「ray/L'Arc〜en〜Ciel」レビュー | brilliant-memoriesのブログ

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ドエルさんでもあり、V系好きのギャ男でもあり、60〜00年代の音楽好きでもある私がお送りするこのブログ。アルバムレビューや自作曲の発表、日常、ブログなどいろんなことをします!

前回レビューした「ark」と2枚同時発売された「ray」。今回はそちらの方をレビューしていこうと思います。特に1998年は「話題になった3枚同時リリース」、そして「2週連続シングルリリース」など新しいスタイルでシングルを発表してきたラルクは結果的に8th「Winter fall」からスタートして14th「forbidden lover」まで計7枚、さらにアルバム1作を発売したことになります。それでも常に高クオリティーの曲を出し続けられるカギは、アメトークでホトちゃんも言ってたことですが、やはり「メンバー全員が曲を作れるから」だとなのではないだろうかジャケ写がよく見るとメンバーの横顔になってるもポイントです。

 

アルバム「ray」のポイント

 

・ポップなオムニバス感があるark」とは真逆である、前作「HEART」路線のようなロックや退廃的な曲が多い印象。海外ロックや激しいバンド音楽が好きな人向け、いわゆる、マニア向けなアルバムだと思いました。

 

・アルバム名の「ray」は光という意味。こちらも「ark」同様、「HEAVEN'S DRIVE」の歌詞から取られている。

 

・こちらもメンバー全員の曲が収録されており、「3枚同時リリース」で発売された3作がこれ1枚で全部堪能できるのは、個人的には最高。このアルバムは、hydeとkenちゃん曲が多い印象です。そして、てっちゃんと世界観に謎が多いゆっきーの新たな一面も見ることができます。

 

それでは参りましょう。

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青→シングル曲 黒→アルバム曲)

 

1.「死の灰」(作詞:hyde 作曲:tetsu)

 

ark」を含め、いままでのてっちゃんの曲を聴いてた人は本当に衝撃を受けたと思います。いつもポップな印象が強いてっちゃんの新たな一面を見ることができるグランジの香りが漂う退廃的な曲です。しかしながら、いつもの面影が完全に無くなってしまったかと言われたら、そんなこともなく、サビの「死の灰か何か?」のメロディーラインに薄らてっちゃんらしさがあるなと自分は感じました。

 

2.「It's the end」(作詞:hyde 作曲:ken)

 

退廃的な楽曲が続きます。歌詞からカップルの別れる瞬間の映像が浮かびました。それも”彼女「別れよ」、彼氏「...」”みたいなパターンの別れ方です。「車」っていうのは”二人で住んでる家”、”恋人という関係”など色んな考察をしましたが出だしの「トランクに大好きな物を詰め込んで」とあることから前者だと思いました。kenちゃんのソロに「solitary stroll」という曲があるのですが、この曲のMVが「It's the end」の自分が思い浮かべたストーリーの二人の現状に凄い近かった印象です。

 

3.「HONEY」(作詞:hyde 作曲:hyde)

 

「3枚同時発売」のうちの1曲。10thシングル。4ピース+タンバリンで構成されてたストレートでロックな曲だが、裏で常にギターソロを弾いてるかのように凄くベースが動き回ってます。kenちゃんのソロコーラスも好き。歌詞は「死んだ恋人目線」と噂されていますよね。言われてみればそう読み取れてしまうのも不思議です。ライブでは常に披露、初出場した1998年の紅白でも演奏され、ラルクで一番売れたシングルですが、逆に、それがきっかけでファンの中では「好きじゃない」という人もだいるとか。そう考えてみたらちょっとかわいそうな扱いを受けてる代表曲かも。

 

 ただ、去年のMステの”投票”で決められたランキングでこの曲が1位担ったときはさすがに自分も"工作”を疑ってしまった。(投票期間中、twitterで「どの曲に入れたか。」というファンのツイートを見てたけどこの曲を選んでいる人がほぼいなかったことから余計に。)

←(Mステ)

 

4.「Sell my soul」(作詞:hyde 作曲:hyde)

 

ジャズの香りが漂う大人っぽいナンバー。サビの「迷宮」というのは転生という意味と捉え「何回生まれ変わっても”君”を見つけられない...」という感じに読み取ってみました。出だしの歌詞、「魂を欲しがる悪魔」、「それが天国の道を塞いでも」という部分から、”君”は天国へ、主人公は地獄へ行くことになったのでしょう。「生まれ変わったらまた会える」と密かに思っている主人公。しかしなかなか見つけられない...。そう考えてみると歌詞の世界観が凄く壮大ですよね。

 

5.「snow drop [ray mix]」(作詞:hyde 作曲:tetsu)

 

13thシングル。てっちゃんのカラー全開な明るく煌びやかなポップロックナンバー。やはりメロディラインの浸透力が半端ないです。キラキラしたクリーンギターが粉雪を、暖かく動くベースが大地を連想させ、ドラムもロータムを活用したゆっきーの特徴である「アンドロイド感」が出ていたり、トーキングモジュレーターを使ってゲレンデを滑り降りていくようなギターソロも新しい感覚です。退廃的、ダークな楽曲が多いこのアルバムの中で一際輝くこの楽曲は見事にオアシスのような役割を果たしています。

