「ANOTHER SINGLES/Janne Da Arc」レビュー | brilliant-memoriesのブログ

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ドエルさんでもあり、V系好きのギャ男でもあり、60〜00年代の音楽好きでもある私がお送りするこのブログ。アルバムレビューや自作曲の発表、日常、ブログなどいろんなことをします!

「先日、映画プリキュアオールスターズFを観て、1月のアイカツの映画以来の綺麗な涙を流した私でございます。プリキュア好きな方は是非観て欲しいです。」ということで、今回もJanne Da Arcのアルバムレビューをしていきますが、今回は番外編。今回レビューするのはカップリング曲のみを集めたベストアルバム「ANOTHER SINGLES」です。2003年に「SINGLES」と同時発売されました。(「SINGLES」は新曲が2曲のみなので、全てのアルバムレビューが終わった後にまとめてやると思います。)バンドの本当の姿が見えるといわれているカップリング曲ですが、勿論ジャンヌも例外ではありません。シングル、アルバムでも見ることが出来ない一面を持った楽曲がたくさん収録されていると聞きます。果たして、どのような世界が広がっているのでしょうか!

 

アルバム「ANOTHER SINGLES」のポイント

 

・1stシングル~16thシングルのカップリング曲と未発表曲の計16曲を収録。カップリング曲なので、マニアックな世界観、複雑な構成、テクニカルな曲が多いのが印象的です。実験的...というか、売れ線に縛られずにメンバーがやりたい音楽を自由にやっている感じがしますね。

 

・シングルの表題曲にはメインコンポーザーであるyasu曲が選ばれることが多い印象ですが、カップリング曲にはメンバー曲が多く収録されており、ka-yu曲、you曲。kiyo曲の新たな一面を見ることができます。(ライブで希に披露されていたshuji作詞・作曲の「チョコクリスピーの唄」の収録が無かったの寂しい...)

 

それでは行ってみましょう。

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青→シングル曲 黒→アルバム曲 赤→カップリング曲

 

1.「seal」(作詞:yasu 作曲:you・yasu)

 

1stシングル「RED ZONE」のカップリング曲。いきなり高速ギターから始まり、歌メロ中は16分のリフで押し通し、ギターソロでも高速で駆け抜けるというyouのテクニカルなギタープレイを堪能できるナンバー。乗っかる妖しいシンセストリングスと華やかなブラスサウンドが生み出すファンクさが、まるで、カジノの世界を映しているように見えます。最後は悲しいピアノの音色でフィナーレ。「負けたかー...。」歌詞はドMでプレイボーイな主人公が今夜の相手である、女性を「もっと激しく」と誘惑するシチュエーションです。

 

2.「FAKE」(作詞:yasu 作曲:Janne Da Arc)

 

2ndシングル「Lunatic gate」のカップリング曲。インディーズ時代から演奏されていた楽曲で、「Psycho Dance」以来となるメンバー全員での共作となります。(尚、バンドスコアのインタビューにてka-yu原曲ということが明かされています。)優しいピアノのソロから始まり、爽やかな楽曲かな...?と思わせた矢先、スリリングなバンドサウンドが現れて一気に本来の荒々しい姿が見える楽曲になっております。キメの部分が多く、バンドで演奏してみたら楽しそうですね。歌詞は恋人を「天使」、浮気相手を「悪魔」に置き換え、恋人の乗り換えを図るクズ男が描かれています。

 

3.「Vanish」(作詞:yasu 作曲:kiyo・yasu)

 

3rdシングル「EDEN~君がいない~」のカップリング曲。表題曲の爽やかなポップロックナンバーの後にこの妖しく荒々しいロックナンバーでバンドの正体を見せるという感じが最高なんですよ。kiyo曲ということで、吸い尽くされそうなS.Eやオーケストラヒット、ストリングスなどなどキーボードの大群が世界観を浮かび上がらせてますね。歌詞はつい最近までアーティスト(アイドル)の彼女と付き合っていた主人公がたまたまラジオから流れてきた彼女の歌を聴いて涙する...という内容になっています。

 

4.「Vanity (Single Mix from "D・N・A”)」(作詞:yasu 作曲:yasu)

 

両A面の4thシングル「Heaven's Place/Vanity」の2曲目。4thシングルにカップリングが存在しないことと、おそらく2曲目だからという理由で入れられた感じですね。アルバム「D・N・A」の回でレビュー済みです。

 

5.「IMAGE or...」(作詞:yasu 作曲:kiyo)

 

