先日無事に帰国しました。ホテルを出てから自宅に着くまでトータル25時間の長旅でした。
今回の旅でつくづく感じたのは、時差ボケが直りにくくなったことです。以前は1~2日で調整できたのが4~5日かからないと全然直りません。恐らく歳のせいですね。アメリカに慣れたころ帰国して、今は日本で時差ボケと戦っています。
今回の学会は、毎回そうですが、大変実のあるものでした。「ろう付」は非常に小さくニッチな産業ですが、ものづくりの底辺を広く支える重要な技術です。その世界の最先端が垣間見えるので、毎回勉強になります。また、知っている顔も多く、どの会社が何をしているのかもほとんど把握できるので、業界の動きが手に取るようにわかります。
今年はコロナ明けのせいもあるのか、発表件数や企業の参加が例年より少なくなっていました。アメリカの企業でも毎回参加していた企業が数社出てきませんでした。ヨーロッパは特に参加が少なかったです。話を聞くと、ヨーロッパの景気はあまり良くないので海外での学会参加は予算カットされているようです。
一方でアメリカの経済の底固さを感じました。話した企業はそろってビジネスは好調だと言っていました。景気は悪くないがなぜ良いのかは分からないとも言っていました。そして特にアメリカの産業で日本と異なるのが、アメリカは軍需産業や航空宇宙産業が非常に盛んです。各社ともその恩恵を十分に受けているように感じました。
また、アメリカの市場規模が非常に大きいのだと改めて感じました。会社の大きさや仕事の内容は日本の中小企業とほとんど変わらない会社でも、一つ一つの仕事の大きさが違うように感じます。さらに「ろう付」を生業としている会社もそれほど多くないので、各社が地域ごとや分野ごとに上手く棲み分けされて仕事をしているように感じました。市場規模が小さい日本で同じ様にやっても、一つ一つの仕事が小さいので細かくたくさん対応をしなければならない我々はそれだけでも厳しい環境なのかなとも感じました。
そして、今回のアメリカ滞在を通して、日本が本当に貧しい国になったのだなと実感しました。これはとても悲しいことですが、長期にわたり経済が停滞して、さらに人口が減少して経済が縮小すると言うことはこのような結果になるのだと妙に納得してしまいました。アメリカもインフレで物の値段が上がって大変ですが、それでも何とかやっています。もちろん日本より貧富の差が大きいのでどうしようもない人たちもたくさんいますが、全体的な底上げは始まっているように感じました。ニューヨークやサンフランシスコでは最低賃金が3,000円以上です。それ以外の地域でも1,500円以上はあるのではないでしょうか。
さて、これから日本はどうすればよいのか。わが社はどうすればよいのか。これからが本当に政治家や経営者の手腕が問われるところです。