私は科学技術や自然科学は大好きなので博物館には行きますが、あまり美術には興味がなく美術館に行くことはほとんどありません。ただ、先日島根県の足立美術館に行って、22年連続日本一の庭園を見たり、有名な「横山大観」のコレクションを見て、たまには芸術に触れるのもいいなと思いました。
そんな博物館や美術館ですが、実は大きな変革時期を迎えています。要は「公費に頼るな、自分で稼げ」と文化庁が言い出したのです。文化庁が国立の美術館と博物館に突きつけた目標は、入館料などの自分の稼ぎを「5年で65%、10年で100%」にしろというものです。もし、その目標を達成できなければ、館の再編、つまり統廃合や淘汰も考えるという厳しい方針です。
今は運営費の半分くらいを国のお金に頼っている美術館・博物館が多いそうなのですが、これからは事業としての成果を求められる時代がやって来るのですです。これは、全国に5,800くらいある美術館全体にも影響しそうな大問題なんです。
ところで世界を見ると、MoMA(ニューヨーク近代美術館)とかルーブル(パリ)はどうしてるのかですが、あちらは状況が全然違います。MoMAは入館料の他、会員制度やショップ運営などで経営が成り立ち、公金を一切使っていません。ルーブルは「モナリザ」という超強力な看板を年中展示して、世界中から観光客を集めています。
対して日本は、常設で人を呼べる美術品が少ないという弱点があります。ヨーロッパの美術館が王族のコレクションから始まったのに対して、日本は戦後まず箱(建物)を作って、中身は後からというスタートでした。だから、自分のところの宝物で勝負するより、海外から有名な絵を借りてくる「特別展」に頼る体質になってしまい、それが継続しているのです。
さらに日本特有の悩みもあります。外国人に人気の浮世絵や水墨画は紙でできているので、光にとても弱いです。日本の美術館は薄暗いと感じる人が多いそうですが、それは明るいところで見ると作品がすぐ痛むからなのです。
葛飾北斎の『富嶽三十六景』みたいな超有名作でも、国のルールで「年間の公開は30日だけ」なんて制限があることもあります。なので、せっかく観光客が来ても「今は見られません」となってしまうので、常設展で稼ぐのは至難の業なのです。
ここで議論があるのが、美術館は「保存」の場所か「稼ぐ」場所かと言うことです。本来の美術館の役割は、美術工芸品の永久保存と研究であるというのは間違いなく正論です。しかし、それではずっと税金に頼りきりでいいのかという意見も出ています。
ちなみに、日本人が美術館に行く回数は1人あたり年間0.5回、2年に1回行くか行かないかという計算です。これでは、せっかく税金も使われているのにもったいないですね。
美術館が生き残るために、これからどんな工夫をしていくのか。私ももっと美術や芸術に興味を持って、美術館を応援する意味でも、もっと美術館に行こうと思います。




