「Dearly/Janne Da Arc」レビュー | brilliant-memoriesのブログ

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ドエルさんでもあり、V系好きのギャ男でもあり、60〜00年代の音楽好きでもある私がお送りするこのブログ。アルバムレビューや自作曲の発表、日常、ブログなどいろんなことをします!

「新シリーズ、はっじまっるよー!」というわけでの早速CDレビューをやっていきましょう。今回からはビジュアル系の最終兵器のキャッチコピーでお馴染み、ジャンヌこと「Janne Da Arc」のアルバムをレビューをしていこうと思います。

 

kiyoの多彩なキーボードの音作り(だからバンドスコアも楽しい)から、ツーバス駆使のshujiのドラムス、キーボードと計算されて繊細に作られているyouのギターリフやフレーズ、16分の細かいフレーズから、メロディアスなライン、中盤以降からは高速スラップも飛び出す変幻自在な、ka-yuのベース、そしてyasuの美しいボーカル...。ポイントはミックスボイスを用いた音域だと思っていて、よくある、それまで低音でサビで高音になり本領発揮...カラオケではここからが歌えないみたいな事故が起こりがちですが、yasuの場合はいきなり高音から始まりそれをずっと保ち続ける...というパターンが多いのです。なのでカラオケではJanneの曲、そしてABCの曲はサビに行き着く前に声が出なくなる...というシチュエーションに遭遇することも多いです。このようにメンバー全員がそれぞれの担当を高レベルに仕上げていて、その5人が拳を交えるサウンドを堪能できるのがジャンヌの音楽のポイントだと思っております。

 

インディーズ時代のCDから順にレビューしていこうと思います。そんなわけで、本日は1998年に発売された「Dearly」のレビュー回です。

 

アルバム「Dearly」のポイント

 

・この時期のメンバー表記って大文字だったんですね。インディーズで一番最初に出たアルバムなので音質がうーんって感じですが、既にこれぞ、初期Janne!といえるような音楽性を楽しむことができます。

 

・また、今作はコンセプトアルバムです。アルバム1枚でひとつの物語が展開されます。後にyasuは様々なコンセプトアルバムを世に出しますが、今作が1番最初であるということも特筆すべき点ですね。歌詞に注目して聴いてみると、各楽曲のつながりなど、発見があるかもしれませんよ。

 

・今作ではshujiを除いたメンバーの楽曲が収録されています。元々shujiも作曲をしていてライブではたまに披露されることがあったらしいのですが、結局、音源化されることはありませんでした。「未発表曲まとめ」サイトなどをみると聴きたい!って思う瞬間がよくあります。あとは1アルバム1~2曲のみというイメージがあるka-yuの楽曲が多く収録されているということも珍しいと思いました。

 

それではいってみましょう!

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1.「Fantaia(Intro)」(作曲YASU)

 

次曲の導入部分ともいえるピアノのみのインストゥルメンタル。kiyoの奏でるピアノの音色を堪能できます。神秘的な雰囲気が漂っており、これから何かが始まる...ような予感も感じます。ちなみにバンドスコアは次の曲とセットで採譜されています。

 

2.「Fantaia」(作詞:YASU 作曲YASU)

 

そして本編へ。出だしシンセベル、シンセストリングスがまさに異世界へ招待するかのごとく、曲の中へ導きます。そこに初期ラルクで見られたディレイを掛けたギターが舞い、ずっしりと土台を作るベースとドラム。イントロだけで1分近くありますが、”異世界転生するための準備の時間”と考えれば、全く長く感じません。それにしてもyasu曲のメロディラインの聴きやすさはこの頃から最高でしたね!歌詞はまさに理想郷で転生した主人公がヒロインと結ばれるストーリー。しかし、結ばれるまでの過程は無く、結ばれる直前ストーリーしか描かれていません。どういうことなのか...と焦る必要はありません。浮かんだ可能性はふたつありますがこの続きは総評へ...

 

3.「Judgement 死神のkiss」(作詞:YASU 作曲YOU)

 

「ジャッジメントですの!」とボケたところで、you曲へやってきました。静かにフェードインしたと思いきや、荒々しい音色が飛び交う激しい楽曲です。なのでギターが荒々しく飛び出すと思いきや、キーボードと共存するかのように前へ出たりバックへ戻ったりするのが印象的ですね。それでもギターソロのはっちゃけっぷりは凄さを感じがします。キーボードはシンセストリングス、ピアノ、オルガン、シンセ、サビではアコーディオンな音色、さらにはブラスまで飛び出し、様々な顔をみせます。歌詞は主人公の首筋の傷を巡って彼女が問い詰める修羅場のような場面。こうなってしまったら逃げれませんよ。それでも苦し紛れないいわけを繰り返すお馬鹿さんな主人公。これは監禁ルート確定ですわ...

