先日、大手金融機関の担当者と雑談をしていて、最近の新入社員教育で電話対応が大変だと言う話を聞きました。メガバンクに入社するくらいの学生ですから、それは優秀な子たちなので電話に出ることくらい出来るだろうと思いましたが、どうやら違うようです。今の若い世代の子達は皆同様に電話が苦手なのです。
恥ずかしながら、自社の若い子に電話に出るのが苦手なの?と聞きました。その子は入社4年目の営業ウーマンで、会社では普通に、積極的に電話に出ています。ところが、やはり入社したての頃は電話に出るのが嫌だった、電話が怖かったと言うのです。
そこで、今年入社した女性社員の教育担当者に話を聞いたところ、やはり新入社員の子は電話に出るのが怖くて、入社半年たってやっと出られるようになったそうです。「えーっ」、と驚いてしまいましたが、自分の感覚がおかしかったことに気付きました。
よくよく自分の家の中を振り返ってみると、自宅には固定電話がありますが、実際には母しかその電話を使っていません。自分や妻はそれぞれの携帯電話にしか電話はかかって来ませんし、自宅電話でかけることもありません。さらに、良く考えると電話で話すよりLineなどのSNSで言葉のやり取りをすることがほとんどだと気付きました。
子どもたちはどうでしょう。確かに電話に出たことはありません。個人にスマホを持たせていますが、SIMを入れていないので電話はできません。と言うより必要ないのです。子どもたちは家でWi-Fiをつないで、その範囲内でスマホを利用しています。まあ、時間制限を設けているのと、まだLineは使わせていないので、友達との連絡は特にしていません。自分が子どもの頃は友達に電話をしたものでした。それを考えると「このままでいいのかな?」と考えてしまいました。
携帯電話や最近の固定電話では、着信の時に登録してあれば名前が出て来ます。誰から電話がかかって来たのか分かるのです。しかし、昔の固定電話ではどうでしょう。もちろん誰からの電話か分からずに、鳴った電話に応答していたのでした。自分の若い頃は、女の子の家に電話する時に親が出たらどうしようとドキドキしながら電話したものです。そのような経験を今の若い世代は知らないのです。
確かにそのような状態で会社に入って仕事もまだ覚えていない、私生活でも知らない人からの電話に出たことのない新入社員に「電話に出ろ」と言うのは酷なのでしょう。でも、慣れてもらわないと仕事になりません。それでも、やはり慣れと言うものはあります。弊社の新入社員も今では電話に出られるようになりました。まだまだ、勇気を振り絞って電話に向き合っているかも知れませんが、一歩ずつ成長してくれているのですね。少しうれしい気持ちになりました。




