわからなくなってしまいました。

何度も不機嫌そうに「聞き取れなかったんでもう一回言って下さい」を繰り返すそんな私に
さすがのオッサンもキレ気味に「君、耳悪いんじゃねえの?」などと煽ってくる。

そんな何の生産性も無い煽り合いを繰り広げ、その後はもう、よく覚えていません。
気が付くと放心状態で家に着いておりました。


さらに次回に続きます。


【今回の要約】
・理不尽大国インド