「AWAKE/L'Arc〜en〜Ciel」レビュー | brilliant-memoriesのブログ

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ドエルさんでもあり、V系好きのギャ男でもあり、60〜00年代の音楽好きでもある私がお送りするこのブログ。アルバムレビューや自作曲の発表、日常、ブログなどいろんなことをします!

木曜日からこんちゃ!。今日は七夕ですね。朝は「milky way」を聴きながら通学してました。さて、今回はラルクの記念すべき10枚目のアルバム「AWAKE」をレビューしようと思います。このアルバムは前回のオムニバス感があった「SMILE」とは違いhydeが掲げていた「反戦・平和」をテーマにストーリーが展開されていくことが特徴です。また歌詞にアルバムタイトルの「AWAKE」や「目覚めて欲しい」といったワードが入っていることや、一部の曲の世界観が繋がっていることから少しコンセプトアルバム感もあるのでないでしょうか。また今回のテーマが「反戦」になった理由の一つに当時イラク戦争があったことも関係しているらしいですが、今、このような世界情勢で改めてこのアルバムを思い出す人も多いようです。なので今の世間を見て、感じた事を重ねてこのレビューをやっていこうと思います。

 

アルバム「AWAKE」のポイント

 

・全体的にhyde曲が多めです。共作曲もカウントに含めれば約半数の曲を手がけています。尚、「My Dear」と「Ophelia」はHYDEソロの1stアルバム「ROENTGEN」の続編を制作する際のデモだったが結局2ndアルバムの「666」は盛り上がれるロックにシフトチェンジしたため没になった為こちらで採用されたとのこと。hyde様曰く「裏技」

 

・タイトルの「AWAKE」はhydeのこの世界への「目覚めて欲しい」という思いから付けられました。

 

・このアルバムはてっちゃんのポップな曲が少なく、ロックやバラード要素が強くなっている。なのでてっちゃんのポップな曲が好きな人は合わないかもしれない。てっちゃん曰く、「今回は意図的に自分の曲を減らしてもらった」らしいが丁度この時期に「Link」の原型の「lonley girl」や「SHINE」の原型を制作していたことから、これらを曲の選考会に出していたことは間違いないだろう。また、このアルバムはkenちゃんとゆっきーが作詞した曲が収録されているがてっちゃんも歌詞を書く予定はあったとのこと。だが、制作していくうちにうやむやになり最終的には無くなってしまったとのこと。

 

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青→シングル曲 黒→アルバム曲)

 

1.「New World」(作詞:yukihiro 作曲:yukihiro・hyde)

 

26thシングル。ゆっきーとhyde様の共作でhyde様がサビ、ゆっきーがそれ以外を担当しました。この曲の特徴はなんといっても駆け抜けるような疾走感とサビの開放感。特にサビの入り方がすごく爽快です。かなりデジタルでマニアックな世界観を創り上げていたゆっきーから王道チューンが生まれるのが意外でしたね。しかし、ゆっきー要素が完全に消えてしまったわけではなく、バンドスコアを読んでみるとなんと2つのブレイクビーツと生ドラムが同化していたり、ギターソロじゃなくてベースソロが存在していたりと、ゆっきーらしいアレンジが至る所に見受けられます。インタビューでゆっきーが「アジカンみたいな自由な曲をイメージ」して制作したと答えていました。アジカンの曲を聴いていて「自由」って感じる人は自分以外にも結構いるんだなって発見できたのも嬉しいです。

 

2.「LOST HEAVEN」(作詞:hyde 作曲:ken)

 

映画ハガレンの「シャンバラを征く者」の主題歌になりました。hyde様が映画にリンクした内容にする為に水島監督と話し合って歌詞を制作したらしいですね。曲の方はkenちゃんの退廃的な世界観が広がるロックですがバックで鳴ってるアコギが凄くいい仕事しているなって思います。個人的にはこの曲を聴くと山脈の場景がうかびますね。マリオブラザーズwiiのWORLD6なんてまさに自分が思い描く「LOST HEAVEN」に映る世界です。最後のS.Eみたいな音。あれ、刻んだシンセの音をなんですね。面白い発見です。個人的なポイントは大サビのコーラスを歪ませてまで侵入してくるhyde様の深呼吸(笑)。

 

3.「叙情詩(作詞:hyde 作曲:ken)

 

