「T.R.E.N.D.Y. -Paradise from 1997-/MUCC」レビュー | brilliant-memoriesのブログ

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ドエルさんでもあり、V系好きのギャ男でもあり、60〜00年代の音楽好きでもある私がお送りするこのブログ。アルバムレビューや自作曲の発表、日常、ブログなどいろんなことをします!

「先日のニンダイ、いかがだったでしょうか。新機種が出ることが発表されている中で、マリオ&ルイージやメトロイド、ゼルダの完全新作、マリパジャンボリーやドラクエなどあり得ないくらい大ボリュームな内容でした。来年にはポケモンZAの発売も控えているので待ちきれないですよね!」

 

皆様、お疲れ様です、トモコレ新作をいつまでも待ち続けている住民の一人でもある者です。今回は2015年に発売されたMUCCの「T.R.E.N.D.Y. -Paradise from 1997-」をレビューする回でございます。アルバム「6」以来となるシングル曲が収録されていないアルバム。更に「6」は公式アルバムとしてカウントされているので、メジャー初となるミニアルバム。そしてコンセプトアルバムとなります。今作のキーワードは「90年代」。果たしてどのような世界が広がっているのでしょうか!!

 

アルバム「T.R.E.N.D.Y. -Paradise from 1997-」のポイント

 

・今作はコンセプトアルバムということで、「90年代」の音楽をMUCCなりに再構築した楽曲達が収録されています。一見すると、いつも通りのMUCCっぽい楽曲も多いですが、どの楽曲にも必ず90年代の要素がどこかに込められているのが特徴ともいえるでしょう。90年代の音楽が好きなら、ニヤリとしてしまう部分が多いので探しながら楽しむのもありですね。今作は全曲の作曲をミヤが担当しています。ミヤの楽曲の特徴でもある「展開に展開を重ねる」パターンを最大限に活用し、様々なジャンルが現れては去ってまた現れるが特徴です。

 

・タイトルの「T.R.E.N.D.Y. -Paradise from 1997-」は「トレンディ」「パラダイス」という言葉のダサさをとことんチョイスしたとのこと。所謂”ダサさカッコいい”ですよね。「1997」はアルバムのコンセプトにも合っていて、さらにMUCCの結成年ということでいれたとのことです。ちなみにこのアルバムが発売された2015年のM-1王者は「トレンディ・エンジェル」ですよん笑。

 

それでは参りましょう。

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(黒→アルバム曲)

 

1.「睡蓮」(作詞:達瑯 作曲:ミヤ)

 

開幕からおよそ8分にも及ぶナンバーが登場。確かにシンセの音色は90年代っぽいですが、全体的にはMUCCらしさ全開。ミヤの展開に展開を重ねる楽曲に合わせ、ラップあり、メタルあり、ダンスあり、異国感ありとまさに中期ムック以降になってからチャレンジしてきた音楽達が次から次へと走馬灯のように現れては流れてゆきます。中期ムックのおおよその歴史を振り返れる大ボリューミーな楽曲でした。

 

タイトルにもなっている「睡蓮」の花言葉は「清純な心」「やさしさ」。しかしながら、世間によって堕ちていった心はいつしか睡蓮の花を踏み潰していくという皮肉、そして失った恋について歌われています。もしかしたら、主人公がこうなってしまったのも「清純な心」を上手く利用して浮気された(相手にされていた?)のがきっかけなのなもしれませんね。

 

2.「D・f・D(Dreamer from Darkness)」(作詞:ミヤ 作曲:ミヤ)

 

ハードコア、ミクスチャー要素、歌謡感のあるサビメロ、キメを意識した音塊、Xを彷彿とさせるスラッシュメタル…たくさんの要素を取り入れるだけ取り込んだダークファンタジアな楽曲。ミヤ曰く、展開ごとに年代が変わっていくということをやりたかったということで、かなり大胆な変化が展開ごとに起きています。

 

歌詞は「不思議の国のアリス」がテーマなのでしょうか。世界の支配人が疲れ果てた私達をファンタジアな世界へ誘い込むという、かつての「サーカス」を彷彿とさせるシチュエーションとなっております。

 

3.「B.L.U.E- Tell Me KAFKA-」(作詞:ミヤ 作曲:ミヤ)

 

白系と黒系のそれぞれの美味しい部分をいいとこ取り、展開ごと組み込んだ90年代V系を意識しているナンバー 。MUCCのギタリストはミヤ1人ですが、あの頃のV系のように右チャンネルと左チャンネルでギタリストが2人いるかのような譜割り、音作りをしてる辺り、ガチなパロディを演出していますよね。ギターソロではHIDEちゃんの「Love Replica」の一部分を取り入れてオリエンタルさをさらに追求しつつXに切り替わるという荒技も披露しております。

 