 

6.「L’heure」(作詞:yukihiro 作曲:yukihiro)


煌びやかに染まった世界を見事に断ち切るループ物のインスト曲。延々と繰り返されるベース中心にガットギターやタンブリンなど色々な楽器の音が隠れているので秘密を探してみるのも面白いですね。ゆっきー曲の謎がより一層深まりました。歌詞と言っても途中で男女の会話が流れてくるだけですが、ちょっとあっち(シモの方)の意味なセリフです。興味のある方は「ラルク ルー セリフ」で検索してみてください。

 

7.「花葬」(作詞:hyde 作曲:ken)

 

再び「3枚同時発売」のうちの1曲。11thシングル。元々この曲、かなり構築された完成度なのにもかかわらず「HONEY」のカップリングになる予定だったらしいから驚きです。「死」がテーマとなっているkenちゃんの退廃的でゴシックな世界観の中でもどこか耽美さも感じさせる濃厚な世界観。イントロのギターのカッティングから一瞬でその世界に引き込まれるし、薔薇を感じさせるストリングスやトライアングル、聴いていて気持ちいい複雑なベースラインも素晴らしいですね。だってタイトルの「花葬」ってワードから洗練された極上の美しさを感じられるもん(笑)。

 

8.「浸食 ~lose control~」(作詞:hyde 作曲:ken)

 

こちらも「3枚同時発売」のうちの1曲である12thシングル。アルペジオで始まるイントロから一気に世界観に引き込まれます。静かにおどろおどろしくスタートしたと思いきや、突然、情緒がぶっ壊れたかのように暴走するサウンドと変拍子の荒波。こんな実験的な楽曲が90万枚も売れてしまったのが、凄いです。ゴジラの暴走する気持ちを歌詞にしたらしいですが、自分は地雷系女子をこの曲全体を通して連想できちゃうのが面白いですね。歌詞の「貴方さえ気づかずに壊してしまいそう」とか部分とかまさにそう。アルバムレビューするから久しぶりにこの曲聴いたけど、最高ですねぇ。

 

9.「trick」(作詞:yukihiro 作曲:yukihiro)

 

ゆっきーのロックサウンド。インスト含め2つのアルバムで2曲ずつ収録されたゆっきー曲を4曲聴いて、全部系統がバラバラなのがなかなか面白い発見でした。最近、音源のエフェクトが掛かったギターソロの部分がストローで水を啜ってる音に思えてきてツボです。ライブでは全員がギターを演奏して順番に歌うのが定番の曲。「ラルカジノ」ではこの曲に続いて「REVELATION」に移ったのが個人的に見所。ビデオ越しに見ても会場の盛り上り方が凄かったですねぇ。

 

10.「いばらの涙」(作詞:hyde 作曲:hyde)

 

ファンからの人気がかなり高い曲。こちらもギターの哀しげなアルペジオで始まるイントロから一気に世界の中へ引き込まれますね。2週目のイントロから流れ出すハープシコードとアルペジオが重なりあう部分がおとぎの世界の深い森のなかを彷徨うような絶妙な奇妙さを感じさせます。サビで一気に盛り上がり開放的になるのが最高ですね。。歌詞はイエス・キリストが処刑される際の歌詞だけど、実際に画を見てみたらきっと、イエス・キリストが処刑時こんな情景が目に映っていたのかなと曲越しに思います。

 

11.「the silver shining」(作詞:hyde 作曲:ken)

 

重たい雲を感じさせるシンセパッドから始まる宗教的且つマニアアックな楽曲。ノストラダムスの大予言の日に発売された今作。世界の終わりとはまさにこの曲に映る世界感なのかもしれませんね。「「ark」の「What is love」では夏の夕焼けのそれにピッタリとレビューをしたが、こちらは歌詞にあるとおり、海辺から見る夏の朝焼の映像をイメージしました。失恋ソングなんですけど和訳した歌詞を読むとこれ悲しさのあまりそのまま身を投げ出してしまったのではないでしょうか。どこか主人公の心の中の孤独な寂しさも感じられます。

 

 

と、このように一通り書いてきましたが全体を通して、退廃した世界観や悲しい歌詞が多い印象ですね。2枚同時発売ということで、「ark」と「ray」の合計22曲を聴いてきましたがよく言われている「snow drop」と「forbiddenlover」は逆なのではないか説。自分もそう思いました。これは自分も経験あるんですけど、1つのアルバムを制作するにはメリハリも考えないと行けないので、メンバーが(長時間にわたる)曲順決めの結果、スノドロがこっちに来たのではないかと思ったりしています。と考えるとこのアルバムの中では本当にインストの「L’heure」や「Larva」がアルバムの”曲の転換”としてすごく重要な役割を担っていると感じました。1998年から1999年のラルク全盛期の世界観を味わうことができました。次のアルバムでは、人気になりすぎたラルクの当時の空気を曲を通じて見る事ができるのでレビューしていこうと思います。

 

 

それでは♪