27thシングル。活動再開してからやっとkenちゃんの楽曲がシングルになりました。ゆっくりと時間を駆け抜けるようなメロディラインやバックのオーボエ、ストリングス隊のオーケストラもどこか「虹」の思い出させる深い世界観。どこか深い森林の中を旅しているような、そんな場景がが頭をよぎります。この曲を語る上でもう一つ重要なのが、やはりMVの存在でしょう。あのMVはまさに”芸術”だと思います。メンバーがいろんな歴史に残る画の中で演奏する内容になっていくのだが、美しい音楽とアートが融合した映像ですね。

 

4.「TRUST」(作詞:hyde 作曲:tetsu)

 

”「いつもてっちゃんの曲はポップじゃん!」と言う人へのアンチテーゼ”と本人がインタビューで答えていましたが、暗い曲というよりかは、浮遊感の空間をうまく生かしたてっちゃんの曲の中では今までに無かった、「神秘的」な楽曲だなと思いました。この曲の歌詞は親のお腹の中にいる赤ちゃん視点で書かれているのだがそう考えてみると出だしのエレキパーカッションは心臓の音、Aメロのアルペジオやサビの浮遊感はお腹の中の様子を表現しているのではないかと思えますね。サビでは一気に開放的に鳴り、水の中に光が差し込み幻想的になります。

 

また2005年の「AWAKE TOUR 2005 前夜祭」ではダブルネックギターを演奏しているてっちゃんを見ることができます。「ラルカジノ」で再披露された際は、普通にベースだったのでこれは激レア。この前てっちゃんのベースの展示会へ行った時にその伝説のダブルネックギターがおいてあったので写真貼っときます。

 

5.「Killing Me(作詞:hyde 作曲:hyde)

 

25thシングル。すごい物騒なタイトルですよね。装飾音抜きでバンドサウンドのぶつかり合いが聴ける王道のゴリゴリロックサウンド、待ってました。この曲は改めてギターの重要性を教えてくれる気がします。ビートを刻む音やソロのかっこよさ、エフェクターの変化やエフェクトを使ったS.Eのような音、サビ前のアコギ。全体を通してギターがいろいろな役割を果たしておりますね。歌詞は何か深い意味が隠されていそうな暗号みたいな複雑さがありますが、hyde曰く「特に深い意味は無い」とのこと。歌詞のヒントに「下弦の月」で自身が演じた”アダム”がいたというのも面白いポイントかも。そして、MVもまた物騒な世界が広がっております。てっちゃん、絶対見てるでしょ...?

 

6.「AS ONE」(作詞:hyde 作曲:hyde)

 

ロックの次はハードコアです。リフ重視でぶん殴られるこの感覚、ギターとベースのユニゾンやドラムもツーバスを使った技が目立つなど、これまでに無かった要素が目立ち、かなり攻めている印象です。この曲はhyde様が「”slipknot”を意識して作った」というようにslipknotの「Before I Forgot」や「Psychosocial」を思わせるリフが出てきたり、間奏ではシャウトしてたりと、HYDE様の嗜好が散りばめられ、完全に世界観はHYDEソロそのもの。なんですけど、一転してポップっぽいメロになったり、そこにゆっきーのシンセやスクラッチも投入することにより、結局は”ラルクの曲”になっちゃうのが、改めてラルクの凄いところだなと思いました。歌詞は英訳を和訳するとこのアルバムのテーマになっている「平和」を掲げて、「何故僕たちは一つの者として生きていけないのか」と疑問を投げかけていたりします。

 

7.「My Dear」(作詞:hyde 作曲:hyde)

 

非常に神秘的なバラード。イントロのチェンバロから一気に全曲の荒々しい世界から安らぎの空間に引き込まれて行きます。ストリングスとシンセストリングスの絡みが幻想的な雰囲気の核でありそれをベースとドラム、そしてシーケンス音、S.Eといった様々な音色が歌っているのがこの曲です。歌詞はやはり「世界平和」をテーマを歌っているのだが、先ほどの「TRUST」の歌詞の「信じていいの?」に「信じていいよ」と答えてるのもエモいです。これは予想ですが「TRUST」の歌詞の赤ちゃんが少し成長した姿がこの曲の”君”なのではないかと予想してたりします。これだけ光が溢れた歌詞や曲の世界観。ゆっきーがインタビューで「このアルバムの核」といった理由も分かった気がしました。

 

8.「EXISTENCE」(作詞:hyde 作曲:ken)

 