歌詞は日記や恋人に当てた大量の手紙から成り立つ、独特な小説を手掛けていた小説家のフランツ・カフカに当てたリリックであり、恋人を失って前が見えない主人公がカフカに救いを乞うシチュエーションですかね。

 

4.「HATEЯ」(作詞:ミヤ 作曲:ミヤ)

 

前曲から続けて突入。ここにきて「Mr.Lair」「Ms.Fear」のような、最近のアルバムに1曲は収録されているハードコアにでデジタル要素を織り込んだブチ上げ必須の暴走ナンバーが登場。荒々しくヘヴィな楽器隊に、男臭いコールが鳴り響き、オドロオドロシく展開。一転してレゲエっぽくなったりと一筋縄にはいかない世界観に、空間を引き裂くような達瑯のシャウトもかなりカッコいい。ミヤ曰く、尊敬するアーティストへのリスペクトソングだそうで、音作りから何を意識しているか、分かる人には分かるようですよ!ちなみに、タイトルの「R」の反転はKORNリスペクトだそうです。

 

歌詞はタイトルでお察しの通り、社会風刺なリリックであり、人間からピエロという醜い姿に成り果てたモンスター達が蔓延るこの世界で、自分を救ってくれる人は誰も居ないと確信した主人公がどんどん闇へ堕ちていく姿が描かれています。キレ味抜群、そのまんま2024年の日本にも通じるリリックです。

 

5.「レインボー」(作詞:ミヤ 作曲:ミヤ)

 

ド頭からノンストップで激しい曲が続いた中、歌モノが登場。タイトルに対して、雨の場景を映しているような楽曲で、雨粒のように彩るクリーンギターの音色が素敵ですよね。一瞬転調を加えて、明るくなり虹が出てきたかのように思えますが、その後、元にも戻ってしまうと言う展開も物語性を感じられて面白いです。まさに、本作のテーマソングに掲げた90年代J-POPを強く思い出させる楽曲でした。

 

歌詞もやはり「虹が消えた」という観点で展開していく模様。恋人と死別してしまい、深い深い悲しみに暮れる主人公描かれています。楽曲とリンクするシチュエーション、楽曲の無理矢理明るく振る舞っているような世界観と相まって切ないです。

 

6.「Rendez-Vouz-」(作詞:ミヤ 作曲:ミヤ)

 

ライブの起爆剤になりそうなナンバー。リフ中心に進行していき、歌メロはかなりキャッチーに。この曲も90年代リスペクトを強く感じさせる楽曲で、凄くB'zを感じさせるハードロックを軸にヘヴィメタル、デジタル、ゲーム音楽と四方八方に展開していくのが特徴です。タイトルは「ランデブー」ですが、ミヤ曰く、”ダサさ”を強調したいということでこのタイトルを付けたとのこと。歌詞にもそのままの意味で使われていますね。

 

7.「TONIGHT」(作詞:達瑯 作曲:ミヤ)

 

爆速で駆け抜け、早くもラストナンバーへ。7分にも及ぶ激しいメタルナンバーでフィナーレです。男臭いコールには総勢20人にも及ぶ後輩バンドのメンバーが参加しており、暑苦しさに拍車を掛けております。冠さんによるシャウトから始まり、コーラス隊も交えて、最後まで激しく激しく駆け抜ける展開。当時のMUCCの全力を出し尽くした熱狂の楽曲でした。

 

歌詞はMUCCの歴史の歩みを振り返るようなリリックとなっており、当時デビューのした際にライバル関係だった様々なバンド達が今ではほとんどが解散しまったという現実。「お前らは負け犬だ」など棘のあるリリックですが、その中には蜉蝣の大佑、そしてかつての仲間へ向けての言葉とこれからの決意が綴られており、達瑯なりの深い想いが詰まったリリックなのかもしれません。当時はライバル関係でバチバチだったけれど今となっては仲間という熱い友情を感じます。どのアーティストでも芯は音楽で繋がっているのだから。

 

 

90年代をMUCC流に駆け抜けたこのアルバム、いかがだったでしょうか。ライブを意識したような激しいナンバーが多い印象で、ミヤの楽曲展開の特性に合わせて現れる様々な要素、そしてMUCCの演奏力の高さを堪能することができたアルバムでした。

 

今回は通常版のレビューをしましたが実はこのアルバムの初回生産限定版のみ、「TONIGHT」の後にそのまま続く形で「1997」というおまけの楽曲が収録されています。地元茨城をテーマにしている楽曲で、歌詞に茨城ネタや「ハイスタとLUNASEAが対バン」という面白いワード、更にはアーティストの名前が出てくる遊び心がある楽曲という聴く機会があれば是非聴いてみたいですね!

 

今回もありがとうございました。次回は「脈拍」のレビューをする予定です。よろしくお願いします!