モンテカルロ・フィル来日公演
指揮:山田和樹
ピアノ:藤田真央
ベートーヴェン:序曲「コリオラン」 Op. 62
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 Op. 37
(アンコール)
・ブラームス:8つのピアノの小品から第8番「カプリッチョ」
ベルリオーズ:幻想交響曲 Op. 14
(アンコール)
・ビゼー「アルルの女」からファランドール
モンテカルロ・フィル(Orchestre Philharmoique De Monte-Carlo=OPMC)初来日??
自分の記録をみたら2000年に「モンテカルロ国立歌劇場」として来日し「椿姫」(ゲオルギューのヴィオレッタ!)やているけど、オケは同じ団体なのかなー?プログラムには1980年にモンテカルロ国立オペラ管弦楽団から、OPMCに名称変更と出ているけど、どうなのだろうか。
それはともかく、今世界を舞台にノリに乗りまくっている山田和樹氏(来年にはベルリン・フィルの「定期」にも登場!)の面目躍如たる獅子奮迅の指揮ぶりが圧倒的でした。
山田氏はバーミンガムとも契約延長しているし(来年また来日するようです)、このOPMCとも2016年からの関係というから、ポジションを得て期待以上の活躍をされているのでしょう。
最初は「コリオラン」序曲。全く隙のない引き締まった演奏。短い曲だけどきっちり仕上げている感じがアリアリでした。
続いて人気の藤田真央くんが登場しての第3番の協奏曲。
いつもながらにクリアなタッチで実に明快な演奏。きょう特殊だったのが、第1楽章のカデンツァで矢代秋雄が作曲したものを取り上げたこと。
これは中々に意表を突いていて、きょうの一聴だけではよく分かりませんでしたが、長めのカデンツァでした。
第3楽章では随所に装飾音符を入れるなど遊び心いっぱいで実に楽しかったです。
アンコールはきょうの”B”つながりでブラームスの小品(きょうは結果、オケのアンコールまで”B”つながり)。真央くんらしい煌びやかでタッチが美しい演奏でした。
後半の幻想交響曲。これはもう、ほとんどフランスと言っていいモナコ公国のオーケストラとして、誇りをもって演奏していたようです。
常にかかとを地面につけずフットワークの良いアンサンブル。だからこそ変幻自在の山田さんの指揮にもピタッとついていくことができ、日本を含めたドイツ系、アメリカ系の分厚いサウンドとは正反対の軽やかな演奏でした。
木管楽器群とホルンのソロが見事なこと!技術云々より芸術的なセンス溢れるソロで、第3楽章でのコールアングレと舞台裏からのオーボエの遠近感の見事さ、各楽章で出てくるクラリネット、フルートともに美人さんで見た目も嬉しい。
第5楽章のクライマックスに向けての盛り上がりと熱狂が見事でした。
盛り上がったところでのファランドールに会場の熱量はさらにヒートアップ。
山田さんも父つぁん坊やみたいな風貌ながら、中々のエンターテイナーぶりで、オケも聴衆も盛り上げるのが上手。世界で引っ張りだこなのも納得の公演でした。