今度は再びロックに戻りますがkenちゃん作曲。セリフが入っていたりかなり独特でマニアックな感じがします。歌詞は理解不能ですね。不眠症に悩まされる人間視点なのかと思いましたが絶対深い意味が隠されているはず...なんて思ったものの、結局分かりませんでした。ちなみのこれは最近夜更かしして眠れない自分に置き換えるとちょっと面白いです。聴けば聴くほど謎は深まり新たな考察や楽しみ方が見つかるスルメ曲的な立ち位置の曲だと自分は思っています。

 

9.「自由への招待」(作詞hyde 作曲:tetsu)

 

24thシングル。てっちゃんらしい爽快ポップロックナンバー。ですが、ファンもたまに言っていますが、突き抜けて明るいこの曲はやはりどこか浮いていますよね。「SMILEに収録されるべきだったと。確かにこのアルバムは「平和」というテーマに沿ったシリアスな曲が多いのもあってSMILE」のなんでもありな世界観の曲はどうしても浮いていしまうのも分かりますね。楽曲の方は「SMILE」の曲でよく見られたベースと6弦ベースの共演や韻を踏んだ遊び心のある歌詞が出てきたりと、てっちゃんの爽快ポップロックに乗せて歌詞が冒険している感じ。「FAITH」以降のHYDE様の歌詞の書き方に対する変化の片鱗が見えます。そしてサビのキラキラ感のシンセのなかにハープの音が使われていたと知った時は驚きました。こんな使い方があるなんて。

 

10.「Ophelia」(作詞:hyde 作曲:hyde)

 

今度はハムレットの世界。曲調はジャズ調で妖艶な世界観が特徴です。リズム隊とパッドが生み出すマスカレード部隊をピアノとアコースティックギターが舞い踊り、深い艶やかな空間を生みだしております。この曲のハイライトはなんといっても間奏のフリューゲルホルンのソロでしょう。フリューゲルホルンの音色は初めて聴いたのですが、何なんでしょう、めっっっっちゃエロいんですよ...。驚きましたね、こんなエロい音を出すことができる楽器が存在することが。吹奏楽の友達だけがフリューゲルホルンのエロさに共感してくれました(笑)

 

ちなみにこの曲も元はHYDEソロの没曲からもってきた...とのことですが、実はこの曲サビの部分がHYDEソロの2ndアルバム「666」収録曲「SHINING OVER YOU」のAメロとほぼ一致するのですよね。これはHYDEソロを聴いてきたリスナーはニヤリとしたのではないでしょうか?

 

11.「星空」(作詞:hyde 作曲:hyde)

 

さてやってまいりました。今年のラニバでもやりました。今のウクライナ情勢にも通じる「世界平和」がテーマの泣けるバラードです。歌詞はこれまでの歌詞と比べて、ストレートな言葉が並んでいますが、ストレートだからこそ強いメッセージ性が込められているし、一句一句の歌詞が刺さります。曲の方はアコギで静かに始まりますがBメロのティンパニやサビのストリングスといった夜空を連想できるのが美しいです。またこの曲は転調が多いのですが、それも星がグルグルまわる様を描いているのではないかと思っていますね。

 

12.「twinkle,twinkle,」(作詞:ken 作曲:ken)

 

最後はkenちゃんが作詞まで手掛けたポップな曲でフィナーレ。ギターリフを重視し、スラップをかますベースといったロックなバンドサウンドにに見事なまでのキラキラした装飾が交わることによってうまれる星の世界。kenちゃん曰く「盆踊りのような音を目指した」とのことで、すごくトッピングな楽曲に仕上がっております。それこそ同じ星をイメージした曲でもてっちゃんの「milky way」に出てくるようなリア充のストーリー、hydeの先ほどの「星空」のような平和の願う感動的なストーリー、といった同じワードでも連想することは全然違うんだなということがまたポイントだったりします。

 

 

このように12曲レビューしていきましたがいかがだったでしょうか?、今の世界に当てはまる内容だったので、色々と連想しながら曲を聴いてしまいました。非常に楽しかったです。この世界観の更に奥を進むということで、翌年HYDE様はソロワークスで「FAITH」というアルバムをリリースするのですが、今作の陽の要素を軒並み削り、かなりシリアスな世界観が広がっています。楽曲の中には本作の楽曲を裏付ける歌詞もでてくるので、本作の「Killing Me」「AS ONE」といった攻撃的な楽曲が好きな方にはオススメです。ぜひぜひ聴いてみて欲しいですね。

 

次は「KISS」のレビューをしていこうと思います。ありがとうございました!

 

 

それでは♪