5thシングル「will~地図に無い場所~」のカップリング曲。疾走感のあるポップロックナンバー。転調を交えた複雑な楽曲展開と、kiyo曲らしい、マリンバやボイスパッド、ストリングス、シーケンスフレーズ...といったキーボード大活躍の楽曲。イントロで左右から鳴り響くギターのカッティング音にも注目です。歌詞は作詞者yasuからの視聴者への警告という感じになっていて、歌詞の内容と本人は同一人物では無いよ!ということが歌われています。これまでのジャンヌの楽曲の歌詞ってドロドロした恋愛の歌詞とかクズ男の歌とかもあって、その登場人物がyasu自身の事だとか言っていた人がいたのかも知れませんね。この曲が出た当時、私はこの世にいなかったので真偽はわかりません。

 

6.「differ」(作詞:you・yasu 作曲:you)

 

6thシングル「Mysterious」のカップリング曲。今回はyasuと共作ですが、youが作詞を手掛けた楽曲はこの曲が初めてなのではないでしょうか。ダークなロックナンバーですが、やはりyou曲。イントロからタッピング奏法で駆け抜け、Bメロではアコギの速弾き、部分部分でエフェクターでサイケな音作りを施し、ギターソロの部分は拍子を変えまくるという複雑な展開且つ繊細なギターテクニックを堪能することができます。歌詞はすれ違っていて別れ寸前まで関係が悪化していた男女カップルが互いを理解し合って、関係を修復することはできたが、それから彼女は再び関係が悪化することを恐れてか、必要最低限しか自分を見せなくなってしまい、それに気づいた彼氏が彼女に説得するというストーリー性のあるリリックになっていますね。

 

7.「Blue Tear~人魚の涙~」(作詞:yasu 作曲:yasu)

 

7thシングル「Dry?」のカップリング曲。このアルバムに収録されたカップリング曲のなかでは唯一のyasu楽曲ですね。かなりシンプルな構成をしたポップロックナンバーになっていて、Bメロのギターのタッピングといっぱい鳴っているキーボードの音色という部分をクリアできれば、カバーしやすい易しい難易度の楽曲となっています。歌詞はかなりファンタジー。人魚に恋した主人公が異種族の壁を突き破るために主人公が人間をやめる、(死ぬ)というストーリーになっています。こういうファンタジーな歌詞って、大人になるにつれて失っていく子供の純粋な心を思い出させてくれる感じがして、胸が熱くなってしまいます。

 

8.「ナイフ」(作詞:kiyo 作曲:kiyo)

 

9thシングル「seed」のカップリング曲。この曲、初見の際に色々と驚かされた曲です。かなり暗く、スローテンポな楽曲。感情を閉じ込めて黙々と鳴り響いている楽器にも怖さを感じてしまいます。特に1番怖いのはシリアスなピアノですね。しかもオドロオドロシイ音色のシンセパッドやシンセリードも登場して、雰囲気をさらに濃密にしているのも流石はkiyo曲。歌詞は浮気された女性が男性に襲いかかるという、まるで昼ドラのようなドロドロした復讐劇が繰り広げられます。特筆すべきは、この歌詞、yasuでは無くkiyoが書いております。このシチュエーションの引き出し口にかなり衝撃を受けました。改めてまとめてみるとジャンヌ時代のyasuはメンヘラやヤンデレ、地雷系といった女の子の歌詞を書く印象ですが、今回現れたkiyoの場合は憎悪、復讐心といった女性の歌詞を書いている感じですね。同じジャンヌの女性目線の歌詞でもここまで雰囲気が変わるというのがまた面白いですよね。

 

9.「GUNS」(作詞:yasu 作曲:ka-yu)

 

10thシングル「シルビア」のカップリング曲。オルガンとベースのユニゾンから始まる、ツーバスと分厚いギターリフにぶん殴られるメタルナンバー。メタルナンバーの復活、それだけでもテンションが上がりますが、変拍子やキーボードの音色、「キーボードVSギター」の展開などにも「D・N・A」の香りを感じさせるのが最高です。歌詞は「今夜やること無いから、一夜を共にできる女をナンパして、ホテルで激しく混ざり合う」という一夜が描かれています。途中から刺激を求めすぎて、ドS化しているのもポイントですね。

 

10.「Dear my・・・」(作詞:yasu 作曲:ka-yu)

 

11thシングル「feel the wind」のカップリング曲。2ndアルバム「Z-HARD」に収録されたアコースティック・ナンバーをバンドサウンドにアレンジして収録です。キーも原曲のト長調(♯1個)からイ長調(♯3個)に変更されていて、コーラスも追加されて、優しさが溢れるポップロックとなっております。原曲のレビューや歌詞についてのレビューは「Z-HARD」のレビュー回からどうぞ。

 

11.「MOTHER BRAIN」(作詞:you 作曲:you)

 

