「ARCADIA/Janne Da Arc」レビュー | brilliant-memoriesのブログ

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ドエルさんでもあり、V系好きのギャ男でもあり、60〜00年代の音楽好きでもある私がお送りするこのブログ。アルバムレビューや自作曲の発表、日常、ブログなどいろんなことをします!

「マリオカートにファンキーコング参戦ってマジっすか、アイツてっきり出禁になったのかと思っていたので、腹抱えました。これは時代を超えた”ファンキーバイクwii VS ワルイージバギー8DX VS ダークライ”という伝説の三つ巴が見れるってことですよね、滅茶苦茶楽しみです。」お疲れ様です。アルバムレビューやっていきましょう。本日レビューするアルバムは「ARCADIA」であります。2004年に発売された今作は、かなりバラエティに富んだ様々なジャンルに挑戦しているとのことです。果たしてどんな世界が広がっているのでしょうか!

 

アルバム「ARCADIA」のポイント

 

・今作はセルフプロデュース作品になっております。やりたいと思ったプロデューサーが居なかったから自然にこの流れになったとのことです。

 

・今作は、様々なジャンルに挑戦している感じがします。今までやってこなかったジャンルやちょっと意外なジャンルまで幅広いですね。一見とっつきにくいジャンルでもできる限りポップで聴きやすいアレンジになっているのも流石です。ベストアルバム「SINGLES」に収録された16thシングル「飢えた太陽」は収録されず、以降は5周年記念390円の限定販売されたシングル3曲を含む5曲のシングルが今作に収録されました。

 

それでは行ってみましょう。

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(青→シングル曲 黒→アルバム曲)

 

1.「ACID BREATH」(作詞:yasu 作曲:yasu)

 

荒々しいハードロックナンバーから開幕です。激しいですが、メロディラインはかなりメロディアスなので、聴きやすいですよ。暴れまくっているバンドサウンドが聴き所です。そしてキーボードの音色達も楽曲をポップにほぐしてくれていて、ナイスアシストです。歌詞はあること無いことを言いふらす「2ちゃんねる(当時)」の住民を皮肉っております。2004年当時はまだネット掲示板が珍しかったこともあり、当時の時代背景を映したリリックになっていますね。現代になればなるほど強く刺さる風刺というのも皮肉な話です。でもご安心ください、この2年後には某青い鳥(今は黒い背景に爪で交互に引っ掻いたようなアルファベット)が生まれ、ネット界が進化を辿る一方、大衆化によって状況はもっと悪化してますよ♪

 

2.「ROMANC」(作詞:yasu 作曲:yasu)

 

20thシングル。意外にも有りそうで無かったジャンヌ流・歌謡曲ナンバー。この曲も息の合ったバンドサウンドが特徴ですよ。要所要所に出てくるスラップベースが注目ポイントです。裏打ちや裏拍を上手く使ったテクニックが光る楽曲となっております。歌詞は彼女がいるのにも関わらず、別の女性と愛を育むという二股をかけているクズ男の楽曲ですね。開き直って、誇らしげに語っているのがさらにクズですね。見方を変えると、たくさんの姫に愛(営業)を振りまくホスト視点にの歌詞にも見えます。(流石に2番のような過激なことはしないと思いますが...)また、タイトルの「E」のみが反転していますが、これは、本当の恋愛では無いということを強調したかったとのことです。

 

3.「Heavy Damage」(作詞:yasu 作曲:ka-yu)

 

「散々人のこと馬鹿にしておいて、今更急に友達ヅラなんかしてんじゃねぇよ...ペラペラペラペラ偉そうに御託並べた奴が掌返したように近づいて来やがって、おいお前、そうお前のことだよ!」というかなりブチ切れたセリフがイントロに入り、ラストはシャウトまで聴けるka-yu作曲のヘヴィロックナンバー。まさに「怒り」をテーマにした荒れ狂うサウンドを堪能することができます。歌詞はyasuの実話が元になっているらしく、散々夢を馬鹿にしてきた人たちがジャンヌが音楽で成功した途端に掌返して媚びてきたことを歌っているとのことです。