 

4.「More Deep」(作詞:YASU 作曲KIYO)

 

「あ、やっぱ主人公、ヤベェ奴だわ。」と思ってしまいます。艶な渦の中に引きずり込まれるようなシンセが特徴な楽曲。エフェクターが掛けられていますがyasuのシャウトも珍しいですね。中盤のドラムソロ→ベースソロ→ギターソロというコンボもカッコいいです。歌詞は女を抱いては捨ててを繰り返し、新しい快感を乞う、主人公のゲスい一面が存分に描かれた楽曲になっています。

 

5.「So Blew」(作詞:YASU 作曲KA-YU)

 

ライブでも定番曲となっていたこの楽曲。どこか切なさを隠して明るく振る舞おうとする様が見て取れる楽曲です。浮遊感のあるシンセパッドとストリングスの音色がFantaiaって感じがしますね。歌詞はついに彼女が主人公を信頼できなくなってしまい、別れる直前というシチュエーション、そんで主人公が必死に彼女を止めていたがついに...って感じですかね。しかし、調べていくと、どうやらこの歌詞はジャンヌの元ドラマーに向けて書かれた物らしいです。改めて歌詞を観てみるとこの関係を置き換えてみることで「物語のワンシーン」から「バンドとのお別れ」という、また別の世界が見えてきました。歌詞に散りばめられたワードが別のメッセージに変わってゆく、これは凄いですね。2つの世界を持った楽曲です。

 

6.「Confusion」(作詞:YASU 作曲YASU)

 

「Confusion」=混乱・錯乱状態。ほほう。イントロのシンセパーカション(実際はスラップベース)の音色と焦らせるテンポがクセになる楽曲。叫び散らかすAメロと間奏地帯ではダークなシンセパッドに切り裂くようなシンセストリングス、琴の音色も聞こえてくるのも面白いですね。そして急にメロディアスになるサビのメロディ、どこかで聴いたことがあると思ったら、後のシングル曲「メビウス」です!凄いそっくりですね。歌詞はこの物語の中で考えてみると、主人公が別れたがってる彼女に対して豹変して襲いかかる場面ではないかと考察しています。力尽くで...ってやつですね。まさにクズ男ゆえの結論というべきか。(でも3曲目では「受け」を体験できて、この曲では「攻め」を体験できるのも面白いですね。←)

 

7.「Speed」(作詞:YASU 作曲KA-YU)

 

ギターのフィードバック音の中、みるからに妖しいベースソロが始まったと思いきや、本編になだれ込むタイトルのようにとにかく疾走感のある楽曲。前作の錯乱状態の中から抜け出すことは出来ず、本能のままに彼女の元へ向かおうとする主人公が描かれた楽曲。とりあえず、とんでもない姿で走っていることでしょうから、警察に見つからないことを祈るばかりです。

 

8.「闇の月をあなたに...」(作詞:YASU 作曲KA-YU)

 

物語もクライマックス。最後はミディアムバラード。なのですが、楽器陣の音色が華やかすぎてバラード特有の悲しさは無くPOPさが強いです。終盤の転調も素晴らしい。この感じは初期B'zっぽさもありますね。「かぐや姫」がモチーフになっている歌詞とのことですが、この物語の彼女は月の使者に対して、貴男のいない場所に帰りたくないと抵抗しています。「クズ男だけど、だけど!彼はひとりの大切な彼氏なの!」という証明をしたという解釈でよろしいのでしょうか。イイですね!最高のハッピーエンドです!

 

 

というわけで総評、「愛に勝る物は無い」ですね!これに行き着きます。さて、「Fantaia」のレビューで先延ばしにした考察ですが、最初、自分は「3曲目からストーリーが始まり、2曲目でハッピーエンド...」というストーリーを予想していました。しかし、こうしてみてみると2曲目の「結ばれたシーン」はストーリーの序章だったということが衝撃的でしたね。そこから、どんどんディープなゾーンに2人は堕ちていくがそれでも愛は固くちぎれることは無いことを再確認する物語だったという感じで展開していったのが面白かったし、予想していない展開だったので本当に最後まで楽しむことが出来ました。最後に言いたいのは、この物語の主人公は本物のクズだったということですね。

 

さて、次回は「Resist」のレビューとなります。改めて、これからもよろしくお願いします。