「好きなこと」、「出来ること」、「やれること」 | 東京ブレイズ二代目社長のつぶやきブログ

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世間ではあまり知られていない「ろう付」を生業に、日本の科学技術の下支えに本気で取り組んでいる、中小企業の2代目社長が日頃思った中小企業経営やろう付技術と業界、その他さまざまなことについてつぶやきます。

昨日、同級生の経営者仲間とサシで経営報告会を行いました。自分は初めての経験で、何をどのように話せばよいのか分かりませんでしたが、「経営者としてお互いの会社のことを、良いことも悪いことも腹を割って話す」、そんな機会だったと思います。お誘いされて開催した会でしたが、実に有意義で本当に良かったです。ありがたいですね。是非、今後も続けて行きたいです。

 

さて、この友人経営者とは、同じ歳の二代目経営者同志で、会社の社歴も似ています。業種も隣接していて共通点がとても多いです。話せば話すほど、お互いの会社の様子が良いところも改善すべきところも容易に想像できて、ものすごく有意義な時間を過ごせました。

 

その中で気付いたことですが、自分は相手のことが良く見えますが、実は自分のことが良く見えていない、分かっていないことです。それは相手に指摘されて「ハッ」としました。「○○さん、あなたはこうだよね」なんて偉そうに言っている自分が恥ずかしくなります。しかし、思えばほとんどの人がそうなのではないでしょうか。

 

一方、今年も新入社員が入社してきて、社長のオリエンテーションを行っています。出来るだけ時間を割いて話したいことがたくさんありますが、あまりやりすぎると嫌がられてしまいそうなので、長い時間をかけて、繰り返し話して伝えて行きたいと考えています。新入社員オリエンテーションで話すことは、基本的には「社会人基礎力」に関することです。仕事とは何か、なぜ仕事をするのか、仕事のモチベーションはどうやって維持していくのか。みんなに人として成長してもらいたいと強く願っているので、ここから話は始まります。

 

仕事って、もちろん好きなことが出来たら一番いいですよね。でも、そんな人ってほとんどいないでしょう。ほとんどの人が最初は、言われたことをこなす、繰り返しの作業やルーチンワークなど「やれること」をします。正直、作業に慣れると面白くないと思います。でもこれが大事なのです。言われたことをちゃんと出来る人にしか、次のレベルの仕事は任せられません。

 

次にこなすことが出来るようになると、「出来ること」が増えます。出来ることを増やす為には経験が必要で時間がかかります。でも、その時間で出来ることが増えることが成長になるのは当たり前ですよね。そうすると次の段階で、会社の方針の中で、自分で考えた「やりたいこと」が出来るようになっていくのです。こうなるには会社の幹部社員になるしかないですね。

 

ところが、我々二代目社長は良くも悪くも突然経営者になってしまいます。もちろん下積みを重ねては来ていますが、一般の社員とは違う形で経営者になることがほとんどだと思います。だから「好きなこと」「出来ること」「やれること」の区別と順序がわからないで経営者になってしまうことがあります。自分はそうでした。そしてタチの悪いことに自分が見えていない。”会社変わるには経営者が変わらなけれならない”、本当にそうです。経営者が自分を知らないと会社は良くならないのです。

 

ここで大事なのは、経営者として「好きなこと」をやることは立場的に与えられた機会としてもちろんありますが、「出来ること」「やれること」に注目することだと思います。仕事は世の中の需要があるから成り立っています。二代目経営者は会社の歴史を作らず延長線上でバトンタッチされるので、そこに気付きにくいのではないでしょうか。だから「好きなこと」より、顧客の求める「出来ること」「やれること」を知ることが重要なのだと思います。

 

昨日は、自分は自分のことが見えていない、経営者としても自社のことが見えていない、そんなことを改めて気付かせてもらった素敵な時間でした。

 

同僚を励ます人のイラスト(男性会社員)