サムスン、日本製以外のフッ化水素を試験 | KHのアメーバブログ

KHのアメーバブログ

テキトーなタイミングで、テキトーにコメントします。

昨日7月16日の日経新聞と、その10日ほど前に中央日報に掲載された2つの記事を一部抜粋して紹介します。

  

**************

 

サムスン、日本製以外のフッ化水素を試験 代替にらむ 

2019/7/16 15:59 日本経済新聞 電子版

 

 

日本が輸出規制に出たレジスト(感光液)、フッ化水素(エッチングガス)などが使用される半導体の製作工程。図中の赤枠部分が、半導体ウェハー上にレーザー光で焼き付けられた精密回路図中に残ったフォトレジト(光抵抗物質)をエッチングガスを吹き付けて除去する工程 (ハンギョレ新聞社http://japan.hani.co.kr/arti/politics/33872.htmlの図と説明の一部を改訂

 

 

【ソウル=山田健一】韓国サムスン電子が、日本政府による対韓国輸出規制強化の対象の品目の1つである「フッ化水素」について、日本製以外の品質性能の試験に着手したことが16日分かった。

 

フッ化水素のメーカー名は明らかにしていないが、中国や台湾、韓国のメーカーとみられる。

 

日本製以外のフッ化水素を使い従来と同じ品質の半導体がつくれるか、結果が出るまでは2~3カ月かかる。結果が良好でも価格や供給量をめぐる取引条件で合意できるか課題は残る。

 

サムスンは従来、品質や納期に対する意識が高い日本企業との関係を重んじ、基本的に調達に支障が出ることはないと判断していたため、フッ化水素について日本メーカー以外との取引を真剣に検討することはなかった。  

 

今回の日本政府の対韓輸出規制は、こうした韓国側の意識を一変させた。韓国半導体業界でサムスンに次ぐ規模のSKハイニックスも日本製以外のフッ化水素の試験について「検討している」と話す。

 

サムスンは日本企業が東日本震災後に取り組んだのと同じようにサプライチェーン(供給網)の点検に着手したとされ、リスク分散のために日本の調達を減らす可能性もある。これを防ぐには日本側にも新たな付加価値をつくる取り組みが求められる。

 

引用:日経新聞 2019/7/16 15:59 日本経済新聞 電子版

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47380070W9A710C1000000/

 

****

 

「日本の高純度フッ化水素なければサムスンのファウンドリーは危機」

2019年07月08日08時03分

 

サムスンのファンドリー事業は韓国政府も後押しする国策

 
 「ファウンドリーは顧客との信頼関係がカギだが、台湾TSMCとの競争で確保した取引先を逃さないか心配だ」。 

  サムスン電子が4日、ファウンドリー事業部の役員が最近の日本の先端素材3種(フッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミド)輸出規制に関連して述べた言葉だ。ファウンドリーとは、工場がない半導体設計会社から注文を受ける委託生産で、韓国政府が2030年までに世界1位という目標を掲げた非メモリー分野の一つの軸だ。 

  最近、IBM・クアルコム・エヌビディアなど米国企業から相次いで受注を受けたサムスン電子としては受注物量の供給に支障が生じる状況を迎えた。日本経済産業省の輸出規制品目のうち「1-15ナノ(nm)波長の光で使用するレジスト」には極端紫外線(EUV)工程用のフォトレジストが含まれるからだ。EUVは光の波長(13ナノ)が従来のフッ化アルゴンの14分の1程度で、さらに微細な線路を描くことができる。 

  9月にEUV専用ラインを完工させて来年1月からは7ナノ工程でチップを量産する計画のサムスン電子は危機に直面した。サムスン電子はファウンドリーだけでなくDRAMの生産にも品質向上のためにEUV用レジストを使用することにした。 

 

台湾の高純度フッ化水素は実は「日本製」

 

  1カ月間ほどの在庫が残っているフッ化水素(HF、エッチングガス)の場合、最近、安定的な取引先を確保するために台湾・中国に購買担当の役職員を派遣した。

 

フッ化水素は半導体製造工程のうち回路基板のエッチング工程に使われる。台湾にある日本ステラケミファの工場からエッチングガスを受けることにしたが、これも日本政府の承認があってこそ最終的に安定した需給が可能だという。 

  サムスン電子やSKハイニックスは「スリーナイン(99.9%)」「フォーナイン(99.99%)」級は確保できても、「ファイブナイン(99.999%)」級の高純度フッ化水素(のエッチングガス)はほとんど日本が供給する。

 

1億分の1(ナノ)半導体工程では高純度のフッ化水素を使用してこそ収率(生産量に対する欠陥のない製品比率)が高まり、製品の品質も担保できる(*1)。低純度のフッ化水素はラインの稼働にも影響を及ぼしかねない。 

引用:中央日報 2019年07月08日08時03分

https://japanese.joins.com/article/273/255273.html

 

(*1) 超高純度であることは製品不良率を下げるために不可欠な要素。半導体は10ナノメートル(㎚、1ナノメートルは10億分の1メートル)前後の超微細工程で作られる。純度が低く不純物が増えれば不良率も跳ね上がる。例えば、純度99.99%のフッ化水素内にある不純物は、純度99.999%のフッ化水素内にある不純物の10倍となる。ソウル大学材料工学部のファン・チョルソン教授は「肉眼では見えない不純物でも、10ナノ以下では致命的なダメージとなる」と話す。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/07/13/2019071380010_2.html

 

***

 

最近、ロシア政府が高純度フッ化水素の提供を韓国に申し入れたという報道がありましたが、高純度であれば何でも良いという訳ではないようです。

 

ロシア製が日本製のように純度99.999%であっても、不純物の純度が同じだけで、不純物の粒子の大きさや種類が適合しなければ使えない可能性があると報道されています。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/07/13/2019071380010_2.html

 

今までサムスン電子は、品質・供給面ともに信頼がおける日本製の純度99.999%の高純度フッ化水素で高品質の半導体を生産してきました。

 

今回の日本政府の輸出管理手続きの強化措置をきっかけに、慌てて日本以外から高純度フッ化水素を調達しようと悪戦苦闘をしているようですが、

 

結局、日本製に優る高純度フッ化水素は存在せず、高品質の日本製高純度フッ化水素の安定供給を大前提とし描いていた、文在寅政権の半導体に関する国家戦略も絵に描いた餅に終わることもあるかもしれません。