12thシングル「Shinig ray」のカップリング曲。7弦ギター、5弦ベース、ツーバスが大集合したyouのダークロックナンバー。ギターとベースのユニゾン、ベースソロ、手数の多いドラムの展開パターン、高速ギター→ギターソロといったテンポは速くないもののそれを逆手に取ったテクニカルなフレーズが多く登場しており、メンバーの演奏技術が光ります。前回はyasuと共作でしたが、今回は初めてのyou単独作詞。日本語と英単語が入り混じった難解な歌詞になっております。コンセプトアルバムの4thアルバム「ANOTHER STORY」に収録されたyou楽曲「OASIS」にもこの曲のタイトルが出てくるので、なにか重要な関係ありそうですね。この曲を「ANOTHER STORY・番外編」という立ち位置として考えると「禁断の6つ目の音箱を開けてGAIAが闇に覆われていく瞬間」を映した歌詞なのではないかという考察も浮かびます。

 

12.「QUEEN」(作詞:kiyo 作曲:kiyo)

 

13thシングル「マリアの爪跡」のカップリング曲。kiyo作詞・作曲の妖しい雰囲気を醸し出すナンバーです。ベースが前に出たアレンジになっており、繊細な16分のフレーズが目立ちます。クラビネットにエフェクターを掛けたフレーズやフェードインしてくるシンセパッド、シンセストリングスといったキーボードの音色達もかなり世界観を色濃くしています。先程の「ナイフ」で驚かせられたkiyoの新たな引き出し口ですが、今回もその一面が遺憾なく発揮されています。今回の歌詞は「SM嬢に飼われ、首輪付けられペットになったマゾ主人公(ワンワン▽・w・▽)」という調教シチュエーションとなっており、飼い主に依存している主人公は捨てられてしまうかもしれないことに恐れていることが分かります。女性語で物語が展開しているので、もしかしたら主人公も女性なのかもしれませんね。

 

13.「answer」(作詞:you 作曲:you)

 

14thシングル「霞ゆく空背にして」のカップリング曲。you作詞・作曲のダークロックナンバー。途中でファンク調になったり、キーがどんどん低くなったりといつものジャンヌとは違う異質な雰囲気を持っています。イントロのキーボードとギターのユニゾンから、ギターとベースの速弾きユニゾン、変拍子を交えた高速ギターソロといったテクニカルな展開が大集合です。キーボードのキーンと刺激する音色もやみつきになりそうですね。歌詞は主人公が女性の誘惑に乗せられて、禁断の一夜を過ごしてしまうというストーリー。よく見るシチュエーションでもいつもとは逆の視点で物語が展開していくので新鮮に感じますね。キーが低いので、Bメロのファンクの部分のラップのような部分に気をつければ、カラオケでもチャレンジしやすいジャンヌ楽曲になっております。

 

14.「MEDICAL BODY("ANOTHER SINGLES" MIX)」(作詞:yasu 作曲:kiyo)

 

16thシングル「飢えた太陽」のカップリング曲。いきなりのシャウトでビクッとなりますが、生のブラス隊を動員したかなりファンクな楽曲に仕上がっています。ループが多い展開パターンですが、ギターもベースもドラムも16分の繊細なフレーズがループするのでかなり大変です。歌詞は整形して美貌を手に入れた女性の視点で物語が展開していきます。しかし、至るところで顔を変えまくった(少なくとも歌詞の中では3回変えているし、過去にもやっていて事をほのめかすシーンもある)ので、今はやり過ぎてしまった末に、今は大変な状態になっていると推測できますね。

 

15.「Who am I?」(作詞:yasu 作曲:kiyo)

 

今回も最後は「SINGLES」同様、インディーズ時代に演奏されていた楽曲を初音源化。ギター、ベース、キーボードの息の合ったユニゾンとオーケストラヒットが鳴り響き、疾走感と同時に緊張感が駆け巡るロックナンバー。ワーミーと速弾きのコンボが炸裂するギターソロもシビれますね。歌詞は多重人格を持つ主人公の人格が入れ替わる瞬間が映されていて、入れ替わろうとするもう一つの人格を必死に抑える主人公が描かれています。中盤では理性がおかしくなってリストカットまで始める様子は、なかなか恐怖です。

 

さて、いかがでしたでしょうか!いやぁ...大ボリューミーでしたね。ジャンヌのまだ見ぬ世界観からさらに露骨でエロい曲といった面々が並び次は何が来るのかな...と思いながらのレビューでした。個人的に驚いたのはkiyoの「ナイフ」、「QUEEN」で見られた女性目線の歌詞。これまでのアルバム曲でも見られなかった引き出し口の登場は度肝を抜きました。youの作詞の世界観もこのアルバムが初めてでしたね。ストーリー性のある歌詞が印象的でした。非常に楽しかったです。17thシングル以降のカップリング曲はアルバム未収録なので、全てのアルバムレビュー後に、個別でレビューしていく予定です。

 

今回はここまででございます。次回の「ARCADIA」のレビュー回でお会いしましょう!