「KISS/L'Arc〜en〜Ciel」レビュー | brilliant-memoriesのブログ

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日常で起きたことや、趣味、自作曲の発表、アルバムレビューとかできたらいいなと思います。

どもども!!。今回はウキウキしながらこの記事を書いてます。今回はラルクの11枚目のアルバム「KISS」をレビューなのですが、自分、ラルクの中で一番好きなアルバムがこのアルバムだからです。前回の「AWAKEから2年ぶりに出されたこのアルバム。個人的には、ラルクのこれまでのアルバムの中で一番”虹色”を味わうことができるアルバム。「ark」や「SMILE」も今回みたいなテーマの無いオムニバスなパターンですが、北はディスコから南はジャズまで一番バラエティに富んでるアルバムだと思います。あと特筆すべき点として、この頃からhydeの作詞の表現の仕方がガラッと変わったのも、印象的です。ストレートな表現や分かりやすい隠喩が多くなったり、言葉遊びも使ったりしてより自由で意図が伝わるというのも大きいと思っています。そんなわけで七色の世界を見に行く旅へ行ってみましょう。

 

アルバム「KISS」のポイント

 

・ついにメンバー全員が作詞作曲したそれぞれの楽曲が一つのアルバムに集結しました。最高ですね。あとはてっちゃんのベースが5弦ベースになったことからよりベースの低音がより目立つようになりました。また、バラエティな感じといいましたが歌詞の世界観は秋から冬にかけての曲が多いので現実世界でもこの時期の聴けば最高かも知れないです。

 

・タイトルの「KISS」はhyde様曰く、人と人との繋がりを言葉にしたかったらしいです。キスするように繋がって行ければいいな...と。

 

・後はメンバーのセルフプロデュースが多くなったのも印象的です。ミスチルもそうだけどセルフプロデュースになったことからそれぞれの音の幅や展開のパターン、音作りなどが変わるんですよね。もちろんそれ以前の楽曲も美しいのですが、セルフプロデュースになってからさらに自由度が増したっていう感じです。言葉に表すと難しい...。

 

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青→シングル曲 黒→アルバム曲)

 

1.「SEVENTH HEANEN」(作詞:hyde 作曲:hyde)

 

2年ぶりの新曲のリリースとなった30thシングルでド派手にスタート。世界観はまさに体が揺れ動きそうなディスコサウンド。この打ち込みでできている世界観は中田ヤスタカやヒャダインの作る音楽に似た香りもするし、ボカロPといった今の話題の音楽にも引き継がれていると思う。また打ち込み作業の中心になったゆっきーの生み出す世界観とはちょっと違うけど、感覚的に小室哲哉や浅倉大介が生みだしてきた90年代音楽を思い出した人もいるかも知れません。視点を変えることによって過去と未来、どちらの要素も取れる面白い楽曲になっていますね。

 

hyde様曰く、「デットオアアライヴを今風にアレンジした」というように音楽番組に出たときの映像を見ると、眼帯をつけてるのが印象的。そしてこの曲のバンドスコアはぜひとも見て欲しいです。採譜した人は本当にお疲れ様です。すべての音が細かく丁寧に採譜されていて凄く分かりやすかったです。

 

2.「Pretty girl」(作詞:ken 作曲:ken)

 

kenちゃん花札が使われていて遊び心も感じるお馴染みノリノリエッチなナンバー。夢の中で女の子とエッチするんだけど、最終的にイケるところまでイケずに目が覚めちゃった!っていうオチもまで最高の楽曲です。

 

「Lover Boy」もそうだけどkenちゃんが手がけるエッチな歌詞って凄く共感できるんですよ。思春期を通ってきた男性なら誰でも。この歌詞の感覚だって初めてエロサイト見た感覚を思い出すし、楽曲のチアリーダーが踊りそうなアメリカンチックなブラス隊もあの夜中の独特なパラダイス感があります。個人的には高校野球の応援中になにかの間違えでこの曲を演奏して欲しいっすね。

 

3.「MY HEART DRAWS A DREAM」(作詞:hyde 作曲:ken)

 

31thシングル。イントロのギターソロから確定演出なこの曲は有名ですよね。頭の透き通った綺麗なギターソロ、そしてライブではラスサビでファン全員による「♪夢を描くよ」の大合唱。参加すると凄く楽しいし、会場とファンと、そしてラルクと一体になれます。kenちゃんがキーボードを弾いてたら偶然降りてきて自分でも驚いたというぐらいサビのメロディラインが滑らかで美しいです。まるで青空に虹がかかって太陽に照らされながら柔らかい風に揺れされる草原を連想できるような明るく元気がもらえる楽曲でございます。

