「6/MUCC」レビュー | brilliant-memoriesのブログ

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ドエルさんでもあり、V系好きのギャ男でもあり、60〜00年代の音楽好きでもある私がお送りするこのブログ。アルバムレビューや自作曲の発表、日常、ブログなどいろんなことをします!

「GW終わりですね、ほぼバイトで埋め尽くされましたよ。」

 

お疲れ様です。疲れすぎて休みの日は13時間も寝てた私です。今回は2006年に発売されたムックの6thアルバム「6」のアルバムをレビューしていく回でございます。前作の「鵬翼」から半年弱でリリースされた今作は日欧同時発売というのもポイント。収録曲は全曲新曲で構成されていて、メンバーが「「鵬翼」のカップリング集」と表現していたという記事をみたことがあります。収録曲は全9曲、計31分とミニアルバムのようにも思えますが、公式ではちゃんとフルアルバムとしてカウントされているようですね。前作「鵬翼」を聴いた上でこのアルバムを聴くと更にムックの音楽性の広さに気づくことができるでしょう。

 

今作を聴く前に復習したい方。前作のレビューはこちらからどうぞ。「鵬翼

 

アルバム「6」のポイント

 

・前作「鵬翼」では「原点回帰」ということで、自身の「痛絶」「葬ラ謳」に見られたフォークや歌謡曲を下地にした音楽性の追求をしました。そして今作は「是空」「朽木の灯」で得たヘヴィで重たい音楽性の追求がテーマになっているように思えますね。前半ではミヤの楽曲で飛ばし、後半では他のメンバーが手掛けた様々な姿をした楽曲が登場します。

 

・ムックのオリジナルアルバムのバンドスコアは基本ないのですが、何故かバンドスコアが発売されているこのアルバム。メンバーの収録された楽曲についてのこだわりやアドバイスが書かれているので、こちらを読みながら楽曲を聴いていくと新たな発見があるかもですよ。尚、私もこのバンドスコアを読んだ上で今回「6」のアルバムレビューを書いております。

 

・そしてこのアルバムにて初期ムックのコンセプトでもあった「負」が払拭されます。中期ムックの始まりを告げる前作「鵬翼」ではまだ自身の負を払拭できずに、葛藤しながらも光の方向へ進むというアルバムだったとレビューしましたが、今作ではその払拭できなかった「負」こそ、至るところに現れるものの、これが最後の大暴走という感じがするのですよね。一層、最後に此処で思いっきり暴れてリセットしようという感じがしました。

 

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(黒→アルバム曲)

 

1.「666」(作曲:ミヤ)

 

そして、ここでまた1曲目がインスト曲というジンクスが復活しました。ギターのハウリング音を20音重ねたという攻めすぎなインスト曲。しかし、この攻めすぎた感が今作の方向性を物語っている感じがしますね。中間からは「タン・タ・タ・タン・タ・タ」というループドラムが合流するのですが、聴き方を変えると「ホムラウタ」のWe Will~なリズムパターンになってしまうのが、ちょっと面白いです。

 

2.「空虚な部屋」(作詞:逹瑯 作曲:ミヤ)

 

インストから間髪入れずになだれ込むこの楽曲。出だしの「暗い部屋~♪子守歌~♪」の見るからに不穏な感じのメロディとサビの禍禍しさ、そしてキメを意識して一丸となって襲いかかる破壊力、前作「モンスター」ではかなり抑えられてたヘヴィさの復活が溜まらないですね。逹瑯のシャウト、そして久々に登場したのデスボイスも前回より格段に進化しています。歌詞は誰からも、相手にされない引きこもりがテーマなのでしょうか。孤独にまみれ暴走した主人公が映ります。

 

3.「赤い空」(作詞:ミヤ 作曲:ミヤ)

 

出だしの脳天を抉られるような集中攻撃から一気に引き込まれますね。ユニゾンをキメてツタツタビート(※アブラマシマシ)で荒々しく突き抜けていきますが、サビになると曲調が変わり一気にオリエンタルになる感じになるので、油断できません。裏のハープに模した音作りを施したアコギが良い役割を果たしています。間奏では禍々しいコーラス隊も現れよりカオスに。ラスサビでは3拍子だったはずのサビが4拍子になるというトリックも仕組まれていて、1曲において様々な見所がありますねぇ!、歌詞は現実逃避と軽蔑という感じでしょうか。

 

4.「はりぼてのおとな」(作詞:逹瑯 作曲:ミヤ)

 