 

4.「DOLLS」(作詞:yasu 作曲:yasu)

 

19thシングル。ファン人気も高い、切ないミディアム・バラードです。シンプルなバンドサウンドの裏にアコギの音色やギターのフェード音が彩っているのが素敵ですね。ギターソロも速弾きでは無くメロディアスなフレーズが目立ちます。バックで走馬灯のような音色を出しているキーボードにも注目です。「恋人だった2人が別れた後、人形のように動かなくなってしまった」という二重の意味で壊れてしまったカップルを人形に置き換えたタイトルになっています。男性視点で物語が展開していくのですが、サビには元カノの言霊が登場します。「私じゃだめなの?」「もう好きじゃ無いの?」という言葉はストレート故にかなりリアリティのある刹那が浮かびますね。KISSで黙らせたその先のバッドエンド、両者ともまだ胸にある未練が動かなくなるきっかけとなってしまったのでしょう。別れた理由は明かされていませんが、「家庭の事情や将来の夢で別れざるを得なかった」とかであったら、尚更、悲惨です。

 

5.「trap」(作詞:kiyo・yasu 作曲:kiyo)

 

見るからに怪しい旋律とキーボードの音色が病みつきになる今作では唯一となるkiyoの楽曲。イントロのギターとベースのユニゾンである、荒々しいリフから開幕し、英語詩のラップゾーンが飛び出し、一気にキャッチーになるサビといった独特な展開が多い楽曲となっております。切り替わる世界観にきっちりと応える楽器陣が見所です。歌詞はおじさんに甘い言葉で誘拐されて監禁される小学生というどこかで見たことがあるシチュエーションが展開されます。「誘拐」恐ろしいテーマですよ、特に小学生は助かったとしても一生消せない傷を心に負っています。「誘拐」はニュースとかで聞くと遠く聞こえるかもしれませんが、明日は我が身かもしれません。くれぐれも見知らぬ人にはついて行かないようにしてください。

 

6.「心の行方」(作詞:yasu 作曲:you)

 

シンセパーカションが鳴り響く、神聖感と絶望感が入り混じる歪な楽曲です。一音一音に癖のあるデジタルな音達が印象的ですね。ループが多く、16分を刻む繊細なフレーズが全パートにあり展開されていくので、かなり難易度の高い楽曲になっております。歌詞は全ての情報をシャットダウンして閉じこもる引きこもりがテーマになっています。引きこもりの心の中でこだまする声を代弁したような歌詞が印象的です。

 

7.「ATHENS」(作曲:you)

 

楽器陣の高い演奏技術をぶつかり合いを堪能できるインストゥルメンタル。全楽器が「我が主役じゃ!」と前に出ようとしているのが最高です。それぞれのゾーンに振り分け、様々な部分で楽器がテクニカルなアピールするという構成になっていて、速弾きギター、16分で歌うベース、ツーバスの繊細な展開、様々な音色を魅せるキーボードが大集合。流石はyou楽曲ですね。マリオカートで流れたら更に激アツかも!

 

8.「FREEDOM」(作詞:yasu 作曲:yasu)

 

17thシングル。耳に残る特徴的なギターリフが炸裂し、これまた新しい、軽快なアメリカンロックサウンドに仕上がっているナンバーでございます。変化球なうねりまくるメロディラインなので、この曲をシングルに選んだのは、なかなかなチャレンジをしてますね。英語と日本語が行き交うリリックには、仕事・恋愛・生活どれもうまく行かず疲弊する主人公が描かれています。しかし、この主人公かなりポジティブ思考の持ち主で、終盤はかなり余裕な表情を見せて、他人と比べず自由に人生を楽しんでいるのが新鮮でした。

 

9.「WIZARD」(作詞:yasu 作曲:you)

 