 

4.「砂時計」(作詞:tetsu 作曲:tetsu)

 

前曲の澄み切った青空から一転、今にも雨が降り出しそうな曇天空をイメージさせるクリーンギターの音色から始まります。てっちゃんのソロの中でも特に「蜃気楼」や「SCARECROW」といったTETSU69時代の曲を思い出させる世界観が印象的ですね。ここまでのコメント的に暗い曲っぽい雰囲気が漂っているがここはてっちゃん、1番ではピアノが2番ではストリングスが楽曲を美しく彩っています。歌詞は「誰かを救うことによって誰かがそれの代償になる」といったまさに避けられない現実が大きなテーマになっていますね。こちらもソロで観られるシリアスな側面です。

 

余談ですが、歌詞を書き始めたときにはすでにゆっきーとkenちゃんが歌詞を書き終えててっちゃんはすこし慌てていたとか。

 

5.「spiral」(作詞:yukihiro 作曲:yukihiro)

 

hydeがインタビューで、「曲出し期間になかなか曲を出さないゆっきーが最後の方に数曲出してきたうちの一曲」と答えていました。そんな本作のゆっきー作詞作曲の楽曲はブレイクビーツや様々な音色のシンセの絡み合いといったゆっきー独特の機械仕掛けの世界観にラルクの血が注がれることによって生まれた完全なるダンスナンバー。ダンスナンバーといっても「SEVENTH HEAVEN」のサウンドとはまた違う、ゆっきーが意識していたレイブパーティー色が強いサウンドになっていますね。

 

今この現代の渋谷のクラブとかで流れたら、尚更面白そうです。やっぱりゆっきーの歌詞ってhyde様をイメージしてるのかな?。なんとなくですが、言葉の表現の回し方が90年代のhyde様に似てるって自分はちょっと思いました。

 

6.「ALONE EN LA VIDA」(作詞:hyde 作曲:ken)

 

「虹」や「叙情詩」を思い出させるような森林を思わせる深いサウンドですが、今回は”哀愁”が色濃く表現されていると思います。タイトルを訳すと「孤独な人生」というようにどこか見知らぬ世界を旅をする人間の姿を想像でき、その旅人は「真実と幻想と」の”肌を刻んで血で語る詩人」のことを指しているのではないかと思いますね。

 

それにしてもストリングスとアコースティックギター、オクターブのピアノにボンゴという異国間漂う組み合わせが奏でる音色は素晴らしいです。個人的にですが沈む夕日に照らされてこの曲を聴きながら帰ると旅人になった気分になれますよ。

 

7.「DAYBREAK'S BELL」(作詞:hyde 作曲:ken)

 

32thシングル。「ガンダム00」のOPでもありアニソンとしても、知られているイメージがあったりします。この曲はやはりドラムの複雑さですよね。ゆっきーに「この曲はやりたくない」と思わせるほど複雑に派手に暴れ回っております。

 

歌詞は前作の「AWAKE」を思い出させる反戦ソングであり、女性視点で描かれていると思っていましたが、実際は「人間と性」について書かれたということを”最近になって知りました”。曲調はkenちゃん特有のダークな世界観です。出だしのベルの音と前奏のピアノの音色に乗って泣いているシンセストリングスの音色が綺麗ですがこの音色こそがこの曲のダークなカラーをより増量させている気がします。

 

8.「海辺」(作詞:hyde 作曲:tetsu)

 

この曲のイントロを聴いて真っ先に「True」の一曲目の「Fare Well」を思い出した人は果たしてどれくらいいるでしょうか。モノクロームな世界観もどこか似ている気がします。実はこの曲、「SMILE」のレコーディングでゆっきーがブレイクビーツを打ち込んでいたり、歪んだギター音をレコーディングしているシーンも見ることができます。

 

歌詞は失恋した自分が大好きだった恋人との思い出の地である海辺という場所で懐かしさに溺れているといった場景が描かれていますね。この過去の思い出を回想するというシチュエーションは「夏の憂鬱[time to say good-bye]」や「Feeling Fine」と似ていますよね。

 

9.「THE BLACK ROSE」(作詞:hyde 作曲:hyde)

 