きっと、ひねくれてる人間って思われるかもですが、成人式の朝、真っ先に聴いた曲がこの曲です。ベースとなっている歌謡曲以外にも「和」を感じるわらべなメロディにズッシリとしたサウンドが重なる事によって生まれるムックらしい化学反応、最初は黙々パワーを蓄えていたバンドサウンドも中盤以降はすっかりと攻撃的なリフのユニゾンのオンパレードに変貌するのがポイントです。歌詞はたとえ成人を迎えた人間へ向けてかかれているのですが、餓鬼な奴は餓鬼のままだし、反対に子供でも大人みたいな奴はいる。そのことを踏まえ、成人迎えて勝手に大人になったつもりでいる人間を「はりぼてのおとな」と皮肉る内容となっています。

 

5.「フォーティーシックス」(作詞:ミヤ 作曲:ミヤ)

 

そして今作に於けるミヤの最後の楽曲は、出た出た!道行く者全てを破壊しながら終わりまでノンストップで突き進むナンバー。なんかもう、全ての楽器があらぶっていますが、サビのメロは「コロブチカ」「長い道を」をはじめとしたロシア民謡を油マシマシにしたような独特さ、中毒性があります。タイトルのフォーティーシックスは「46」なのですが、なんと地球が出来てから「46億年」の方にスポットライト。46億年の中で先代の人間の思考に丸め込まれた地球上の人間全員を皮肉る内容となっております。となると、この曲は神目線の可能性もありますね。

 

6.「神の星」(作詞:逹瑯 作曲:YUKKE)

 

YUKKE作曲の、前作「モンスター」でチャレンジした荒々しいサウンドを更に追求したような楽曲です。前作では抑えられてしまった荒々しさがこの曲では大爆発。バンドスコアでYUKKEがコメントしていた通り、ユニゾンの起源となるイントロのベースリフが命な、かなり迫力のあるサウンドを堪能することができます。Bメロのシャウト混じりで歌う部分が好きなんですが、アウトロでもBメロが採用されているのでYUKKE自身もこのフレーズが好きなのかもしれませんね。歌詞には地球上で争ってばかりの馬鹿な人間達を見て神々が嘲笑しているというシチュエーションが描かれています。

 

7.「春、風が吹いた日」(作詞:逹瑯 作曲:SATOち)

 

曲調とメロから1発でSATOち作曲と分かる爽やかパンクナンバー。しかしながら、足を踏み入れたら、青春っぽいタイトルからは、想像のつかない世界が広がっています。2番の頭では一転して妖しいジャジーな感じになるのも歌詞と連想している感じがしていいですね。そんな歌詞は久々に会った友達が宗教に入信していて、主人公に宗教勧誘を勧めてくるというシチュエーションとなっています。洗脳されてしまった友人は完全に別人になってしまったことを示唆する部分も存在していて、かなりリアリティを感じてしまいます。

 

8.「夕紅」(作詞:ミヤ 作曲:SATOち)

 

再びSATOち曲。こっちはどこかカントリーの香りも漂う青春パンクナンバー。やはりSATOちの楽曲はメンバーの楽曲の中でも頭1つ明るさが突き抜けているんですよね。全てにおいて聴きやすいメロディラインが乗った線路を走り、最後まで爽やかに駆け抜けます。「夕紅」(ゆうくれない)とは、夕方から夜にかけて、空が虹色になる現象のこと。歌詞には、辛いことが多いけど君のためになら生きていけるよというラブソングに急接近(てか、もはやラブソングじゃない?)。逹瑯は以前から恋愛をテーマにした歌詞を書くことはありましたが、このような歌詞をミヤが書いたということ、それは初期から続いていた負が無くなったことの証明でもあるのではないかと思います。

 

9.「遙か」(作詞:逹瑯 作曲:逹瑯)

 

そしてラストは逹瑯のミディアムナンバーでフィナーレ。アルバムのラストの曲がミヤの楽曲じゃ無いのも初めてですよね。楽曲の方は歌謡曲を下地に、ミヤのギターが彩り、中盤にはコーラスが出てきたりと見所多しのバンドスコアでSATOちのコメントしていたようにベースが入ったり抜けたりする部分がポイント、色が付いたり抜けたりと感情を表現している感じがしてたまらんのです。歌詞は失恋した主人公が元恋人を未だに思い出してしまう切ないシチュエーションに仕上がっています。

 

 

いかがだったでしょうか。至るところに「6」が登場し、人間の生々しさを描き、最後の暴走をしたこのアルバムは、初期ムックと中期ムックの境界線ともいえるでしょう。アルバム全体の曲順的にも、そして初期ムックからの負が払拭される瞬間としても「夕紅」の存在は大きいなと感じました。次回以降のアルバムに於いても、そしてムックの歴史に於いても、かなり重要な立ち位置のアルバムなのではないかと思います。

 

次回は7thアルバム「極彩」のレビューです。よろしくお願いします!