各楽器の演奏フレーズは完全にメタルなのに、音作りがメタルっぽく無いというギャップが光るyou作曲のナンバー。かつての「D・N・A」のような重低音が響く骨太なサウンドにしたら、メタラーが喜びそうなのですが、それをしなかったのには、なにか意味がありそう。楽器陣は16分の繊細なフレーズが多く、かなり大変です。しかし、それを感じさせずギターソロで更に暴れるギター君は「限界突破」という言葉がお似合いですね。魔法使いという意味を持つタイトルですが、歌詞は女遊びを繰り返すプレイボーイが数多の顔と誘惑を繰り返し、堕とす様を魔法使いと武勇伝のように語るという内容です。クズな性格をとことんさらけ出しているのが、ここまで来ると逆にすがすがしいですね笑。

 

10.「Process」(作詞:shuji・yasu 作曲:you)

 

7弦ギターのバッキングとメインギターの暴れっぷりがイカしたロックンロールナンバー。ドラムと5弦ベースのリズム隊とオルガンの音色がしっかりとジャンルにあった土台を作っていて、カウベルまで飛び出すので1970年代の洋楽サウンドを聴いているような感覚になります。作詞には久しぶりにshujiが参加しており、語りかけるような歌詞が印象的です。自分のバンドの現在の立ち位置と思い描いている未来について包み隠さず、ホンネで語っているような感じがします。

 

11.「BLACK JACK」(作詞:yasu 作曲:yasu)

 

21thシングルインディーズ時代の楽曲「Lady」から始まり、ついに「”危険な恋×エロス×ジャズ=yasuの楽曲”」というスタイルを確立した楽曲でもあります。このスタイルは後のyasuのソロプロジェクトである「Acid Black Cherry」の楽曲にも引き継がれています。ジャジーで迫力のあるドラム、ウォーキングベース、キーボードの醸し出す妖しい雰囲気を邪魔せず繊細なフレーズを聴かせてくれるギター、といったメンバーの高い演奏技術が詰まっています。歌詞は恋人作りをギャンブルに例え、これまで沢山の女性と付き合っては捨ててきたであろう、煩悩にまみれた主人公のお話。今回もターゲットに向かってナンパを仕掛けます。シャッフルビートを活かした耳に残りやすいメロディですが、やはり圧巻なのがキメのカウントの部分ですよね。あまりにも直接的な単語が並び、二重の意味でカッコいいですよね!

 

12.「カーネーション」(作詞:yasu 作曲:you)

 

アコースティックギターとボーカルのみで構成されたアコースティック・バラード。かつての「ZERO」のようにアコギ1本の引き出せる要素を限界まで敷き詰めた感じがして、繊細且つテクニカルなフレーズが光ります。歌詞は、大人になった主人公が母に向けての感謝を歌うという内容です。お手紙のような書き方をした歌詞と、一切隠喩の無いストレートな言葉がポイントです。改めて言いますが、これアコギ1本なんですよ?。凄いですよね。ちなみに「カーネーション」の花言葉は「無垢で深い愛」です。ステキ。

 

13.「Kiss Me」(作詞:yasu 作曲:yasu)

 

18thシングル。ラストは爽快なポップロックナンバーでフィニッシュ。曲調、メロディライン、楽曲の世界観、どこをとってもキャッチーな楽曲となっております。バンドサウンドに乗るキーボードの音色も煌びやかで、バンドサウンドも基本的には聴き慣れた8ビートというJ-POPらしい展開もこの楽曲が聴きやすいポイントでしょう。しかし、そのまま突き抜けないのがジャンヌ。こんな明るい歌詞に死別したという重い歌詞が乗るのです。タイトルの「Kiss Me」は甘い囁きでは無く、永遠のお別れの前にキスして欲しかった、貴方といた最後の証を残して欲しかったという心の叫びだったのです。このギャップはかつての「feel the wind」以上です。

 

楽器陣の激しいぶつかり合いが聴けるインスト曲やボーカルとアコギだけの曲といったバンドという枠にとらわれない、様々な楽曲が目立ったアルバムでした。それとは反対にシングル曲が要所要所に入ることで、その挑戦的なアルバム楽曲が目立つという印象がありましたね。次回はジャンヌのラストアルバム「JOKER」のレビューとなります。今回もありがとうございました!