出ました。脚本hyde、演出ラルクのサスペンス劇場開演です(笑)。疾走感のある激しい骨太なロックサウンドから、中盤で唐突にジャズにリズムが切り替わるのも面白いし、トランペットの音色もどこかイヤらしい。

 

歌詞は犯人が事件現場に残した黒バラを観て混乱に陥る群衆。その中の「モブキャラA」とも呼ばれる人物が今回の主人公です。事件後にバラがおいていかれるというパターンでキャッツアイの「キャッツカード」を思い出しますね。まあキャッツカードは事件後より犯行予告として使われることが多いのですがね。

 

10.「Link -KISS Mix-」(作詞:hyde 作曲:tetsu)

 

28thシングル。前作の「LOST HEAVEN」とともにハガレンの映画のOPに起用されました。「AWAKE」の発売直後に発売されたため前作の感覚が若干残っていますが、今作のバラエティな要素が良かったのでしょう、かつての「スピドリ」や「自由への招待」は「アルバム内で浮いている」といわれていましたがこの曲は全く浮いていません。むしろ、今作のテーマに1番当てはまっている曲ではないのでしょうか。ライブではみんなでジャンプするのがお決まり!、これが楽しいのです。2番でいったん演奏をやめてメンバー紹介をしたりすることがあります。

 

楽曲はこれぞ、てっちゃんのポップな印象が全面に押し出されてた四つ打ちモータウンなサウンドとなっております。シングル版からリミックスされて収録されているのですが大きな違いはシングル盤のフェードアウトからライブみたいに完奏にしたという箇所ですね。

 

11.「雪の足跡」(作詞:hyde 作曲:ken)

 

オルガンから始まる静かで幻想的な曲。小さな頃に一度は想像した”冬の場景”を思い出させてくれる。。。そんな歌詞と世界観。でも、驚きなのは作曲者のkenちゃんはこの曲を冬ではなく教室を思い出す懐かしさ想像したとのことです。完全に自分の頭の中ではウィンターソングとして認識してしまったので逆にこの曲が冬じゃない世界線が全然想像できないです。

 

そしてこの曲をレビューする際に必ず触れないと行けないと思ったのが「ラルクリ」でのこの曲でしょう。ただでさえ、レア曲が大量だったゴージャスなライブの大トリがこの曲だったのですが、最後にこの曲が演奏された際のまるで実家のような安心感が半端なかったです。フィナーレに追加された「きよしこのよる」のアレンジも相性バッチリでした。

 

今でも雪が積もるとこの曲を聴くファンが多いとのことで隠れた人気がある楽曲です。

 

12.「Hurry Xmas」(作詞:hyde 作曲:hyde)

 

33thシングル。ゴージャスなクリスマスソングでフィナーレです。この曲はポップでジャジーなリズムに加えバンドサウンドにストリングス、ブラス隊、アコーディオンがクリスマスシーズン街に広がるワクワクさを表現しています。ディズニー映画を思い出すような出だしで一気に夢のような世界に引きずり込まれる感覚が最高ですよね。それこそ2003年の活動再開以降のラルクの曲にはバラエティー感が出てきましたよね。個人的にはすごく好きです。

 

ちなみにこれ、シングルを聴いた時に思ったのですが、シングルではこの曲に続いてカップリングとして収録されている、PUNK~EN~CIELによる「I Wish 2007」が収録されているのですがもしかしたらこの曲の歌詞は「I Wish」の前編として作られたのでは無いかと考えています。ハリクリの歌詞では「パーティの始まりさ」や「あの娘喜んでくれるかな」みたいな肝心なクリスマスパーティの中身が触れられて無いんですよね。そしてそこからの「I Wish」の出だし、「泣かないでこんな夜なのに」というパーティ中(後)にあの娘に対する声かけの部分だと思ってしまったんです。ここまで細かいことあるかなんて思いますが、過去にあった「失われた眺め」と「瞳に映るもの」パターンを考えるとその節もゼロでは無いかと思いますぞ!

 

そんなわけで12曲レビューしていきましたがいかがだったでしょうか。やはり自分が1番好きなアルバムと言うこともあって、少々熱が上がってしまったかも知れませんが、熱弁できて楽しかったです。さて、次回は「BUTTERFLY」のレビューになりますが、同時にPUNK~EN~CIELのレビューもしてみたいので、お楽しみに。というわけでお疲れ様でした。次回もよろしくお願いします。

 

それでは♪